ケータイを持ったサル

知人より,こんな図柄の年賀状をいただいた(クリックで拡大).

「ケータイばっかり使ってると,サルになっちゃうよ」っつーことですな.

別の知人も,「『ケータイで連絡取れるからいいや』という態度で,待ち合わせの段取りすら満足にできなくなった現代人ってどうなのよ?」とある機会に言っていた.

どうやら,こういう思いは,多くの人が抱いているようで.「ケータイは健康に悪い,ケータイは社会の迷惑だ,ケータイ使うと馬鹿になる」なんて話があちこちから聞こえてきます.

そんな,流行を抑えつつ,本当のサルと現代人(ケータイを使う若者)をオーバーラップさせることでベストセラーを狙った(と思われる)本が,『ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊』(正高信男)です.
#実際,結構売れたみたいで.僕が買った時(2003年11月末)も,注文してからしばらく待たされた.今は,増刷したみたいね.

読んだ感想は「正高先生,ちょっと暴走しすぎ?単に売れることだけを目的にした?」でした.
みんながなんとなく思っている,現代社会の表層的な問題点だけを抜き出してきて,都合のよいようにサルの行動と比較しているに過ぎない感じです.
あと,かなり「????」だったのは,”昔は大家族で, じじ,ばば が子育てをやっていた.それが子供人格形成に大きな役割を果たした.現代の核家族ではそのよな役割を果たす人がいない” と,(よくある話を)主張しつつ,別の場所では”人間の社会的かしこさは,40代を境に低下する.このような年代は子供とうまく接することができない”みたいなことが書いてある.
#今,手元に本がないので,記憶を頼りに書いています

先にネガティブなことを書いてしまいましたが,個々のパーツはいずれも面白く,まともな研究の成果が報告されています.
特に,サルのコミュニケーションパターン(相手にメッセージが伝わっているかどうか判断する話や,ネットワークのパターンの話)に関する知見は今まで知らなかったことなので,勉強になりました.
また,夫の小遣いに関する夫婦への調査結果とか,笑えるし.^^;


ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊

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