今日は思わず頬が緩むようなちょっと嬉しいことが何件かあったのだけれど、それと同じくらいの量だけ眉をひそめるような嫌な出来事もあったので、結局のところ気持ちをどこらへんに落ち着けていいのかわからなくなってしまった当方が、BSフジ『北の国から』の第15回を見ましたよ。
ところが翌日、本校(純たちが通うのは分校だ)から立石という男性の代理教員が来た。涼子は急用で旭川に行ったのだという。立石先生は、次の月曜日に臨時の父兄参観と懇談会を行うと発表した。本校から校長が来て、父兄に説明したいことがあると言うのだ。
3人は涼子が休んだことを不審に思った。本物の涼子は宇宙人の手ですでに殺されたか、連れ去られたのだろうと思った。
中畑(地井武男)は五郎(田中邦衛)を自宅に招き、五郎宛の封書を手渡した。それは匿名の怪文書であり、涼子先生を糾弾するものだった。中畑の娘(塩月徳子)も同じ学校に通っているため、中畑も同じ内容の手紙を受け取っていた。そこには、2年前の涼子に関する新聞記事が同封されていた。受け持ちの小学5年生が、涼子からの体罰を苦にして飛び降り自殺したという内容だ。消印は東京であった。涼子の転任先を調べ、そこの父兄名簿まで入手して送りつけるという執念深さにふたりは驚くのだった。
中畑は初耳だったが、五郎は本人から直接話を聞いていた(第3回)と打ち明けた。そして、過去がどうであれ、今の涼子は良い教師だと言って擁護した。さらに、匿名の送り主の卑怯さに怒り、怪文書を破り捨てた。中畑も同意し、倣った。
放課後、純たちが川で遊んでいると、森家の新妻の姿を見かけた。それは、正吉が森家からの不思議な声(泣いているような、笑っているような声)を聞いて陰茎が勃起したと言っていた新妻である。彼女はズボンをまくって、川の中で足を洗っていた。純は、彼女の白い足に見とれた。不思議と動悸が激しくなった。見てはいけないと思いながら、どうしても足から目を話すことができなくなった。
その後、純は五郎に連れられて富良野の街へ出かけた。その道中もずっと新妻の足のことが気になっていた。街に着くと大勢の女性がいた。すると今度は、彼女らの胸ばかりが気になって、視線が釘付けになった。女性の事を考えてはいけないと思えば思うほど、気になって仕方がなかった。ついに、成人映画館のポスターのヌードを見てのぼせ上がってしまった。
その日の夜、正吉の祖父・杵次(大友柳太朗)の発案で、分校に子どもを通わせる4家族(五郎、中畑夫婦、杵次、小学1年生の娘の両親)の会合が開かれた。全員のところに怪文書が届いていたし、その日涼子が旭川の教育委員会に呼び出されたことも知っていた。初めから杵次は酒にひどく酔い、荒れていた。開口一番、涼子は教師失格だとがなりたてるのだ。五郎が済んだことだととりなしても、「隠していたことが気に入らない」などと言って、結論ありきの揚げ足取りばかりした。1年生の母親も、問題のある教師が派遣されたことは問題だと主張し杵次に同調した。話し合いは荒れ、お開きとなった。
中畑は五郎に杵次の噂話をした。最近、土地を巡る裁判で負けて荒れているのだという。大切にしていた馬(第10回では純らの命も救った)も手放すことになったのだという。
五郎は精神的に疲れて帰宅した。すでに眠っている子供たちの顔を見ることが癒しだった。
五郎は、純のボストンバッグがなんとなく気になった。手にとって調べてみると、中にヌード写真集が隠してあるのを見つけた。突然のことに、五郎はどうしていいかわからず、ひどく困惑した。
その頃、学校では旭川から戻ってきた涼子と立石が話し合いをしていた。立石によれば本校では涼子に同情的であり、事件のことは気に病むことはないと慰めるのだった。ただし、子供たちと深い関係になり過ぎないようにと優しく忠告するのだった。近年、放課後や休日の課外活動に教師が関わることですら問題視する風潮があることを引き合いに出し、涼子も気をつけるよう諭すのだった。涼子は黙って聞いていた。
