しかも、奈良国立博物館の愛染明王はかなり状態がいい。
1256年に作られたものだそうだが、保存状態が良かったらしく、肌の赤色はとてもきれいに残っているし、6本の手に持った装飾品(本当は、1本の腕には何も持たないので5つだが)も作成当時のものがそのまま残っているそうだ。細い作りの矢や弓は欠けている場合が多いので、それだけでかなり感動。
近寄って目を凝らすと、胸に着けているチョーカーのような装飾具も丹念に作られていて美しい。金色の細い細工の先に、青いビーズが付けられているのが見事で、しばし見入ってしまった。
#奈良国立博物館による説明
そうとは知らずに、僕は左回りで建物を一周してしまったけれど。もちろん、おかげでたくさんの美術品に触れられたし、前座が終わってラスト(本当に、左回りで見て回ると、一番最後の展示品の位置にある)に愛染明王が出てくるという演出にひどく感激したけれど。
ていうか、愛染明王の展示されている13室のテーマは「明王像と天部像」。ゆえに、不動明王とか十二神将なども一緒に展示されている。
十二神将というのは薬師如来のガードマンを務める12の屈強な天たちで、どういうわけか十二支に対応している。人によっては、自分の干支の神将にお祈りするとかしないとか。
そんな十二神将なのだが、この部屋には室生寺から出張している未神と辰神がニラミを利かせていた。
強そうでカッコいいんだど、僕はそこの未神を見てニヤニヤしてしまった。だって、顔が田中邦衛にそっくりなんだもん。彼が左手を頬に当てつつ、首をかしげて考え込んでいる姿にそっくり。愛染明王を見るとの同じくらいの時間を、田中邦衛バージョンの未神を見てすごしてしまった。
そんなわけで、今、奈良国立博物館の13室がアツイよ。
日本一有名と言っても過言ではない、広隆寺の弥勒菩薩半跏像(右図)のことを「泣き顔仏」などとユルく紹介している田中ひろみの「仏像、大好き!