本日、啓林堂書店・奈良店で森見登美彦のサイン会が開催されていたので、見物に行ってみた。
新刊『宵山万華鏡』を同書店で購入した先着50名に整理券が配布されるとのことであった。僕が現地に着いたのは、サイン会開始2時間前で、すでに整理券は払拭していた。ていうか、発売直後(7/3)から配布されていたようで、今さらノコノコ出かけていってもダメだったわけだ。
本にサインはもらえないわけだが、サイン会場への出入りは自由だったので、生の彼を見物してみることにした。
売り場の合間のスペースにテーブルが置かれ、ダンガリーシャツのようなものを着て、とても気軽な格好をした森見登美彦がいた。両隣には、出版社の社員と思われる人2名に挟まれていて、彼らは社会人らしいスーツ姿だった。
どこか垢抜けない姿の森見氏は、職員室に呼び出されて小さく縮こまっている生徒のような、アメリカ空軍の秘密部隊に捕まえられたリトル・グレイのような感じに見えた。
要するに、オーラがないっつーか、なんつーか。
しかし、オーラのなさをバカにしたいわけではない。
社会の表舞台とは一線を画すような、薄暗い路地裏にひっそりと息づいている妖怪のような。そういう飄々とした雰囲気が彼自身の持ち味であり、作品のエッセンスであるのだから、ファンの期待を裏切らないというか、存在そのものが作品というか。
とにかく、彼のオーラのなさこそが、彼のアイデンティティそのものだと思った。
若いが、清楚で大人しそうな女性ファンが、サインをもらった後も店内で遠巻きに見つめている姿が印象的だった。
森見氏に妙なオーラ感が漂い始めて、遠い存在になると、こういったファンがあっという間に離れて行っちゃうんだろうなと思った。現在の彼の、微妙な距離感にあるモテモテぶりに、かなりジェラシー。