次の日、涼子は復帰した。しかし、UFOを目撃した3人は警戒を解かなかった。涼子の一挙手一投足をよく観察し、不審な点が無いか調べた。真剣に取り組む螢や正吉とは違い、純は気が散ってしかたなかった。というよりも、涼子の胸ばかりが気になって仕方なかった。涼子のことを変な目で見ることを心の中で謝りつつ、純は自分が妙な病気になってしまったと心配するのだった。
五郎の方も、純がヌード写真を隠し持っていたことにショックを受けていた。しかし、どのように対応していいかさっぱりわからなかった。草太(岩城滉一)の母・正子(今井和子)なら数人の息子を育てた経験を話してくれるだろうと思い、相談に行った。しかし、五郎はそのことを話すのが恥ずかしくて、モジモジしてしまった。モジモジしている間に、正子は話も聞かずに去ってしまった。それどころか、正子はどこか機嫌が悪いように思えた。
直後に、夫である清吉(大滝秀治)が近寄ってきた。五郎に相談があるので、夜に富良野の店で会いたいという。しかも、ふたりで会うことには内緒にして欲しいと言うのだ。内容も今は話せないという。五郎は少し不思議に思ったが、自分も純のことを相談できると思い約束した。
はたして、清吉の相談というのは、草太と仲違いしたということだった。雪子(竹下景子)が東京へ突如帰ってしまったことが問題なのだという。姉・令子(いしだあゆみ)の看病のために帰京したというのが真実であるのに、草太は清吉が暗躍して追い返したと思い込んでいるのだ。このままでは、跡継ぎの草太が家を出て行ってしまうかもしれないと心配している。そもそもは、正子が雪子を鼻白んで清吉になんとかするように頼んだにもかかわらず、正子まで草太の味方についてしまい、清吉は家の中で孤立しているというのだ。なんとか、五郎に誤解を解いて欲しいというのが願いだった。
五郎は、純のヌード写真集のことを相談した。自分のことで頭がいっぱいの清吉は、的確な助言ができなかった。小さい頃の五郎の早熟さに比べれば、純は遅いなどとからかうばかりだった。五郎の悩みは解決しなかった。
その足で五郎は、草太の通っているボクシングジムを訪ねた。草太は五郎の顔を見ても機嫌が悪いままだった。五郎は、雪子は看病のために帰っただけで他意の無いことを丁寧に説明した。しかし、草太は頑なな態度を崩さず、「大人は信用しない」と言って五郎を切り捨てた。五郎は清吉と結託していると信じて疑わないのだ。
草太は8月に初めてボクシングの試合に出場するという。4回戦という低い地位の試合だが、自分が人に認めてもらうにはそれしか無いのだという。試合に出て、少しでも有名になれば、周りの女達も自分を見くびったりしないだろうと言うのだ。草太は、雪子が黙って東京に行ったまま、音信不通であることを根に持っているのだ。草太が世話をした牧場の仕事を辞める時も、何の相談も挨拶もなかったと言うのだ。
黙って聞いていた五郎だったが、堪忍袋の緒が切れた。五郎は草太に掴みかかり、彼がつらら(熊谷美由紀/現・松田美由紀)に対して行った非道な仕打ちを指摘した。それに対しては、草太も弁解の余地がなかった。反省している態度を見せた。しかし、それを償うにはボクシングに撃ちこむしか無いと言うのだった。
そして、父兄参観の日になった。授業は滞り無く、平穏に進んでいた。父兄も落ち着いて参観していた。
ただし、正吉の家族だけは誰も来ていなかった。同居家族は祖父の杵次だけなのだが、彼が姿を見せないのだ。純が正吉に尋ねると、今朝杵次は馬を売り、そのまま飲んだくれているというのだ。そんなやり取りをしていると、杵次が学校に姿を現した。手には一升瓶をぶら下げ、足元もおぼつかないほど泥酔していた。
授業が終わると、涼子に替わって立石が子供たちと父兄に向かって伝達事項を話し始めた。本校の校長が来るはずだったのだが急用で来れなくなったと断った。続いて、学校の統廃合について説明しようとした。今の分校は9月に廃校になり、本校に吸収されるというのだ。
突然、杵次が怒鳴り始めた。例の怪文書をちらつかせ、声を出して読めと言って涼子に付きつけた。立石が笑顔で割って入り仲裁しようとしたが、杵次の勢いは止まらなかった。子供たちが聞いているのにも配慮せず、涼子が児童を殺したというのは本当か、と問い詰めるのだった。
