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『鹿男あをによし』の舞台を巡る

先日、万城目学の『鹿男あをによし』を読んだせいで、にわかに奈良ブームが巻き起こった当方。

いや、普段の生活圏がまさに奈良なのだが、非常に生活臭くて、”観光” 目的で見て歩くことはほとんどない。
そこで、『鹿男あをによし』を手がかりに、そこに書かれている場所を何箇所か巡ってみた。

転害門

ばあさんの家は、県庁の裏手の小さな民家が並ぶ区域にある。県庁は東大寺の広大な敷地と道路一本を隔てて立っている。家を出て碁盤の目に引かれた細い道を進むと、東大寺の転害門が堂々とおれを迎える。

万城目学 『鹿男あをによし』 p.34

これが転害門。
今日は天気が良くて、青空とのコントラストがキレイだった。
もっと後ろから見ると、門の背後に若草山の緑も映え、さらに美しい。

東大寺といえば南大門が有名。
南大門は勇壮で迫力があるけれど、それに対して転害門は静謐で繊細な印象。
柵があって中に入れないのは残念だけれど、上に描いたとおり、空の青さや山の緑をバックにした風景は南大門以上に絵になる。
『鹿男あをによし』の第3章の扉絵にもなっている。

なお、読み方は「てがいもん」。”てんがいもん”ではない。
でもってどういうわけか、このあたりの町名は「手貝町(てがいちょう)」。
どうして当て字なんだろうね。


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東大寺・講堂跡

鹿と待ち合わせをしているわけではない。だが、向かう先に鹿がいるという強い確信があった。講堂跡はぽっかり月明かりに照らされていた。方形に並んだ礎石の列の中心に、やはり雌鹿が立っていた。

万城目学 『鹿男あをによし』 p.266

東大寺の大仏殿(拝観有料)のすぐ北に、野原がある。
ていうか、東大寺の敷地内は野原だらけだけど。
ただし、この講堂跡は、地面にたくさんの石(直径60cmくらいか?)が頭だけを出して埋められているので、すぐわかると思う。
右の写真のような石碑も建てられているし。

『鹿男あをによし』の第4章の扉絵。

見所として非常にマイナーなせいか、観光客はさっぱり見当たらなかった。
大仏殿にはたくさんの人がいたけれど。

涼しげな木陰もあるので、石に腰掛けて風に吹かれながら読書なんかすると気持ち良いかもしれない。
鹿のフンさえ気にしなければ。

なお、ここは『鹿男あをによし』の主人公が鹿との不思議な邂逅をする場所。
物語の中では、雌鹿1頭と雄鹿2頭という組み合わせが定番。
うれしいことに、僕もその組み合わせに遭遇。
#僕は「運び番」ではないせいか、無視されて逃げられちゃったけど。


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平城宮・朱雀門

朱雀門の脇を通って、平城宮に足を踏み入れた。
平城宮跡はすっかり闇に包まれている。広大な敷地の真ん中を突っ切って走る、近鉄電車の車窓の明かりが、しんみり夜に浮かんでいる。

万城目学 『鹿男あをによし』 p.332

「710年、なんと見事な平城京」でおなじみ、平城京の南端に鎮座する朱雀門である。
ただし、現在の朱雀門は1990年代に復元されたもの。
竹中工務店のサイトに復元工事の情報が掲載されている。

月曜日以外の 9:00-16:30 は無料で開放されているそうだが、残念ながら僕がついた時は 17時。外から眺めただけです。
門を迂回すれば、平城京跡に入ることは可能ですが。

『鹿男あをによし』の主人公は、朱雀門から近鉄・新大宮駅まで平気で歩ける健脚らしいが、僕だったら歩くのつらい距離かな。
だだっ広い駐車場があるので、足腰に自身のない方は車で行くのが吉かも。バスとかの乗り方は知りません。
なお、大宮通りを走行中に横を見れば朱雀門を見ることは可能ですが、わき見運転は控えてください。

そして、『鹿男あをによし』の表紙がまさに朱雀門です。


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