橋本愛の弁当(夢一夜)

こんな夢を見た。

女優の橋本愛と結婚して5年経った。
自分で言うと気恥ずかしいが、夫婦仲は100点満点だと思う。長生きはするものである。
一人娘は4歳になった。妻の幼少期の写真を見たこともあるが、それと瓜二つで驚く。どう考えても僕の遺伝子を受け継いでいるとは思えない。妻は単為生殖で子を産んだのではないかと思うことがある。

妻は毎日、僕の昼食用の弁当を作ってくれる。
布団の中で娘とゴロゴロして遊んでいると、「お弁当ができました」と声をかけてくれる。それが僕の起床の合図である。かわいい娘とのんびりしているだけで、美しい妻が弁当を拵えてくれるということ以上に幸せなことはこの世にあるだろうか?長生きはするものである。

今日は、チキンライスにオムレツが添えられていた。簡易的なオムライスってことだ。ミンチカツが二切れに、ミニトマトとさやいんげんのサラダもあった。もちろん、タコさんウィンナーも差し込まれている。妻は女優という華やかな仕事をしているので、弁当の色どりも鮮やかである。

ただし、それらを収める弁当箱は女優に似つかわしくない。
僕の拳ふたつぶんの半透明なタッパーウェア2つが僕の弁当箱セットである。下の段は白っぽいケースで、ごはん類(今日はオムライス)が収められる。上の段はピンクのケースでおかず専用である。しかも、その2つは大きさもちぐはぐで、おかず用の方がちょっとだけ大きい。重心を低くするため、ごはん用のタッパーを下に重ねるので、逆ピラミッド型になっていつも不格好である。
その、なんだかちょっと可笑しいところが幸せの象徴なのかもしれない。

彼女の作る弁当に僕はなんら文句はない。しかし、彼女はもっと凝った弁当を作りたいとこぼしている。僕と違って、常に向上心を失わない人である。
「いいお鍋があれば、もっと美味しいものが作ってあげられるのに」
と暗い顔をしながらボヤいている。
女優という仕事柄なのか、日常生活においても彼女の喜怒哀楽の表現は尋常ならざるものがある。僕も強く感情を揺さぶられる。

もうすぐ、妻の誕生日(1月12日)である。ちょうどいい機会だから、ル・クルーゼの調理器具を一式プレゼントしようか。もっといいメーカーがあるかもしれないから、もう少し調べてみようか。

でも待てよ、と。
僕が彼女に調理器具をプレゼントするということは、「オマエは俺の飯炊き女だ」という言外のメッセージを伝えることになるのではないか。
もちろん彼女のつくる弁当は美味しいし嬉しいし大好きだけれど、僕は「女優・橋本愛」を見るのも嬉しいし大好きだし幸せなのだ。彼女には彼女のキャリアを大切にしてもらいたいと思うし、明言するしないは別としてそういうメッセージを伝えたいと思う。

一方で、彼女は明確に鍋が欲しいという意思表示をしているわけで。
言い出したらわりと聞かない性格でもあるし。

ああ、困ったな。長生きすると幸せだけれど、それだけ困ることもあるもんだな。

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