師匠のおかげで支障をきたしているという話

今週発売の漫画雑誌、モーニング2009年45号に掲載されている、広瀬和生の「今週この落語家を聴け!(20): 吹っ切れた喬太郎」という記事にジーンときた。

柳家喬太郎という落語家がスランプに陥ったそうだ。そんな時、落語会の催しで師弟の対談ショーが行われたという。師匠の柳家さん喬は、一番弟子でもある喬太郎を暖かく励まし、最後にこう付け足したそうだ。

弟子は師匠の名を残すことが出来る。おまえが立派になって、どこへ行っても「さん喬の弟子の喬太郎」と言われる。ありがたいことだ。師匠は弟子を大きくしてやることは出来ないが、弟子は師匠を育てることが出来るんだよ。

電車の中でモーニングを読んでいて、さっきまで「誰も寝てはならぬ」で頬を緩めていたはずの僕なのだけれど、思わずグッと来て、落涙しそうになった。


明日から学会で、おそらく僕は学生時代の指導教官と顔を合わせるわけだ。
僕の指導教官だった人は、さん喬のように機転の利いた事の言える人ではないので(つーか、落語家と比較してはだめだよね)、彼があのようなセリフを言うことは絶対にないのだろうけれど、なんだか自分の指導教官に言われたような気がして。

ていうか、自分が師匠を大きくしているなどという、不遜なことは考えないだけのつつましさを僕は持ってるけど。
つーか反対に、自分が師匠の顔に泥を塗ってんじゃないかという不安には襲われたりもするけれど。

そんな感じで、グルグルぐるぐる考えながら帰ってきたら、封書が届いてた。
どこの神様のいたずらか知らんけれど、涙腺が決壊した。

ネット評判社会

・・・嬉しいよ。嬉しいんだけれど、どっかの神様のいたずらのせいで湿っぽくなってしまって、明日の準備が終わらねー。

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コメント (5)

  1. 大彦

    準備終わってないのにモリータ将軍と飲みにいっちゃって、たいへんっす……。

    「弟子は師匠の名を残すことが出来る」はきついねえ。悪い意味で師匠の名を残すことのないようにがんばろう……。

  2. 木公

    でも、帰属のエラーがあるから、うまくいった場合は「さすが、○○師匠の弟子だ」と師匠のおかげだと人々に思われ、失敗した場合は全て本人の能力に帰属されて「××はダメなヤツだ」と師匠は無関係になると、思ったり、思わなかったり。

    ・・・とか考える前に、「無条件に、師匠の名をあげるようにがんばろう」と単純に考えておいたほうがいいに決まってんだよなと、思ったり、思わなかったりもしている。

  3. sterai

     う~ん、このタイミングは確かに涙腺決壊するでしょうね。本当にどんな神様のいたずらなのか…。

  4. 木公

    今日は朝一のセッションで発表だったので、それが終わった昼にでも師匠に献本のお礼を言うつもりだった。ちょー早めに受付を済ませ、会議室に潜み(このセッションに師匠が来ないだろうことは明らか)、うっかり顔を合わせたりしないように配慮していた。

    しかし、どうしても学会受付付近に行く用事ができてしまい、悪いことに師匠の姿を発見。心の準備ができてないので、こっそり逃げ出そうと思ったのだけれど、目があってしまった。
    目礼をし、会ってしまったものは仕方ないから本のお礼を言おうと思ったら、横から今回一緒に仕事をしている某美人人妻にインタラプトされてしまった。
    元指導教官と、べっぴんを秤にかけ、美人を採択する俺。義理もなにもあったもんじゃない。

    美人と仕事の話をしつつ、横目で師匠の方を見ると、彼の横には大彦(当方の師匠から見れば、甥弟子みたいな感じ)がいるし。「お前、誰に断って、俺より先に俺の師匠と一緒にいるんだよ?」と内心ジェラシーの炎を燃やしながら、美人人妻との打ち合わせを終わらせた。
    (大彦についての補足 http://twitter.com/daihiko/status/4757813281

    で、改めて師匠に挨拶をすることに。
    なんかこの時点で、昨夜の感情の盛り上がりとか緊張とかがほとんどなくなってしまっていた当方。

    「本、昨日届きました。どーもっス」
    みたいな、気の抜けた言葉しか出てこなかった。さらに
    「どうも学生時代の悪い癖が抜けなくて、ギリギリまで発表準備していて、本を見る暇が全くありませんでした。なので、全然見てましぇ~ん」
    とか言う始末。

    師匠には、バカを見るような目で笑われた。
    でも、昔より、どこか優しい笑い顔のようにも見えた。彼と僕との関係が大きく変わってしまったせいなのか、彼も歳をとったせいなのかはよーわからん。

    師匠は「あの仕事のときは、木公に世話になったから、謝辞に名前書いといたよ」みたいなことを言ってくれた。

    言われなくても知ってるんだ。本当は、冒頭の数ページだけペラペラとめくって、自分の名前が書かれてあることは、昨夜のうちに発見していたんだ。

    でも、それが嬉しくて、昨夜ついうるっと来たことをちゃんと意識すると、ここでも再びうるっと来そうであり、朝っぱらから学会会場で元指導教官の前で男泣きする姿ってのも、他の参加者からすれば気味が悪いだろうから、そういう状況だけは避けなくちゃならなかったんだ。

    だから、あえて意識をよそに飛ばすために
    「いやぁ、まじで読む暇なくて。へへへっ」
    とごまかすのが精一杯だった。

  5. 木公

    本日の遭遇日誌。

    可愛い女子2名にコーヒーを持っていってあげようと思って、左手に2杯(女子用)、右手に1杯(俺用)を持ってコーヒーサーバーがあるところから移動を開始した。その矢先、前方から当方の指導教官が、いかにもコーヒーを欲しそうな顔をして歩いてきた。
    しゃーねーなぁと、1杯差し上げざるを得なかった。

    女子2名がいるはずの場所に戻ったら、女子1号(通称・某美人人妻)しかいなかったので、彼女と1杯ずつわけあって飲んだ。

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