家で猫を飼っていたり、干支が寅であったり、野球チームは阪神を応援していたり(関西ではこう言わざるを得ない)と、ネコ科系動物派を自称する当方は、お馬さんにはまったく興味がないわけで。
ところが最近、某マイミクさんが札幌競馬場に足繁く通っていたり、別のマイミクさんが乗馬体験に出かけたり。そういや、某古い付き合いのおねーさんも昔競馬関係のWEBサイトで名を上げていたとか、いなかったとか。そんなわけで、にわかに当方の周辺でお馬さんが熱くなってきている。
ていうか、よく考えたら、北海道の胆振・日高地方で育った当方。このあたりには、静内、浦河、社台、千歳などの、競走馬の生産地がたくさんある。思い出したんだけれど、高校や予備校の同級生に牧場の息子ってヤツが何人かいた。中には、現在、競走馬の牧場で働いている知人もいたり、いなかったり。
馬に対して、これだけ間接的な関係がある当方なのだから、なにか馬にまつわることに手を出さなくてはいけないような気がしてきた。
そんなわけで、競馬伝説 Live!なるオンラインゲームで遊び始めてみた(無料でも遊べる)。自分で競走馬を育てるという、「ウィニングポスト」や「ダービースタリオン」っぽいゲームだ。
・・・って、ゲームの話じゃなくて。
そこで早速、『優駿』を読んでみた。
読んでみて、ビックリ。
「ものすごく強い競走馬が生まれて、順当に勝ち進んで、みんながハッピーになってめでたしめでたし」という単純な話だと思って読み始めたら、まったくそんなことはなかった。
オラシオンという物語の中心となる競走馬は確かに強くて、無敵状態で勝ち進むところは事前の予想通り。しかし、それを取り巻く人間模様がドロドロしていて、どいつもこいつも人間として尊敬できない登場人物ばっかりで、最終的にスッキリと手放しで幸せになった人間が一人もいなくて、もうどこにカタルシスを求めていいのかわからない作品。
しかし、しかし、しかし、その人間の業の深さに辟易しながらも、読み始めると止まらない。読み終わったときには、大きなため息を吐いて、放心した(@ならファ地下の Tully’s Coffee)。
イヤな登場人物ばっかりで読んでても疲れるし、一人ひとりの登場人物に光を当てると誰も幸せになっていないので読後感も良くないのだが、ちっぽけな人間たちの人生の歯車が見事にかみ合う展開は見事だと思わされた。そんなため息。
なお、主役級の登場人物である和具久美子を映画で演じたのは斎藤由貴だったそうだ。しかし、僕はその名前に引かれて、後藤久美子を想像しながら読んでしまった。小説の中の久美子は、男好きのする、小賢しくて生意気な大学生として描かれている。これって、(若い頃の)後藤久美子のイメージそのままじゃないか。