昨夜の『マドンナ・ヴェルデ』に冬瓜の煮物が出てきたのを見て、そういや自分は今まで一度しか冬瓜を食べたことがないなぁと思い、しかもそれは昔付き合っていた女の子に作ってもらったものであり、せっかく作ってもらったにも関わらず「これ、あんまり俺の好みじゃないかも」などとついうっかり言ってしまい、その子がカンカンに怒ったという経験を思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第45回目の放送を見ましたよ。
真知子はずっと神戸にいて、婚約者(萬雅之)の実家に住んでいたという。真知子は婚約中のままで、まだ正式に結婚はしていない。婚約者がヨーロッパへ鉄道経営を学びに行ったまま戦争が始まり、まだ帰国できないでいるからだ。しかも、手紙すら届かず、婚約者とは音信不通になった。心労で体を壊した婚約者の母と祖母の世話をしつつも、本当の娘のように可愛がられていたという。
そんな中、今日安曇野に帰ってきて、実家に帰る前に駅から陽子の家へ直行したのだという。
真知子はまだ春樹(田中圭)への未練を残していた。しかし、自分の運命を受け入れ、春樹と結ばれることは諦めていた。そのかわり、一生心に春樹のことを留めておくことを陽子の前で誓った。
また、父(平泉成)へ反抗して陽子の家の便所に立て篭もった時の壊れた取っ手を、今でも首に下げていた。陽子も大切に持っていると言って、ふたりで見せ合った。
話は、もう一人の親友・育子(満島ひかり)のことに及んだ。真知子と育子は全く連絡を取り合っていなかったが、陽子は細々と手紙のやりとりをしていた。しかし、陽子がいくら長い手紙を書いても、育子からはごく短い手紙が間欠的に届くだけだと説明した。育子について分かっていることは、東京で洋服や料理を紹介する記者になり、順調にやっているらしいということだけだった。
しかし、それは育子の嘘だった。
実際の育子は、往来に露店を開き、手紙の代筆屋をやっているに過ぎなかった。めったに客も来なかった。それでも明るく健気で、周囲の露店仲間とも良好な関係を築いていた。数少ない客に対しては、相手の気持ちをよく理解し、本人が上手く口に出せない心境を的確に文章化してやるなど、親切な代筆屋であった。
陽子の父・良一(寺脇康文)は、せっかく真知子が来たのだからと言って、自分が夕食を作ると言い出した。腰に真っ白なエプロンを巻き、とても張り切っていた。
ちょうど食事を始めようとしたとき、真知子の父がふらりとやって来た。
またしても真知子を取り戻しに来たのかと緊張する面々であったが、真知子の父には覇気がなく、とても様子がおかしかった。聞けば、国の命令で事業計画が全て中止に追いやられたという。そのせいで、これまで投資してきた金を全て失ってしまったという。
真知子の家は破産寸前であった。それにも関わらず、真知子は嬉しそうだった。
昨日の放送では、タケオ(柄本時生)が陽子の部屋にやって来た。そして、今日は真知子。
タケオの時は、彼をちょっと待たせて、部屋を片付けに行った。それに対して、真知子の場合は、何もせずにそのまま連れて入った。
こういう男女に対する異なる反応、いいねぇ。
そして、タケオは陽子に向かって「変わってしまった(笑わなくなった)」と言った。対して真知子は「全く変わらない」と言った。こういう所にも、細かい対比があったのは良かった。
あと、今日は育子のシーンが良かったですね。
戦地の夫に手紙を送りたい女性(芳野友美)は、夫に死なずに帰ってきて欲しいと伝えたい。しかし、「死ぬな」「生きて帰ってこい」などと手紙に書くことはできない世相。そこで、育子が「一緒に見た上野の桜を、来年は一緒に見れますように」と婉曲的に表現することを提案した。
また、傍の蕎麦屋台のオヤジ(丸岡奨詞)を口車に乗せて、タダで蕎麦を作らせたり。そのくせ「蕎麦は安曇野が一番」などとけなしつつ、それでもオヤジと仲良くしていたり。
#ああ、俺も冬瓜の時、そういう技が使えればよかったのに。
自然と周囲の人々を明るく照らす人物として好意的に描かれていました。
あれ、それって太陽の陽子なんじゃ・・・。どっちが主人公だ?