混乱を収集させるために、涼子は怪文書の内容は真実だと認め、全てを説明しはじめた。
2年前、新人教師だった涼子は東京都世田谷区の小学校で5年生を受け持っていた。そのクラスには成績優秀で学級委員で人気者の児童がいた。ただし、そんな彼にも問題があり、クラス中を味方につけて、成績の悪い子どもをみなで馬鹿にするようになったのだ。涼子はそれをやめさせるために、みんなの前でその子を叱った。しかし、それが彼の自尊心を傷つけ、涼子に対して強く反抗するようになった。涼子の小さなミスをあげつらったり、クラス中をけしかけて涼子をバカにしたりした。児童の親とも話し合ったが理解を得られなかった。ついに、涼子は我慢の限界に達し、授業中に彼を殴ってしまった。その夕方、その子は涼子に抗議する遺書を残し飛び降り自殺したのだ。
五郎は声を上げて涼子の話を止めた。中畑とふたりで杵次を教室から外へ追い出した。教室は大混乱だった。子供たちは校庭に出され、大人たちだけで話し合いの場が設けられた。校庭の子供たちは、涼子がかわいそうだと同情した。
純も同じ意見だった。しかし、純は別のことでも心を痛めていた。杵次は父兄会に参加せず帰った。酔った杵次に肩を貸し、正吉もすでに帰っていた。先ほどの騒ぎの最中、正吉はずっと目に涙を浮かべていたのだ。純はそんな正吉がとてもかわいそうだと思った。
その日は、夕方から雨になった。学校から帰ってきてからというもの、五郎は何もしゃべらなかった。夕食が終わり、21時ころになっても家の雰囲気は暗く沈んでいた。
そんな中、ふらりと杵次が訪ねてきた。傘をささない代わりに、またしても一升瓶を抱えて泥酔していた。雨の中、自転車で来たのだという。自転車で来た理由は、馬を今朝売ってしまったからだと説明した。
杵次は、あの馬は今頃は肉にされているだろうと話し始めた。昨晩、最後の晩餐としてごちそうを食べさせてやった。いつもと違う行動に、馬は自分の運命を悟っていたのだという。今朝馬小屋から出すと、急に立ち止まって動かなくなった。杵次の肩に何度も首を擦りつけ、目に涙を浮かべていたのを見た。馬は存分に別れを惜しむと、今度は自分から歩き出してトラックの荷台に収まったのだという。
杵次にとって、あの馬は女房同然だったという。18年間苦労を共にした仲だ。それなのに用がなくなったといって、杵次の勝手で売ってしまった。馬は杵次のことを信じていただろうに、裏切られた馬の気持ちを考えるとやるせないのだという。
そこまで言うと、杵次は再び雨の中を自転車で帰って行った。五郎が車で送ると提案しても無言のままだった。純と螢も暗い気持ちになった。
翌朝、雨は上がっていた。
純と螢が通学路の橋へ差し掛かると、大人たちが集まって騒然としていた。杵次が自転車ごと川に転落していた。すでに息をしていなかった。純と螢は走って家へ帰った。
純(吉岡秀隆)の性の目覚めがコミカルに描かれていました。本文からは割愛しましたが、清吉(大滝秀治)に相談しても埒のあかなかった五郎(田中邦衛)は、独自に雄しべと雌しべのたとえを使って純に性教育をしようとしました。雄しべが五郎で、雌しべが令子(いしだあゆみ)、そして花粉がくっつくと実ができる。その実が純と螢(中嶋朋子)であるという内容でした。しかし、脈絡もなく突然始まる講義や、五郎の支離滅裂な説明のせいで純には理解できなかったようです。もちろん、まさか自分の所持しているヌード写真集と関係しているとはこれっぽっちも思わないわけです。
原田美枝子のエロい肢体が動くところを見たいという人には映画『青春の殺人者』をお勧めしておきます。鼻血を出しながら「水谷豊、この野郎。いつか絶対殴る」と思うこと必至。あと、市原悦子のセクスィー・シーンも見れちゃうという、見たいかどうかは別として、稀有な作品。
さて。
泥酔して吠えたり、最愛の馬を売ってしまって後悔したりと見せ場満載だった杵次(大友柳太朗)が突然死。エロがらみで笑わせ油断させているところに、急に悲しい展開を持ってくるという、最強の感情揺さぶりプロット。ううぅ、辛いです。
気持ちの持って行き場に困ってしまいます。