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Smells like Racer Spirit

ヘルメットをよく見れば黄金のマスク(キン肉マン)のステッカーが貼ってある。

奈良県生駒市にあるスポーツカート阪奈でカートレーサーデビューしてきた。

1年以上前から、同僚の東大ロボくんと一緒に行こうと約束をしていた。彼はカートが趣味のひとつで、たまに走りに行っているそうだ。僕もこの手の遊びは大好きなので、話を聞いて興味津々ではあった。
しかし、グズグズしているうちに、彼は結婚をして、子供まで生まれた。すると、彼は赤ちゃんをお風呂に入れるという重要な役割を任されると同時に、妻のご機嫌を取りながら毎日を過ごさなくてはいけない立場となった。当然、僕なんかとフラフラとカートやりに行く時間など取れるはずがなくなったのである。

ところが、今は正月である。彼の妻は、正月休みで子供とともに里帰りをしているというではないか。時は満ちた。
鬼のいぬ間にカートである。

走っているのは僕じゃありません。なんか美人なおねぇさんでした。


出かける前、初めてのカートなので緊張していた。

スポーツカート阪奈のWEBサイトを熟読し、非会員は2,500円で5周できることがわかった。年会費5,000円で会員になれば、2,000円ごとに10周走行できることもわかった。
僕は様子がよくわからないので、非会員価格(2,500円5周)で体験走行することに決めた。

初めての人向けの説明を読むと、ヒラヒラしたものが付いている服装(スカートとかフード付きの上着とか、エルビス・プレスリーみたいなやつとか?)でなければ、基本的に動きやすい格好であればいいらしい。
そういうことならばと、僕はいつもの全身ユニクロスタイルで乗車することにした。そして、冬の屋外なのでヒートテックをがっちりと着こんだ。靴だけはABC-MARTで購入したスウェードのハーフブーツだった。

どれだけ寒いかと心配していたのだけれど、結局は杞憂だった。小雨模様だったのに、走り終わった時には体がポカポカしていた。
アドレナリンが出ていたせいもあるかもしれないし、路面から伝わる振動やカーブでの横Gに耐えるため体を硬くしていたせいもあるだろうが、早歩きで数百メートル移動したくらいには体力を消費した。

服装は自前だが、ヘルメットとグローブは無料で貸出をしてくれる(もちろん、カート使用料も無料)。
同僚の東大ロボくんから、「グローブって言っても、実際には軍手ですけどね」と事前に聞いていたので、レース場で軍手が出てきてもたいして驚かなかった。むしろ、予想に反して、掌にすべり止めゴムが付いているタイプだったので、むしろ嬉しい誤算だったほどだ。

それよりも、出かける前の最大の心配事はヘルメットだった。
フルフェイスのヘルメットが貸し出されるとの事だったが、誰が使ったかわからないヘルメットには一抹の不安があった。多くの人が使用した結果、いったいどんなスメルがするのかと想像すると、それだけで気を失いそうだった。

けれど、結果としてこれも杞憂だった。
受付でフェイスマスクが300円で売られていた。これを着用してヘルメットを被るのが必須であり、これあるおかげで貸出用ヘルメットに汗や匂いがつくのを防いでくれているのだ。これは一度購入すれば何度でも使える。
はたして、実際にヘルメットを被っても嫌なスメルは一切しなかった。

いよいよカートに乗り込むと、係員さんがエンジンをかけてくれた。
直後にガソリンエンジンの排気ガスの匂いが漂ってきた。町中で嗅げば不快だが、レース場にいるとそうではない。カッコイイ自分に酔うのに格好のエッセンスだ。ステアリングやシートを通じてエンジンの振動も伝わってくる。

コースに出た。
先述の通り、路面からの振動やカーブでのGに耐えるのに意外と力を使う。
最初はおっかなびっくりアクセルを踏んでいたのだが、半周も走ればフルアクセルも怖くなくなった。2週目くらいには車体を横滑りさせてカーブを曲がることが(偶然)できた。面白い。

5周だけでは飽きたらなかったので、追加料金2,100円を支払って、さらに5周走らせてもらった。

計10周のベストラップは 43.94秒だった。
同僚の東大ロボくんは39.06秒だったので、5秒近く差を付けられた。悔しい。
1週目は(彼がたまたま無様にもスピンしたことで)ずっと背中を見ながら走っていたのだが、2周めのホームストレートでみるみる差を付けられ(同じレンタルカートに載ってるはずなのになぜなんだよ!?)、第1カーブを曲がった時にはすでに彼の姿は見えなかった。ますますもって悔しい。

なお、「今日のベストラップ」は37.44秒とのこと。同僚君はこの時点で本日の9位だった。僕は30位以下でランキングに乗らなかった。

とはいえ、とても楽しかった。
2回めの訪問は近いだろうし、会員になる日も遠くないと思われる。


なぜこの曲なのか、わかる奴だけわかればいい。

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