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フジ『北の国から』第11回

朝ドラ『カーネーション』で三浦組合長(近藤正臣)が「はずれても、踏みとどまっても、人の道」と言っていたなぁと思い出した当方が、BSフジ『北の国から』の第11回を見ましたよ。

* * *
純(吉岡秀隆)と雪子(竹下景子)の遭難騒ぎを引き起こした吹雪がやっと去った。麓郷に青空が戻った。
螢(中嶋朋子)は真新しい雪の上にキタキツネの足あとを見つけた。純がむしゃくしゃして石を投げつけて以来(第5回)、姿を見せなかったキツネが戻ってきたようだ。螢とともに、純も喜んだ。

五郎(田中邦衛)は杵次(大友柳太朗)を訪ねた。純と雪子は、杵次の馬のおかげで命が救われたのだ。その礼として、日本酒の1升瓶と現金1万円を携えてきた。貧乏な五郎にとっては、それが精一杯だった。ところが杵次は、酒は貰うが現金はいらないと言い出した。額が少ないとケチをつけた。家族の命の代償としては安すぎる、最低でも10万円は持って来いと言うのだった。五郎は食い下がったが、どうしても金を渡すことはできなかった。
困った五郎は、つい軽い気持ちで中畑(地井武男)や クマ(南雲佑介/現・南雲勇助)らに顛末を話してしまった。中畑らは、ケチでずる賢い杵次の言いそうなことだと言って、口々にバカにした。そして、そのことをあちこちで面白おかしく言いふらすようになった。

吹雪で停電の間、草太(岩城滉一)は自宅の牛舎の管理に奔走していた。そのため、雪子らが遭難して九死に一生を得たことを知らなかった。話を聞くやいなや、雪子の家まで会いに来た。風邪気味だという雪子の熱を測るために、草太は自分の額を雪子の額にくっつけた。そのどさくさに紛れて、草太は雪子にキスをした。雪子は子供たちに見られるのを気にして抵抗する素振りを見せたが、まんざらではない様子でもあった。
また、草太は、雪子が自分の牧場で働けるように手配したと告げた。仕事を探していた雪子は、早速翌日から働きに出ることになった。毎朝、草太がわざわざ雪子を迎えに来た。牧場でも、草太は鼻の下を伸ばしながら、雪子につきっきりで仕事を教えた。

それからというもの、純はつらら(熊谷美由紀/現・松田美由紀)に付きまとわられた。つららは純に話があるといって追いかけてくるのだ。純には、草太と雪子の関係がどうなっているか聞かれるのだろうと予想できた。純にも詳しいことはわからないし、面倒なことに巻き込まれたくないので、純は逃げまわってばかりいた。そもそも、二股をかけた草太が悪いのだと腹をたてるのだった。

そんなある日、正吉(中澤佳仁)が見知らぬ男子中学生と共に純を物陰に呼び出した。そして、ふたりで純を小突き回した。正吉の言い分は、祖父の杵次が馬の出動料として10万円を請求し、そのことを五郎と純が言いふらしたために街中で物笑いの種になっているというものだった。純にとっては寝耳に水だったが、正吉は聞く耳を持たなかった。さらにふたりは、五郎と雪子が男女の仲だという噂が流れていると言い、五郎を侮辱した。さらに、純が同級生の中畑すみえ(塩月徳子)と仲良くしていることを引き合いに出し、親子揃ってスケベだと言ってバカにした。純は根も葉もない噂だと否定したが、自分から手を出すことはできず、ふたりの暴力になされるがままだった。

草太の牧場に、友人の川島(小松政夫)が訪ねてきた。話があるから夜に時間を作ってくれというのだ。草太は気乗りしなかったが、しつこく頼まれるので承諾した。その時、川島は牧場で働く雪子を初めて見て、一目惚れしてしまった。

その夜、草太は約束通り居酒屋にやって来た。川島は会うやいなや、雪子は高嶺の花なので草太がものにするのは無理だと告げた。その代わり、つららと添い遂げろと言うのだった。つららは草太と結婚するつもりでこれまで付き合っていたのだし、草太の両親(大滝秀治今井和子)も彼女のことを気に入っている。草太もそのことは理解していたはずだ。それにもかかわらず、つららを捨てて雪子に乗り換えることは人の道を外れることだと川島は説いた。
川島は、つららに泣きながら相談されたという。それで川島もつららの味方になることにしたのだ。近所の喫茶店につららを待たせているから、今すぐに会いに行けと草太に告げた。

