見仏記の中で、みうらじゅんが最愛の仏と告白しているのが、京都府南部・木津川市加茂町にある浄瑠璃寺の吉祥天女像だ。
ここの吉祥天女像は秘仏であり、1年の中で限られた期間しか拝観することができない。今がちょうど春の公開期なので見仏に出かけてきた。
そばには岩船寺もあるので、あわせて訪ねてきた。
【浄瑠璃寺】
みうらじゅんが恋している吉祥天女は、1月1日-1月15日、3月21日-5月20日、10月1日-11月30日の年3回の公開。花も美しいだろうと思って、春の今時期に出かけることにした。
今週は冬に逆戻りしたかのような気候だったせいか、桜はまったく咲いていなかったのが残念。
その代わり、春の浄瑠璃寺の名物の一つ、馬酔木(右写真)は見事に花をつけていた。
浄瑠璃寺の境内は中央に大きな池があり、それを挟み東西に建物が1つずつ配されている。真東に三重塔、真西に本堂がある。
東側は此岸(この世、現世、人間界)を表し、西側は彼岸(あの世、来世、浄土)を表しているそうだ。それぞれが正確に東西に対になっているのが美しい配置だと思った。西側にある本堂の中心から、まっすぐに東を見るとちゃんとそこに三重塔が見えるのだ。
彼岸を表した西側の本堂の中には、今回の目的である吉祥天女像をはじめ、9躯の阿弥陀如来像が安置されているのが特徴だ。いわゆる「ナムアミダブツ」という念仏は、この仏さんの力で西方10万億土の彼方にある極楽浄土に往生させてもらうということだ。そんなわけで、ここ浄瑠璃寺は西側に阿弥陀如来がいるわけだ。
本堂の写真をよく見ると白い障子が見える。うまく写真を撮ることができなかったが、9つの障子窓があり、そこを開けるとちょうど1体ずつ阿弥陀如来が見える設計になっている。9体あるのは「九品往生」という考え方で、人間の行いの結果9つのランクが付けられるということに対応しているらしい。
本堂の中に入ると実際に9躯の阿弥陀如来像を見ることができる。よく目を凝らして見れば、それぞれに微妙な造作の違いなどが見て取れるようだが、僕には “大量工業製品”(もしくは、量産型ザク) のような没個性を感じてしまって、あまりピンとこなかった。
肝心の吉祥天女像に関しても、僕のストライクゾーンを外れた造形で、それほど興奮はしなかった。
確かに色白ぽっちゃり系なので、当方の好物女性のラインに乗っているのだけれど、京風のおちょぼ口と細い目は当方の趣味ではない感じだった。顔もちょっとパンパンに膨らんだ感じで、もう少しダイエットしてほしい感じ。
#しかし、10年後の山瀬まみがあの像のような感じになるんじゃないかという未来予想図が当方の頭の中にあるので、とても複雑な心境だった。
ただし、彼女が身に着けている衣装の彫りの表現は精密で、彩色も鮮やかだった。立体造形という観点で見れば、確かに価値の高い像だと思った。
住所: 京都府木津川市加茂町西小
駐車場: そばに有料駐車場(300円) 20台ほど
拝観料: 300円
木津川市による紹介
【岩船寺】
浄瑠璃寺の後、近所にある岩船寺(がんしょうじ)に向かった。
浄瑠璃寺から歩くと30分ほどの道のりで、道中にある多くの石仏は見所だそうだ。しかし、足腰の弱い当方なので、サクッと車で5分ほど移動した。
こちらの本堂にも阿弥陀如来が本尊として安置されていたが、それを取り囲む四天王の造形が屈強感満点で、少年の心を忘れていない当方としては、グッと来た。カッコいいのだ。
真ん中で静かに瞑想する阿弥陀如来の邪魔をしないように気をつけつつ、周りに油断なく厳しい視線を配る四天王の姿を見ると、実が引き締まる思いでもある。
それに対して、建物の奥に勢ぞろいしている十二神将は四頭身ほどにデフォルメされた造形で、どことなく可愛い。女子高生がケータイ・ストラップにじゃらじゃらぶら下げていてもおかしくない感じだ。
彼らは薬師如来のガードマンであるはずなのに、ボスと離れて隅っこの方により集まっていた。十二神将のひとりひとりに、「お前ら、ちゃんとボスを守って仕事せーや」と心で突っ込みを入れつつ見てしまった可愛さよ。
あと、これは岩船寺とは直接の関係はないのだが、門前にある商店(営業しているのか不明)のドアに笑わせてもらった。明らかに引き戸なのだが、ドアには「自動ドア」と書いてある。しかも、そのステッカーがどうも手書きのチープなものだ。
近づいて見ると、「自(分で) 動(かす) ドア」と書いてある。
ここでも「おいおい、オヤジギャグ書いてる間に、ちゃんと営業せーや」と突っ込んでしまった可笑しさよ。
住所: 京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43番地
Tel: 0774-76-3390
駐車場: そばに有料駐車場(100 – 300円) 20台ほど(屋台の横がおすすめ)
拝観料: 300円
木津川市による紹介