goo ニュース畑というサービスが始まった。
投稿された記事やコメントを編集スタッフが事前にチェックすることで、健全な情報交換コミュニティの形成を目指したサイトである。
たとえば、エイチ ティー ティー ピー コロン スラッシュ スラッシュ スラッシュ ドット ドット ジェー ピー スラッシュこと http://slashdot.jp/では随分古くから編集者による記事の採録プロセスが導入されており、正直あまり目新しさは感じなかった。
たしかに、スラドは内容が IT 系に大きく傾いているので一般向けではないので、goo は一般向けを目指そうとしているのかもしれない。
また、スラドはスレッド元となるニュース記事には編集者の手が入るが、その後のコメントは誰でも自由に投稿できるシステムである。
それに対して、ニュース畑はコメントにも編集者の手が入るので、違うといえば違う。
しかし、スラドはモデレーション・システムを導入し、一般参加者がお互いに監視して不適切なコメントを”表示されにくくする”機能を実現している。
僕が見るところ、このモデレーション・システムはシンプルにして人的コストも少なく、それでいて強力だ。
ニュース畑が何を目指したいのか、ますますわからない。
それともう1つ気になった点があったので、
「ニュース畑の編集スタッフは平穏なサイトを生み出し、面白いサイトを阻害するのではないか」
というタイトルをつけて、ニュース畑自身に記事を投稿してみた(20:30ころ)。
この内容、採用されるかどうか、ちょっぴり楽しみなり。
ニュース畑の編集スタッフは平穏なサイトを生み出し、面白いサイトを阻害するのではないか
知人は夏目漱石の「こころ」について、
「そのときの主人公の気持ちを書きなさい」
という現代国語の試験問題が出されたことがあるそうだ。
彼女にとって、それは簡単であり難しい問いであった。
簡単な理由とは、主人公の気持ちがわかったからだ。
しかし、困ったことに彼女は2つの解答を思いついていた。
1つは「自分が彼の立場だったらこう思う」という解答で、もう1つは「出題した先生はこういう答えを期待している」という解答だった。もちろん、2つの解答は異なる。
試験で点数を取るためには先生の意向に沿った答えを書かねばならぬ。
けれども、自分の意見を取り下げるのは癪だし、点数のために先生のお気に入りの意見に迎合するのはもっと癪である。
結局、彼女がどちらを解答用紙に書き込んだのかは、聞き漏らしてしまった (聞いたけれど、私が忘れてしまったのかもしれない)。
彼女には自分の主張を曲げない気概のある人物でいて欲しかったと思うが、きっと先生のお気に入りの解答をして点数を得たのではないかと思っている。
なぜなら、彼女は分別のある人であり、相手の思惑に沿うことが善良なことだと思っている人だから。
さて、本日 goo が「ニュース畑」というサービスを開始した。
ニュース畑は人々が情報や意見の交換を行う掲示板のようなものである。
ただし、特徴的な点として、投稿された記事は全て専門スタッフがチェックし、健全なもののみを掲載するとのことだ。
つまり、荒らしや誹謗中傷を事前に排除することで、人々が安心して気持ちよく利用できるサイトを作ろうという試みである。
その目標は崇高なものであり、私もそういうコミュニティが実現されれば言うことはない。
しかし、ニュース畑が行おうとしている「事前チェック方式」については、大きな疑問符を抱いている。
事前チェックで介入されたコミュニティに、果たしてどれほどの魅力があるのか。
すでにニュース畑のサイトでは、どのような記事が採用されやすいかが説明されている。
http://news.goo.ne.jp/hatake/about.html?pageid=7#howto
ここに書かれたお作法を守り、無難な記事を書けば、採用のチャンスはあがるだろう。
記事が採用されればポイントも貰えるので、無難な記事を書く誘因もある。
さて、あなたがニュース畑に夏目漱石の「こころ」の感想を投稿するとしよう。
書けるネタは2種類のうち、1つだけである。
1. 自分の心情をストレートに表現する内容。ただし、スタッフウケは悪い。
2. ニュース畑のスタッフにウケる内容。ただし、自分の気持ちは全然入っていない。
ホンネでは1を書きたい。しかし、それでは不採録である。
やむを得ず、2の「スタッフウケ」を狙うしかないだろう。
スタッフの存在によって、荒らし以外のまっとうな意見まで抑圧されかねない。
そして、サイトにとってより深刻な問題はその先にある。
人々が採用のため「スタッフウケ」する記事ばかり投稿するようになったら、スタッフ(もしくは、彼らに感性の近い人々)にしか面白みのないサイトになってしまうだろう。
杞憂だといいのだが、そういうサイトが大成する可能性はあまり高くないのではないか。
ニュース畑は始まったばかりであり、今後どのような展開を見せるか正確にはわからない。
しかし、私は2つの点で注目している。
1つは、人々は「スタッフウケ」を回避して、骨太な記事を投稿するかどうか。
もう1つは、このようなスタッフ批判と受け取れる記事が採用されるかどうかである。
掲載されてた。
ちょっとドキドキした。
http://news.goo.ne.jp/hatake/20071113/kiji94.html
ニュース畑で簡単にポイントを稼ぐ方法、ニュース畑が混迷するシナリオ、その解決策はあるか。
ニュース畑への投稿第2弾 (第1弾はこちら)。 ニュース畑のセコイ技を宣言してみる。 はてさて、どうなるか。…