天王山・久修園院: 西国愛染明王ツアー(12)

久修園院の御朱印

西国愛染十七霊場の12番、大阪府枚方市の久修園院(くしゅうおんいん)に行ってきた。

ここに収蔵されている愛染明王は、高さが6尺(約2m)もあり、日本で最も大きい愛染明王像ではないかと言われているそうだ。確かに、薄暗いお堂の中で見ると、その巨大さに思わず息をのんだ。造形も雄々しく、なかなかの迫力。この愛染明王の前では、悪いことできないなぁ、って感じになってくる。

愛染明王と言えば真っ赤なボディが特徴だが、ここの愛染明王は黒くすすけている。指の間やわきの下など、かげになる部分は赤い色が見て取れたが、それ以外は黒くなっていた。
案内してくれたおばあさんの話(後述するが、彼女の話は要領を得なくて、僕の理解が間違っているかもしれない)によれば、一度火災に巻き込まれて、煤だらけになったそうだ。煤を払って身を清めようとしたのだけれど、当時の住職さんの「仏さんの体に軽々しく触れるべきではない」という意見に従ってそのままにしてあるとか。
続きを読む

東寺: 西国愛染明王ツアー(8)

東寺の愛染明王御朱印

西国愛染十七霊場の八番札所である東寺に行ってきた。

僕の知る限り、東寺には宝物館と観智院で愛染明王を見仏することができる。僕も今年の3月に見てきた
場所は分かっているので、小雨の降る中ルンルン♪と出かけたのだが、公開日のチェックを怠っていたため、見仏できなかった。特別公開は原則的に1/1-1/5、 3/20-5/25、 9/20-11/25の年3回だそうだ。愛染明王を見仏したい人は、スケジュールをよくチェックすべきだろう。

続きを読む

勝鬘院・愛染堂: 西国愛染明王ツアー始めました

愛染堂の朱印

これまで寺に参拝しても、朱印集めには一切興味を示さなかった当方が、ついに朱印帳デビューを果たしましたよ。
西国愛染十七霊場を律儀に1番から順に周り始めたのですよ。

勝鬘院愛染堂の愛染明王愛欲を昇華して悟りを開くという愛染明王の、どこか下種な感じが大好きな当方。しかも、赤くてかっこいい。手に弓矢を持ってるのでキューピッドぽいところも可愛い。とにかく、ベタ惚れだ。

西国愛染十七霊場ツアーに旅立つことはずいぶん前に決めていたのだが、なんと1番霊場の勝鬘院・愛染堂の愛染明王は、1年のうち年始(12/31深夜 – 1/7)と夏(6/30 – 7/2)のたった10日ほどしか公開されない。朱印だけ集めればいいってもんじゃなくて、ちゃんと愛染明王も見仏したいじゃないか。
そんなわけで、勝鬘院の愛染明王が公開されている今日、ついに西国愛染ツアーが幕を開けた。

続きを読む

不動明王×愛染明王 リバーシブルスカジャン

不動明王×愛染明王 リバーシブルスカジャンsterai 氏は不動明王と愛染明王の違いを理解できていなかったようなので、説明用の画像を探した。

すると、とても分かりやすいが、どこかしら滑稽で、でもちょっと欲しいなと思い、しかしこんなの着てたら女の子にますますモテなくなるだろうと予期し、そもそも高すぎて買えねーよ・・・という“不動明王×愛染明王”リバーシブルスカジャン(ワインレッド×ブラック)などという商品を見つけてぶっ飛んだから、記録しておく次第。

続きを読む

勝鬘院の愛染まつりに行きたい (6/30 – 7/2)

愛染明王LOVEな当方は、西国愛染十七霊場1番札所であるところの勝鬘院(大阪市)に行きたい。
しかもここ、年始(12/31深夜 – 1/7)と夏(6/30 – 7/2)のごく限られた期間しか、愛染明王が公開されない。

来週がちょうど公開期間で、愛染まつりも開催されるらしい。平日だけど、ぜひ行きたい。

愛染明王の見仏ももちろんだけれど、愛染娘で目の保養もしたい。

醍醐寺: 愛染明王はおあずけで、仁王に度肝を抜かれる

醍醐寺霊宝館先日、いとう・みうら『見仏記 ゴールデンガイド篇』を読んでいたら、京都市の醍醐寺にも愛染明王があると書いてあった。
敬愛する愛染明王さえあれば、当方は全国津々浦々どこにでも出かけていく気満々である。
愛染明王の展示されている醍醐寺の霊宝館は春と秋の限られた時期しか公開されていないらしい。しかも、春の公開が5月6日までとのことなので、今日を逃すと半年以上おあずけをくらうことになる。
そんなわけで、超ダッシュで行ってきた。

しかし、結論から先に言うと、目当ての愛染明王を拝観することはできなかった。寺の人に話を聞くと、霊宝館の展示物は時期によって変わるらしい。そんなわけで、今回の公開では愛染明王は展示されていなかったのだ。

ちょっぴり残念だけれど、秋の公開時に展示されることを期待。境内のあちこちにたくさんのモミジが植えられていて、紅葉狩りがてらに再訪するのもよかろう。モミジの赤と、愛染明王の赤の競い合いは想像するだけでまぶしい。

