アメリカ映画にも影響を与えて、後に『荒野の七人』としてリメイクされたって言うじゃない、僕はそれも観たことないけれど。ますます『七人の侍』を観ておかないといけないと思った。
ポスターなどでは三船敏郎がクローズアップされているから、彼が主人公だと思っていたのだけれど。実際には、志村喬が主役だった。いや、三船敏郎もかなり目立つ役ではあったけれど、これは紛れもなく志村喬の映画ですね。知恵と武勇と人徳を兼ね備えたかっこいい侍役でした。抱かれたい。
映画の舞台は、戦国時代の農村。付近に数無法者と化した野武士が数十名集まり、農村が襲撃される危機に陥った。百姓たちはそれを撃退するために、食いっぱぐれた浪人を雇って防衛を任せることにした。貧しい農村のため高額の報酬は準備できず、任務中に腹いっぱい食わせるという契約しかできない。世の浪人たちは武家としての立身出世を目的としているため、下賤な百姓に安く雇われることをよしとせず、募集は捗らない。
そんな中、落ちぶれつつも崇高な志を持った初老の武士(志村喬)が一人めとして協力することになった。状況を聞いた彼は、防衛には少なくとも7人の侍が必要だと見積もった。彼は持ち前の見識と人徳を発揮し、腕が立ち情にも篤そうな浪人を次々に見出し、村の防衛を指揮することになった。
しかし、百姓たちも一枚岩ではなかった。普段から年貢等で武家には苦しめられており、7人の侍たちを心の底から信頼することができない。侍たちも百姓の本音と建前に不快感を示すなど、身分間の軋轢も発生する。
棟梁格の侍は、それぞれの立場を思いやりつつ説得し、なんとか村の防衛準備を整える。そして、いよいよ野武士たちの攻撃が始まった。
・・・そんなお話。
見る前は、血みどろのアクション剣劇だとばかり思っていたのだけれど、実際にはヒューマンドラマだったと思いました。多くの登場人物たちの間に複雑な葛藤があって、それがどう昇華されていくか見せられるという。
大局的には、農村 with 7人の侍 vs 野武士団という対立構造になっている。しかし、上に書いたとおり仲間であるはずの百姓と7人の侍の間にもいくつかの対立がある。そして、農村の中でも、安全な地域にある家と危険地域の家の間では防衛戦に対する熱意も違っていたりして、なかなかまとまらない。また、7人の侍の中でも三船敏郎が粗野で下品なトラブルメーカーで和を乱したり、最年少の侍(木村功)が百姓の娘とねんごろになったのがバレて百姓との連携を乱したり。野武士団に感しては、セリフや1カットくらいでチラッと語られるだけだけれど、旗色が悪くなってきたら仲間割れみたいなことも起きたり。
人間社会は複雑怪奇だなぁと改めて思った次第でした。
なお、百姓の言葉がマジで聞き取れなかった。今風の映画の田舎百姓の台詞回しではなかったし、ボソボソとしか喋らないし。1954年の映画なので音響技術が良くなかったせいなのか、70年近く経って日本語が変わってしまったのか、僕の老化で聴力が衰えているせいなのか、身分の違いを強調するためにあえて当時でも聞き取りにくい台詞回しにしたのか(侍たちのセリフは聞き取れたので)は僕にはよくわかりません。