老眼の夢

 こんな夢を見た。

 久しぶりに母校の大学に出向いてみると、ベネトンの派手なトレーナーを着た若い男が、静かな声で今日から後期が始まると言う。ツヤツヤした頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇の色は無論赤い。楽しい夏休みを謳歌したに違いない。しかし男は静かな声で、今日から後期が始まるとはっきり言った。自分もたしかに、今日から後期が始まるなと思った。そこで、そうかい、もう後期が始まるのかい、と男を見上げるように聞いてみた。
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