複数のパソコン間でFirefoxの情報(ブックマークや閲覧履歴など)を共有するアドオンに「Firefox Sync」がある。
たとえば、自宅と職場でブックマークを共有したり、Firefox に記憶させてあるIDとパスワードを他のコンピュータで流用することができる。複数のパソコンを使っている Firefox ユーザーには便利なアドオンである。
Firefox の情報はmozilla のサーバーに送信され、蓄積される。各パソコンのFirefoxからその情報にアクセスして、同期するという仕組みだ。サーバーに蓄積される情報は個人ごとに暗号化されるそうだ。個人識別のために、mozilla にユーザー登録してから利用する必要がある。
導入は簡単だ。
このページからFirefox用のアドオンをインストールし、初回利用時にのみユーザー登録をする。登録時に入力するのは、ユーザー名とパスワードくらいのものであり、名前や住所などは登録しなくてよい(と思う、きっと。後述するように、僕は自宅サーバーで運用したので mozilla に登録しなかったから本当の所はわからない)。
あとは、自動的に情報を同期してくれる。
Firefox さえ動く環境であれば、Windows だろうと Mac だろうと Linux だろうと関係ない。
iPhone や iPod touch からも利用できる。
Firefox Sync は mozilla のサーバーではなく、任意のサーバーを指定して利用することもできる。
今回、僕は自宅サーバーに情報を蓄積することにした。
Firefox Sync の独自サーバーの作り方
Firefox Sync の情報を任意の場所に蓄積するためには、サーバーをインストールする必要がある。
作業はそんなに難しくない。
apache httpd サーバーを利用している場合は、
「ソフトウェア/Firefox/Firefox Sync 用に独自サーバーを構築 – takeuchi@ShigekawaLab」
を見れば、数分でできる。僕の家は幸いにして apache httpd サーバーを使っているので、すぐにできた。
同サイトによれば、基本は以下のとおり。
- http://people.mozilla.org/~telliott/weave_minimal.tgzをゲット
- 解凍して任意の場所にコピー(たとえば、/var/www)。以下、ディレクトリを “weave” とする (/var/www/weave)
- /var/www/weave を httpd サーバーが読み書きできるようにパーミッションを変更する
- httpd.conf に “Alias /weave /var/www/weave/index.php” を追加
- httpd を再起動
- https://localhost/weave/1.0/blah/info/collections にアクセスする。認証エラーが出るけど気にしない。すると、/var/www/weave/weave_db というファイルができる
- > php /var/www/weave/create_user でアカウントを作る
- Firefox で [ツール] -> [Sync] -> [設定] で今作った ID とパスワードを登録。サーバーURLは https://YOURSERVER/weave/ を設定。さらに、暗号化用のパスフレーズを聞かれるので入力する。
随分たくさんあるようだけれど、やってみれば簡単。とくに、「ソフトウェア/Firefox/Firefox Sync 用に独自サーバーを構築 – takeuchi@ShigekawaLab」を見ながらやると、図解付きで分かりやすい。
iPhone / iPod touch から Firefix Homeの利用
このアプリは read only で、ブックマークを書き換えたりすることはできない。それでも、デスクトップのブックマークを全て参照できるようになるのでとても便利だ。
ただし、独自サーバーで利用する際にはいくつか細かい調整をしなくてはならない。
- iPhone / iPod touch で [設定] → [Firefox Home] を開き、「独自のサーバを使用」をオンにする。「サーバーURL」にはFirefoxで入力したものと同じものを
- サーバーの /var/www/weave/index.php を以下のように書き換え
list($version, $username, $function, $collection, $id) = explode(‘/’, $path.’//’);
if ($version == ‘user’ && $collection == ‘node’ && $id == ‘weave’) ←この行と
exit(‘http://www.your-server-address.com/weave/’); ←この行を追加
if ($version != ‘0.5’ && $version != ‘1.0’)
report_problem(‘Function not found’, 404);
とくに、2番目の設定をしないと「ユーザーが存在しない」と言われて、なんぼやっても同期できませんでした。
僕はブックマークが 2,000 近くあるのですが(気になったものはとりあえず何でもブックマークするから)、iPod touch に読み込んでもサクサク動きました。ブックマークのフォルダも再現されるので、困ることはありません。検索もできます。
ただし、検索もできるのですが、タイトルだけが対象のようです。タグが検索対象にならないのはちょっと困ります。対応してくれるのを待ちます。
Xmarks との比較
同様のシステムに Xmarks がある。これまた、うちは独自サーバーを作って運用している(導入記事)。
Xmarks は Firefox 以外のブラウザーにも対応している点が大きなアドバンテージだ。ただし、僕が知る限り、iPod 用のアプリがない。
けれども、Xmarks はブックマークを xml ファイルで保存するので、ハックするのは簡単そうだけれど(Firefox Sync は暗号化されている)。
うちでは今後どちらをメインにするか考え中。