愛染明王は見れなかったけれど、醍醐寺はそれ以外にもたくさんの見所があって、とても楽しめた。

続きを読む

奈良国立博物館: 愛染明王は田中邦衛のルームメイト

奈良国立博物館の愛染明王(同館サイトより)当方の恋する愛染明王があると聞けば、日本全国どこでも出かけていく気満々の当方だが、まさか奈良随一の観光地・奈良公園にある奈良国立博物館でも1体収蔵されていたとは盲点だった。そんなわけで、見仏してきた(平常展拝観料 500円)。

しかも、奈良国立博物館の愛染明王はかなり状態がいい。
1256年に作られたものだそうだが、保存状態が良かったらしく、肌の赤色はとてもきれいに残っているし、6本の手に持った装飾品(本当は、1本の腕には何も持たないので5つだが)も作成当時のものがそのまま残っているそうだ。細い作りの矢や弓は欠けている場合が多いので、それだけでかなり感動。
近寄って目を凝らすと、胸に着けているチョーカーのような装飾具も丹念に作られていて美しい。金色の細い細工の先に、青いビーズが付けられているのが見事で、しばし見入ってしまった。
奈良国立博物館による説明

続きを読む

海龍王寺: 愛染明王を追いかけて、みうらじゅんに出会う

西大寺の愛染明王(西国愛染十七霊場 公式ホームページより)

愛染明王ブーム

昨日、奈良市の西大寺・愛染堂で愛染明王像を見てノックアウトされた当方

絶ち難い煩悩である愛欲を追求することで、むしろ悟りを開こうとする態度に深く感じ入った当方。
真っ赤なシャア専用像なところもカッコいい。
昨日、西大寺で見た愛染明王坐像の周りには、3匹のトンボの死骸があった。西大寺のおじさんと「あの3匹は家族だ。愛を司る愛染明王の膝元で、家族愛の強い3匹が仲良く絶命している」などと、勝手ストーリーを語り合ったりもした。

そんなわけで、にわかに愛染明王にZokkon命ゾッコン ラブな当方。
西国愛染十七霊場なんていうものまで見つけて、近畿の愛染明王を全て行脚しようかとも考えている(右の写真は、同サイトの西大寺紹介より)。

そんな中、昨日、西大寺で愛染明王に初めてお会いした後、性懲りもなくいとうせいこう&みうらじゅん『見仏記(4)』を読んでいたら、奈良の海龍王寺の訪問記にたった2文、こんな記述を見つけた(p.142)。

厨子をはさんで左手には座高五十センチほどの愛染坐像。どちらも親しみのわく風情で、・・・(以下略)

地図を見ると、うちから車で10分強(京奈和自動車道利用)のところじゃないか。
みうらじゅんは、西大寺の愛染明王こそ「愛染明王界では一番有名」などと言っている。しかし、せっかく近いのだから、海龍王寺の愛染明王がどんな感じなのか、そして西大寺が一番優れているのかどうか見定めたいと思い、ブーンと出かけてきた。
続きを読む

西大寺: 量産型とシャア専用

見仏はじめました

先日、北海道から帰って来る日、大雪のため千歳空港発着のダイヤが大幅に乱れていた。2-3時間の遅れを覚悟し、本屋に向かって暇つぶし用の文庫を物色することにした。しかし、あまり興味の引かれる本はなかった。
数ヶ月前から、みうらじゅん&安齋肇の「勝手に観光協会」を好きでよく見ていたので、なんとなくみうらじゅん関係の本を物色し、昔から存在は知っていたのだけれどイマイチ面白くなさそうだと思って敬遠していた『見仏記』(いとうせいこう・みうらじゅん)を手に取った。どうせ、しばらく時間が潰せればいいだけだし。奈良の東大寺とかが紹介されているので、軽く読めればいいやとも思ったし。

ところが、読み始めてすぐに、『見仏記』は名著だと思うようになった。全然宗教くさくないし、説教くさくもないし、文体も軽妙で読みやすい(ちなみに、文章はいとうせいこう、イラストはみうらじゅんという分担になっている)。
今まで、仏像は”拝観”するものであり、そこに宗教的な意義を見出さなければならないと思い込んでいた当方であるが、そのような既成概念がたった数分でぶち壊された。

みうらじゅんに言わせれば、仏像というのは、涅槃(外国)から世俗(日本)に公演にやってきたロック・バンドだそうだ。本尊(寺の中央にいる、一番偉い仏像)がメインボーカルで、脇侍(仏像の周りにある像)はバンドメンバーになぞらえる。明王(e.g. 不動明王)や天(e.g. 帝釈天)は邪鬼と戦うという仏教上の設定があるのだが、それらを “ライブ会場の警備員” とみなしたり。そして、仏像を見に来た人間は、もちろんコンサート会場の客である。ロックバンドは、釈迦の教義を演奏しているというわけだ。
そのバカバカしくも、分かりやすいたとえを知り、俄然、仏像に興味がわいてしまった。

そんなわけで、せっかく奈良・京都圏内に住んでいるわけだし、僕も見仏に出かけようと思った。
もちろん、今まで近隣の寺周りをしたことはあるのだが、なんとなく「観光名所だから?」くらいのノリで漫然と出かけていただけだった。みうらじゅんのような視点を持って仏像を見ると、また違った面白さがわかってくるのではないかと期待が持てたのだ。

最初にどこに出かけようかと思ったのだが、同書の中でいとうせいこうが気に入ったと記している、西大寺の文殊菩薩を見仏に行くことにした。「三人寄れば文殊の知恵」という文殊が、どれだけ利口そうな顔をしているのか見てみたかったし。
続きを読む