黄色い絨毯: 北大の銀杏並木

銀杏並木

先日から見たいと思っていた、北大・13条門の銀杏並木を見物してきた(参考: 平成20年イチョウ並木黄葉状況 北海道大学)。


大抵の葉は落ちてしまっており、ほとんどの木は坊主になっていた。黄色いトンネルをくぐるのを楽しみにしていたのだけれど、時期が遅かったのだから仕方あるまい。

そのかわり、地面一杯に敷き詰められた黄色い葉は美しかった。見事だった。ため息をついてうっとり見入った。朝からどんよりと曇っていけれど、僕が立ち止まった時にちょっとだけ陽で照らされた。金糸で編まれた絨毯のよう。神様もニクい演出をしてくれる。

北大関係者と思しき人々は、みな足早に立ち去っていく。僕もここは何度も通っていたはずなのに、学生のときの銀杏並木の記憶はあまり残っていない。僕も、彼らのようにセカセカとしていて、こんなに美しい風景に気が向いていなかったんだろうか。もったいないことをした。

観光客たちは思い思いに立ち止まりつつ、ゆっくり歩く。老いも若きもカップルが多い。そして必ず女性が被写体で、男性がカメラを構える。確かに、僕も女の子連れだったら同じことをするだろう。しかし、誰も彼もがまったく同じ行動をとっているのを遠巻きに見ていると可笑しくなってくる。

でも、みんな楽しそう。上の写真に写っているカップルもそんな感じ。黄色いじゅうたんの上に女性を立たせ、笑顔を1枚撮影。その後、カメラマン氏は女性を後ろ向きに立たせバックショットの撮影。女性も、リクエストがあったわけでもないのに、片ひざを上に折り曲げて(まいっちんぐマチ子先生の足のポーズ)、ちょっと可愛い仕草をして見せていた。野次馬の僕も楽しくなってきた。

工学部前のT字路あたりでは、初老の夫婦がいた。やっぱり妻が被写体。ウキウキした気分になり始めていた僕は、彼らに声をかけてツーショットを撮ってあげた。
二人は控えめだけど、美しい微笑をしていた。写真に撮られるから無理に笑顔を作ったのか、夫婦で一緒に旅しているのが嬉しくて自然に頬が緩むのか。彼らの本心はわからないけど、僕の小さなおせっかいが彼らの笑顔の一部になっているのだとしたら、嬉しいな。
人に親切をしたのは気持ちが良かった。でも、それだけじゃなかった。プチ芸術家として、一つの作品が完成したのも嬉しかった。この黄色い風景をスナップに収めるには、幸せそうな複数の人間がパーツとして必須だと思ったんだ。

その後、ますます気分が良くなったので、ポプラ並木まで足を伸ばした。
北大の中心地からは外れたところにあるし、場所も分かりにくいので、有名な割には観光客の少ないスポット。今日もほとんど人影が見えなかった。

ポプラ並木

でも、並木の向こう側に、1組のカップル。
ケータイカメラの性能と、僕の腕前のせいで平凡な写真になってしまったけれど、実際に見たら映画のワンシーンかと思ったよ。
いい絵だった。

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