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無鮨 むら田 に行ってきた

『あっぱれ1ニッポン国民遺産の山瀬まみ

2014年1月13日放送の『あっぱれ!ニッポン国民遺産』で山瀬まみが大阪市にあるすし店の取材を行っていた。
山瀬ファンの当方としては、もちろん同じ店に行かなくてはならないのである。だから行ってきたのである。

店は、大阪市北区のいわゆる北新地にある「無鮨 むら田」。
番組では主に以下のように紹介されていた。

そして、山瀬ファンの当方はテレビ画面を凝視し、山瀬まみの座った席がカウンターに向かって右から4つめだということを突き止めた上で店に向かった。

同店はWEbサイトを準備していないが、食べログの情報によれば、ランチ営業は12:00-13:30で日曜日が定休。定休日をきちんと調べた上で、土曜日の本日出向いた。情報によれば、行列ができるというので開店のちょっと前に現地に到着した。

店は飲食店ビルの1階奥。土曜の昼間ということで、ビルは閑散としている。少々怖気付けさせるような雰囲気もあるが、山瀬が来店した店を目指して人気のない薄暗い廊下を進む。程なく店は見つかったが、扉は固く閉ざされており、人の気配もしない。本当に営業しているか不安になる。窓も無いので中の様子を伺うこともできない。扉にとても小さな窓はあったので、そこから覗くとカウンターにうっすらと人の気配がする。
時刻は11:50。あと10分も待てば、店員が出てきて暖簾をかけるだろうと期待し、しばし待つことにする。行列ができるという噂だったが、この時点では他に客はなかった。

開店5分ほど前に、中年女性が現れた。彼女は僕に一瞥をくれることもなく、扉に歩み寄ると無遠慮に激しく叩いた。何か揉め事でも起きるのだろうかと警戒していると、鍵の開く音と共に扉が開き、彼女は店内へ。どうやらこの女性は店員の一人らしい。店主は裏で作業をしていて、大きな音を立てないと聞こえないのかもしれない。しかし、事情を知らない当方は薄暗いビルの中でこの上なくビックリしたことを申し上げておく。

その直後に、何人かの客が現れ列を作った。12時ちょうどにちゃんと店は開いた。その時には僕を含め、7人が並んでいたという結果になった。店に入ってみると、座席はカウンターのみで11席。最初の7人が着席するや否や、さらに3人の客が現れた。これで空席が1つになった。それから数分遅れで何組かの複数人連れがやって来たが、いずれも席がないことを理由に入店を断わられていた。たった5分程度遅れるだけで店に入れなかったわけである。難易度が高い。早めに来てよかった。

山瀬まみが座った椅子(推定)を撫でる

先述の通り、店はカウンターのみの11席。行列の先頭(つまり僕)から順に、左詰めで着席するよう指示された。
しかし、それでは僕は困るのである。山瀬まみが座ったのは右から4番目の座席なのでできればそこに座りたい。しかも、その位置は職人のちょうど正面になるので、調理風景を観察できるベストポジションである。
おずおずと「僕はできるかぎり右側がいいので、後の人から先に座らせることはできますか?」などと、山瀬のことはおくびにも出さず頼んでみた。それを受け入れてくれて、僕はなんとか左から7番目に座ることができた。つまり、右から5番目であり、残念なことに山瀬シート(右から4番目)に座ることはできなかった。
「どうしても右から4番目に座らせろ」と要求するほどの勇気も図々しさも僕は持ち合わせていなかった。山瀬を追いかけてきたと申告するのは恥ずかしかったし、途中に空席を1つだけ作ると複数人の客が後から来た時に一緒に座らせるのが難しくなる。そういうお店の事情も理解できたので、諦めて右から5番目に座った。
ただし、山瀬まみが座ったであろう椅子の座面はこっそりと撫でておいた。もちろん、番組収録後に椅子自体が入れ替わった可能性もあるわけだが、そんなことはこの際どうでもいい。

番組では「ランチ1000円」と言っていたが、土曜日は特別料金で高かったらどうしようかと、実は心配していた。ドキドキしながら品書きを見ると、ちゃんと1000円のコースがあって安心した。鮨10貫に加えて、赤だしとデザートがついて1000円と書いてある。鮨が15貫になるメニューもあり、こちらは1500円だそうだ。せっかく来たのだからと、1500円のコースにした。1500円の上は3150円、4700円、6300円というラインナップだった。それは僕の財布には厳しいので見送ったのである。

食事を始める頃には、追加の客を含めて11席が全て埋まっていた。それぞれが注文したのは10貫もしくは15貫のコースだった。職人は1つのネタについて、11人分を一度に握る。そして、それぞれの前に並べていく。15貫のコースだからといってネタが良くなるわけではなく、基本の10貫は共通で、15貫の場合は単純にネタが追加されるということらしかった。15貫コースで追加されたネタが何だったかは忘れた。

