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深くて埋められない溝。もしくは、完全に忘却されたあるにゃんの元飼い主

細かい経緯など、どうでもいい。
それがどういうものであれ、僕が3月末に京都の住まいを引き払って神奈川に引っ越した事実は変わらないからだ。過ぎ去った時間の流れは取り戻すことも、やり直すこともできないからだ。

細かい事情は省略する。
とにかく、当方の愛猫・あるにゃんは京都の知人宅に預けられ、僕は単身神奈川に越した。たとえどんなに離れていても、僕とあるにゃんとの絆が潰えることはないと信じていた。

今日、2ヶ月半ぶりにあるにゃんに再開する機会を得た。


僕の知っているあるにゃんはどこにもいなかった。
昔なら、2日も家を空けて再開すれば、数分間は足にまとわりついて離れなかったあるにゃん。そんなあるにゃんはもういなかった。2ヶ月半は長すぎた。

里親の家のクローゼットに閉じこもって出てこないあるにゃん。
僕が手を伸ばすと、威嚇の声を出し、牙をむき出しにするあるにゃん。
僕と住んでいた頃には聞いたことのなかったような、攻撃的で低音で脅威的な声しか出さないあるにゃん。

僕の知っているあるにゃんではなかった。
たぶん、僕自身はショックを受けていたのだろうが、想像だにしていなかった状況に、その場ではほとんど無感動だった。再会から12時かん近く経った今、じわじわと衝撃が去来している。

里親家で虐げられているわけではない。
たぶん、僕の家で暮らしていた時よりも良い境遇にいる。良い食物を与えられているようで、体が一回り大きくなり、毛艶も良くなっている。里親さんもいい人で、毎朝僕にあるにゃんの様子を伝えるメールと写真を送ってくれるし、あるにゃんブログ「あるむのママになった私の独り言」もこまめに更新してくれている。
何も文句はないはずだ。

それなのに、あるにゃんは僕に対して牙をむく。

何が不満なのか考えた。

不満な理由を考えた。

ああそうか。
僕があるにゃんを連れ戻しに来たのだと思ったのだろう。
今の暮らしは天国のようだ。僕に連れていかれると、その楽しい暮らしを放棄することになる。

だから
「アンタの所になんて帰らないよ。ばーか」
と言われたのだと思う。

ぐすん。

「手を伸ばしても、後ずさってうなり声をあげられた」の図

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