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フジ『北の国から』第10回

昨夜はかわいこちゃん2人(およびその他)とカラオケに行っていたために本まとめ記事を書けなかったわけだが、今朝『純と愛』を見ていて、昨夜のかわいこちゃんのうち1名が高橋メアリージュンに似てるかもしれないと思いついて、なんとなくテンションの上がった当方が、BSフジ『北の国から』の第10回を見ましたよ。

* * *
純(吉岡秀隆)は自らのおしゃべりのせいで、またしても困ったことになっていた。
正吉(中澤佳仁)の家に遊びに行った時、五郎(田中邦衛)が進めている風力による自家発電のことを話したのだ。すると、正吉の祖父・杵次(大友柳太朗)がそれを聞いており、北海道電力の知り合いにかけあって電気を引いてやると言い出したのだ。人のいい五郎だが、彼は杵次のことだけは嫌っている。純は五郎と杵次の間で板挟みになってしまったのだ。

そんなある日、つらら(熊谷美由紀/現・松田美由紀)の母・友子(今野照子)が訪ねてきた。五郎が注文していた発電機用の部品が入荷したと、友子の家に電話で連絡があったのだ。ちょうど五郎は留守だったので、雪子(竹下景子)が純と一緒に受け取りに行くことにした。内緒で部品を取ってきて、五郎を驚かせることを画策したのだ。友子の家でライトバンを借り、ふたりは麓郷の街へ向かった。
出発する時は抜けるような青空だった。しかし、天気予報や地元の人々は、午後から天気が崩れて吹雪になると予想していた。けれども、空を見上げた純には、そんな予想が当たるようにはちっとも思えなかった。

その頃五郎は、街中にある中畑(地井武男)の家へ向かう途中だった。そこで正吉とみどり(林美智子)の姿を見つけた。年越しのために帰省していたみどりが、正吉を残して、勤め先の飲み屋のある旭川に帰るところだった。
みどりは、杵次とけんかしたことをポツリと話しだした。原因は家で飼っている馬だという。みどりの言い分は、馬は餌代ばかりがかかって役に立たないのだから売れと言うのだ。自分が旭川で好きでもない男相手に愛想を尽くして仕送りしている金が馬の餌になるかと思うとやるせないと言うのだ。しかし、杵次にとって馬は家族同然で、今の馬とは18年の付き合いだと言う。すでに老馬なので、売ったとしてもすぐに食用肉にされてしまう。みどりは、杵次の気持ちも理解しつつ、ついかっとなって言い争いになってしまうのだといって自嘲した。

みどりらと別れた五郎は、中畑の家へ行った。中畑も杵次の馬のことは知っていた。中畑が聞いた噂では、杵次は馬の引き取り手を探していた時期もあったらしい。ところが、品質からいって10万円もしないような馬なのに、杵次は30万円で売ろうとしたのだという。そのせいで、買い手は見つからなかったのだという。それに、現代では馬はほとんど役に立たないというのだった。

13時頃、発電機の部品を受け取った雪子と純は寄り道をして帰ることにした。突然、純が草太(岩城滉一)の所に寄ろうと言い出したのだ。表向きの理由はスキーに行った時の写真をもらうという事だったが、ませている純は雪子と草太を会わせてやろうと画策したのだ。そのことを告げると、雪子もまんざらではない表情を見せた。それで、山中にある草太の家へ行くことになった。

空が急に曇りだし、純たちが街を出る時に少し雪が降りだした。ただし、いつも見慣れている程度の雪だった。
ところが、山道に入った途端、突如としてひどい吹雪になった。少し行っただけで、視界がほぼ真っ白になった。道路の境目もわからないほどだった。雪子は車の速度を十分に落とし、注意深く運転した。30分ばかり走った。いつもならとっくに草太の家に着く頃なのだが、速度が遅いのでまだ着かない。それどころか、視界が悪くて家の入口すら見えないため、家がまだ先にあるのか、もう通り過ぎてしまったのかすらわからなくなってしまった。

そして、最悪なことに車は雪の吹き溜まりに突っ込んでしまい、スリップして動かなくなった。慌てて雪をはね除けて脱出しようと試みたが、どんどん降り積もる雪の前には埒が明かなかった。手を尽くしたふたりは、車内で吹雪をやり過ごす他に方法がなくなった。

螢(中嶋朋子)が一人で留守番をしていると、杵次が訪ねてきた。螢は杵次とは初対面だったが、正吉の祖父だということは知っていたので家にあげた。すると杵次は、自分が幼かった時の昔話を螢に聞かせた。螢は楽しそうにそれを聞いた。杵次が吹雪の中を馬ソリに乗って来たと聞くと、外まで馬を見に行ったりした。

