なんだか知らんが、とにかくムシャクシャしているわけで。
「ストレス解消には買い物がいちばん!」という話をよく耳にするが、僕にはなんでそれがストレス解消になるのかよーわからんかった。
数年前までは。
ここ何年か、なんとなくその境地がわかってきたような気がする。イライラする時に、衝動買いをすると気持ちが収まることもあることを身をもって知った。
そんなわけで、ムシャクシャするのでネット通販で本を買った。
以下のサブカル系(?)書籍2冊。合計2,800円のささやかな買い物。
これで心の平安を取り戻したのだから、安いものだ。
【中崎タツヤ『もたない男』】
中崎タツヤという人は、週間スピリッツで『じみへん』というマンガを20年ちかくほそぼそと連載している渋い漫画家。見開き2ページに完全手書きの15コマ漫画を描くという地味な連載漫画(一時期、4ページになったこともあったっけ)。
バカバカしいのだけれど、妙に思弁的で哲学的で風刺的な内容にグッとくる。僕が大学1年生だった1990年代前半ころには、「オレは重苦しい思索と、軽い笑いの両方の分かる、味わい深い男だぜ」っつーのを装うために、新入生の必読書だったような位置づけだった(ような気がする。少なくとも、当時の北大教養部文II系の一部では人気だった)。
その後、『じみへん』は多少の浮き沈みはあったものの、売れるわけでもなく、連載打ち切りになるわけでもなく、今日に至る。
そんな『じみへん』の作者の中崎タツヤは、どうやら変わり者らしい。
平塚に住んでいて、競輪が大好きだという話をどこかで読んだような気がする。あくせく働くわけでもなく、飄々としているっぽい。
そして、モノを所有するのが嫌いらしい。身の回りをこざっぱりとしていたいらしい。
仕事場には、机と椅子、昼寝用枕と寝袋、掃除機以外のものはなにもないらしい。賃貸アパートの入居時に備え付けてあったガスコンロさえ、邪魔だといって押入れの中にしまいこんだらしい。もちろん、カーペットなども敷かれていない。
あまりに殺風景で、訪問客は内見用の部屋だと思うほどだそうだ。
そういった彼の暮らしぶりや人生観が書かれているらしい『もたない男』を購入した次第。
彼の生き方を知り、俗世の細々したことにいちいち惑わされず達観してみたい。
【横田増生『評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」』】
タレントの似顔絵を消しゴム版画で作り、テレビやゴシップネタに対する鋭い評論をすることで有名だったナンシー関。
彼女が急死したのは2002年の6月のことだそうで、今がちょうど没後10年。
そのタイミングで『評伝ナンシー関』という本が出たそうだ。
関係者へのインタビューをはじめ、ナンシー関本人の版画や文章を収録し、彼女の業績や位置づけを浮き彫りにすることを目指した書物らしい。
著者の横田増生という人はジャーナリストだそうだ。そして、ナンシー関のことを真剣に追おうと思ったのは彼女の死後だそうだ。
正直、「死後になって追いかけ始めた人の評伝ってどーなのよ?」と思わないではないが、もしかしたらそういう人の方が冷静に彼女の業績をまとめることができるのかも知らんと期待して購入。どっちみち、僕も彼女の死後にナンシー関の本を読み始めたクチだし。
そんなわけで、到着は2-3日後だが読むのが楽しみだ。
読んで精神衛生が良くなるといいのだが。
「そんなん読んでる場合ちゃうやろ」という声は聞こえません。