この店の鮨は、少々創作鮨っぽかった。「鮨の味は無限にある」というだけはある。客席に醤油皿はなく、職人が握ったそばから刷毛で醤油を塗りつけて出してくる。中には、醤油なしで塩だけ(イカなど)とか、ゴマだれ(オクラ)などというものもあった。

先の番組の中で、山瀬まみが食べていたのは3種類だった。それと同じものが今日も出された。
山瀬まみが「ライスサラダみたい」と評していたのが「サーモン トマトガーリック風味」だ。サーモンの上にイタリアン風のソースがかけられるのを見た時はギョッとしたが、食べてみるとなかなかさっぱりしていて美味しい。

「マグロの漬け梅のせ」も食べることができた。梅の風味を効かせることで、マグロ漬けのしつこさが緩和されていルのがよかった。これは丼で腹いっぱい食べてもいいと思われた。
テレビでは大将が「うめっすよ」と言いながら山瀬まみに差し出していたのが印象深かった。その時の山瀬の苦笑ぶりがよかった。

しかし、今日はそのオヤジギャグは披露されなかった。
それというもの、テレビに出ていた大将が店を休んでいたからだ。今日握っている職人が説明するには、自分は息子で二代目なのだという。父と息子は1日おきに店に出ているのだそうだ。

実は僕は、店に入った瞬間にちょっとがっかりし、彼が鮨を握り始めた時に激しく落胆した。
僕がこの店に来た理由は、山瀬まみの来た店に来たかったというのはもちろんであったが、手元を見ずにきゅうりの千切りを作るという大将の技も見てみたかったのだ。
息子じゃダメなのだ。

その技というのは、左手できゅうりを押さえ、右手に握った包丁を水平にし左手のきゅうりに向かって素早く何度も繰り出すというものだ。テレビで大将が冊冥したところによれば、カウンターの客に目配りをする必要があるため、手元を見ずに包丁を捌く必要から生み出されたのだという。実際に彼は、山瀬の目をじっと見据えたまま目にも留まらぬ早さできゅうりの千切りをこしらえていた。今にも手を切りそうな状況で、山瀬はドン引きしていたほどだ。

この技が、僕の文章できちんと伝わったかどうか不安である。不安なので写真を掲載しておくことにする。ただし、包丁を持つ右手の動きが早すぎてブレてしまっていることは勘弁していただきたい。

手元を見ずにきゅうりの千切りを作る

筆者は現在、懸命なる読者のツッコミを待っている。「千切り技を有する大将(父)が休みだったのに、なぜその写真が撮影できたのか?」と。

そう、できたのだ。僕は撮影できたのだ。そして、二代目もその技を使うことができたのである!なんたる嬉しい誤算。

彼は大げさに演出するでもなく、日常動作のように自然に調理を始めた。それを目ざとく見つけた当方は、すぐさま撮影させてもらったのだ。
彼が自分で言うには、まだ先代には敵わないが、手を切らずに済ませる程度にはこなせるのだという。ただし、緊張するといつ失敗するかわからないとも言っていた。僕にカメラを向けられただけで平常心を失うなどとボヤいていた。申し訳ない。
そんなわけで、父とは違ってテレビ取材等は一切受けないことにしているのだという。メンタルが弱いので、テレビカメラがあると絶対に失敗するに違いないと言うのだ。というわけで、なるべくなら自分がこの技を持つことを秘密にしておきたいそうなので、みなさんもここは読まなかったことにしてください

初めてやった時は、店の常連さんにノセられて見よう見まねでやったのだという。すると案の定、緊張のあまり大失敗して手を切ってしまったという。それほど気が弱いので本当にそっとしておいてあげましょう。
そして、皆さん、マネはしないように。

そして出てきたかっぱ巻き。通常のかっぱ巻きは太めに切ったきゅうりが1本だけだが、この店は千切りなのである。千切りになっているから、ごはんやタレ(今日は梅ソースだった)とよく絡む。口の中で自然にほぐれるような食感は初めてだった。

梅ソースで隠れてしまっていますが、中には千切りのきゅうりが入っています

そんなわけで、山瀬の隣の席だったとか、息子さんの技しか見れなかったとか、いろいろ惜しいところはありましたが、山瀬の足跡をたどることができて満足でした。

【無鮨 むら田】
住所: 530-0003 大阪府大阪市北区堂島1丁目3−33 新地萬年ビル 1F
電話: 06-6347-5525
営業時間: 12:00~13:30 / 18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日: 日曜日

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