そこへ、五郎が帰宅した。
杵次の用件は電線の敷設についてだった。杵次は五郎の家まで電気を引き、工事代金も破格にするよう、北海道電力の者に依頼したと告げた。担当者はかなり渋ったが怒鳴りつけて従わせたなどと、自分の手柄を誇った。五郎の計画している風力発電など子どものおもちゃみたいなものだと言い捨てた。それを聞いた五郎は、下手に出つつもきっぱりと断った。
すると杵次は気分を害した。水道の時も役場に掛け合って引かせる杵次の申し出を五郎は断ったことを蒸し返した。そして、五郎が現代文明をわざわざ利用しないでいることを批判した。昔、村には電気が来ていなかった。その時、杵次や五郎の父、中畑の父、その他大勢で運動を行い、やっとの思いで電力供給を実現したのだという。先人たちの努力の結晶と遺産を受け取らない五郎のことが気に喰わないのだという。昔を懐かしがって礼賛するばかりでなく、二度と戻りたくない過去もあることを忘れるなと忠告して帰って行った。

18時になった。
純と雪子が帰ってこないことが心配になった五郎は探しに出かけた。まず、つららの家へ行き、電話を借りて心当たりにかけて見ることにした。ところが、つららの家は停電していた。どうやら、吹雪のせいで送電線が切れてしまったらしく、富良野全体が停電してしまっているようだった。
電話で各方面に連絡を取ったところ、ふたりは13時ころに街を出たこと、草太の家には来ていないことがわかり、結局行方は掴めなかった。さらに、どこの家も停電で大騒ぎであった。最近では、暖房や水道の運転に電力を使用する家が多くなった。それらが全く動かないのだ。また、牛舎を持つ草太の家や豚舎のある中畑の家では、畜舎を新式の電力暖房に取り替えていた。代替手段の確保のためにみんなが出払っており、純と雪子の捜索に割ける人員もなかった。

五郎は、車で回れる範囲はほぼ探し尽くした。けれども依然として見つけられない。残る可能性は、草太の家へ繋がる山道だけだったが、そこは除雪車すら引き返すほどの猛吹雪となっていた。到底、五郎ひとりの力では探しに行けなかった。
電話で中畑と相談していると、彼が馬ソリなら除雪されていない道でも入っていけるのではないかと提案した。五郎は早速、杵次に頭を下げに行った。

21時になった。
取り残された車の中で、雪子と純は凍えていた。車は完全に雪に埋もれてしまい、ドアが開かないことはもちろん、窓を開けても雪の壁に阻まれている。体力を消耗したふたりは眠りに落ちてしまった。
純は夢を見ていた。令子(いしだあゆみ)を含めた家族4人が花畑で愉快に仲良く遊んでいる夢だった。暖かい春で一面に花が咲き誇っていた。五郎と令子も手を取り合って走り回っていた。

ふと、雪子はどこかから鈴の音が聞こえてくるのに気づいた。慌てて純を起こし、ふたりで大声をあげた。鈴の音はだんだんと大きくなり、ふいに止んだ。
それは馬ソリの鈴だった。馬ソリで捜索していた五郎と杵次はついに純と雪子を発見した。というよりも、五郎たちには何も見えなかったが、車の埋まっていた場所で馬が勝手に足を止めたのだという。おかげで無事に救助することができた。

吹雪はそれから2日間も続いた。ふたりが生還できたことは奇跡に他ならなかった。
吹雪が続く間、純と雪子は疲れて眠ってばかりいた。五郎はほとんど口を聞かず、ぼんやりと酒ばかり飲んでいた。それでも、黒板家の生活は日常通りだった。他の家では停電のせいで日常生活がままならなかった。ところが、黒板家には元々電気がないので、停電にも吹雪にもほとんど影響を受けなかったのだ。

* * *

ドラマの冒頭では抜けるような青空。それが曇っていく。そして、時間の流れとともに、スタックした乗用車に少しずつ雪が降り積もっていく。ゆっくりと破滅に向かって進んでいく映像の緊張感が素晴らしい回でした。
・・・まぁ、ふたりが助かることは初めからわかってはいるわけだけど。

雪山遭難というプロットに、現代的生活と旧来的生活とを対比して見せたところも素晴らしかったと思います。
冒頭の杵次(大友柳太朗)はいまだに労役馬を飼い続ける時代遅れな人物として描かれるわけですが、一方で電力などの現代文明は積極的に利用すべきだと主張します。新旧文明の2項対立ではなく、そのバランス感覚に優れた知恵のある人物として好意的に語られています。ちょっぴりだけ、抱かれてもいいと思いました。

なお、杵次を演じる大友柳太朗という人は、wikipediaの記述を見ると、時代劇俳優として一時代を築いた人物なんですね。彼の他の作品は知りませんが(『タンポポ』にも出演しているそうで、この映画は見たはずだけれど、どこにいたのか覚えていない)、『北の国から』を見ている限りにおいても画面から伝わってくる独特のオーラが感じられます。画面が引き締まって見えるというか、なんというか。名演を見せてくれています。
そんな名優が、最期はセリフ覚えが悪くなったことを苦にして自殺してしまったとか。とても寂しいことです。

なんとなくテンションが下がったので、今回はナンバーワン・クズは選出しない。

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