本作のヒロインは1922年(大正11)生まれという設定であり、瀬戸内寂聴と同い年なのだと気づいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第11回目の放送を見ましたよ。
川原(金子ノブアキ)がハーモニカで吹いていたのは「月の砂漠」だった。その曲は、生前の母(原田知世)がよく歌っていたもので、陽子(井上真央)も大好きだった。
長兄の春樹(田中圭)もお気に入りの曲のようで、よく川原に吹いてくれと頼むらしい。そこから寮での春樹の様子についての話になった。川原が言うには、春樹は誰にも言えない悲しみを秘めており、そのせいかとても厳しく自分を律して勉学に励んでいるという。陽子は、一家が安曇野に越してきた夜に春樹がこっそりと泣いていたことを思い出した。
川原に請われ、陽子は伴奏に合わせて歌った。それは楽しい出来事だった。
ただし、後にこの初恋は、他の多くの初恋と同じ運命をたどることになる。
陽子は学校でもそわそわしたり、ぼーっとしたりしている。学校帰りに水飴屋・村上堂に立ち寄り、親友たちに自分の初恋を打ち明けた。みんなは陽子と一緒になって興奮してきた。
つられて、育子(満島ひかり)も自分の恋の遍歴を告白した。初恋は2年前で、これまで3人の男性と交際したという。育子の先進性に驚く一同であったが、後になって全て嘘だと判明した。自分を新しい時代の女性に見せたいと思っている育子は、恋も人並み以上にしていると言わざるを得なかったのだ。
一方、真知子(マイコ)は、恋はしないと決めていると宣言した。許婚がおり、別の男性と恋をしても辛いだけだと言い、そういう家に生まれたのだから仕方がないと納得していた。しかし、真知子も間もなく、つらい恋を経験する事となる。
陽子の家の夕食は、今日も楽しいものだった。春樹や川原の寮のそばで勤務する若い巡査が話題の中心だった。その巡査は年は変わらないが、すでに働いている。彼に比べれば、春樹らが学校に通えることは幸福である。父・良一(寺脇康文)は、世の中には学びたくても学べない人も大勢いる。そういう人々のためにも自分たちがしっかりと勉強し、世の役に立つ人物になるようにと諭すのだった。
話を聞いていた次兄の茂樹(永山絢斗)は、戦地に赴いて国のために戦っている軍人たちのことを思うのだった。
その時、誰かがおならをした。茂樹がからかって陽子のせいにした。川原の前で恥をかかされた陽子は部屋に閉じこもってしまった。茂樹を呪い殺して、自分も後を追って死ぬことを決意した。まだまだ幼稚な恋だったのだ。
呪殺を実行するため、陽子は夜中に茂樹の部屋へ忍んで行った。そこで陽子は、海軍飛行隊の募集広告と教則本を見つけた。陽子は初めて戦争を身近に感じた。そして、兄がこっそりと計画していることを知って、空恐ろしくなった。どうしていいか解らず、陽子は何も見なかったことにした。
ナレーションの若尾文子が、いちいち登場人物の行く末のネタバレをする。ネタバレ自体はいいのだが(例えば、永野護『ファイブスター物語』という、最初に年表が発表されてその通りに進むマンガなんていうのもあって、壮大なネタバレなんだが僕は大好きだ)、あまりにありきたりな顛末で先を見るのが楽しみがそがれるんだよなぁ。
ネタバレするんでも「え、どうしてこの人の将来がそうなっちゃうの!?なんで、なんで??」みたいな話だとワクワクするんだけれども。
例えば、次兄で飛行機模型の大好きな茂樹じゃなくて、長男で医者を目指しているらしい春樹が志願兵になるのだと予告されたら、彼に何が起きるのか、と楽しみになろうものを。
どうなんだろうなぁ。
まとめ記事でも、ナレーションのネタバレ部分は削除しようかと悩んだ。しかし書いた。まだ脚本を信用していない部分があって、ナレーションで言ったことが後に実際に描かれるかどうかわからないから、念のため書いとけ、ってことで。