草太は指定された喫茶店へ向かった。離れた場所から覗くと、窓際につららの座っているのが見えた。草太はしばらくつららのことを見ていた。そして、喫茶店へは入らず、そのまま帰ってしまった。雪子に会いたくなって黒板家に立ち寄ったが、そこにはすでに川島が来ていた。ふたりは気まずそうに睨み合うのだった。

あくる日、純は草太に会いに来た。そして、ケンカのやり方を教えて欲しいと頼んだ。草太はまじめに取り合わなかったが、正吉が雪子と五郎ができていると吹聴したことがケンカの原因だと知ると、俄然純の味方をする気になった。草太が立会人となって、純と正吉が果し合いをすることになった。純は、草太から教えられた通り正吉の睾丸を握って苦しめ、ケンカに勝った。そして、そもそもが子どものケンカなので、それでふたりは仲直りした。
一方の草太は、雪子を侮辱されたことが未だ許せず、彼女を馬鹿にすると純以上の力で睾丸を握りつぶすといって脅かすのだった。

その晩、草太は父・清吉から説教された。前の晩につららが会いに来たのだという。清吉もつららの味方だった。むしろ、雪子のような都会の女は北海道の農家に嫁に来るわけがないと、初めから決めてかかっていた。今までに、北海道での暮らしに憧れてやって来た若い娘たちはたくさんいたが、いずれも生活の厳しさにへこたれて逃げ帰ってしまったのだ。
一方的に言われ、草太は頭にきた。自分もこの土地を出て行きたいののに、仕方なく残ってやっているのだなどと捨て台詞を吐き、家を飛び出してしまった。

富良野の街で、草太は酒をあおった。そんな草太を見つけた街の若い者は、草太との関係を知った上で雪子のことを侮辱した。曰く、雪子は五郎の先妻の妹だが、五郎と雪子が一線を越えて男女の仲になったから先妻が離縁状を叩きつけたというのだ。ただでさえむしゃくしゃしていた草太は、店内で大立ち回りをした。ボクシングのトレーニングをしている草太がケンカを始めると、誰にも止められなかった。すぐに警察が呼ばれ、草太は交番に連れて行かれた。

交番に着く頃には、草太はすっかり落ち着いて、おとなしくしていた。草太の取り調べにあたった刑事(蟹江敬三)は、高校時代によく張り合った他校の生徒であることがわかった。昔のよしみで、ふたりは世間話を始めた。その時、刑事の元に家出人捜索願の情報が入った。刑事はその書類を草太に見せた。
なんと、つららが失踪したというのだ。家に置き手紙が残されており、金や通帳がなくなっていた。ただし、行き先は一切記されていなかった。

開放され、行き先のなくなった草太は黒板家に向かった。すると、つららの兄・辰巳(塔崎健二)が捜索用に借りた五郎の車を返しに来た。そこで、草太と辰巳は顔を合わせた。辰巳は無言のまま草太に近づくと、草太を殴り倒した。草太は無言のまま無抵抗だった。五郎が辰巳を押しとどめると、辰巳は草太に唾を吐きかけて帰って行った。草太はいつまでも雪の上に倒れていた。五郎は草太を1度だけ優しく撫でると、やはり無言のまま家に入っていった。

その一部始終を見ていた純は、辛抱たまらずに2階の寝室に駆け上がった。そこでは、雪子が寝袋に包まって寝ていた。風邪で熱があり、頭もいたいと訴えている。純は雪子を許せなかった。つららが家出をしたと乱暴に言い捨てると寝室を出て行った。

居間では、五郎は何事もなかったかのように、風力発電用のプロペラを磨きあげていた。螢は食後の後片付けをしていた。全員、何事もなかったことを装っているかのようだった。

その時、家の外からキツネの鳴き声が聞こえた。螢は例のキタキツネが帰ってきたのだと思い、餌を持って外へ飛び出した。しかし、キツネの様子はおかしかった。目を凝らして見てみると、足に不審な金具がついていた。五郎は、トラバサミの罠にかかったのだと教えた。螢は泣きながらキツネに走りより助けようとしたが、キツネはすでに遠くまで去っていた。五郎と純は悲しみながらその様子を見ていた。

トラバサミに挟まれたキツネの足跡は、いつもと違って、雪の上でジグザグに伸びていた。五郎は、翌日明るくなったら足あとを追ってキツネを探しに行くと約束した。
しかし、その日の晩から雪になった。翌朝には足あとは全て消えてしまっていることだろう。

* * *

草太、最悪だ。人のこと言えた義理じゃないけど最低だ。クズだ、クズ。
しかしまぁ、人の世には古今東西いろいろヤヤコシイことがあるわな。

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