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NHK『おかえりモネ』第29回

ちょうど10年前の今日、東海道五十三クリング企画を発表した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第29回めの放送を見ましたよ。

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第6週『大人たちの青春』

百音(清原果耶)は再び田中(塚本晋也)の家を訪れた。突然キャンセルしたダイニングテーブルセットのことをもう一度考え直して欲しいと頼みに来たのだ。
大きなダイニングテーブルは誰かと一緒に食事をするために準備するものである。田中は誰かに会いたいのではないかと百音は想像したのだ。

田中は別れた家族のことを話した。
田中の度重なる浮気が原因で妻に愛想をつかされ、ほとんどの財産と一人娘を手放すことになったという。それ以来、妻子と会うことはおろか、一度も連絡をとっていない。唯一、もうすぐ娘が結婚して子どもが生まれるということを人づてに知った。
田中は、別れた妻子ともう一度食卓を囲みたいと思ったこともあると正直に打ち明けた。孫が生まれる夏までは頑張って生きて、その子に会ってみたいと思うこともある。一方で、酷い別れ方をした家族だから再会する余地もなく、自暴自棄になることもあると言うのだった。

その夜、百音は菅波(坂口健太郎)に相談した。積極的な治療を拒否している田中であるが、家族に会うことを望みに、もしかしたら本音では延命を希望しているかもしれないと話した。
しかし、菅波はいつものように冷淡だった。自分の技術や知識は不足しているし、田中のこれまでの治療方針にも賛同できない。もうひとりの診療所医師である中村(平山祐介)に相談しろと突き放した。

それでも百音は食らいついた。菅波が「資格とは、人の財産や命を守るためのもの」と言っていたことを引き合いに、医師資格を持っている菅波ならば彼の命を守るべきだと主張した。
ついに菅波は声を荒げた。現在の医療技術では田中を救うことはできない。そのことは田中本人も理解している。ありもしない希望を無理やり植え付けることがどういう影響をもたらすかわかっているのかと叱咤した。その様子は、菅波自身が何か暗い過去の経験があるようでもあった。

その日は、菅波が東京に戻る直前の夜だった。勉強会も開かれず、菅波は帰っていった。ふたりにとって気まずい1週間の別れとなった。

直後の日曜日、百音は田中の家を再度訪れた。日常生活にも難儀している田中の家の手伝いをするためである。しばらくすると、外から菅波の声が聞こえた。田中が応対するすきに、百音は慌てて身を潜めた。
菅波によれば、東京行きのバスが事故渋滞で遅れているという。そのため、しばらくここで待たせてほしいという。田中は受け入れた。

田中は、週毎に東京と登米を行き来する菅波のことをねぎらった。すると、菅波は複雑な心境だと打ち明けた。登米に来ることが億劫でうんざりすることはしばしばであると言う。しかし、東京にいると無性に登米に来たくなることもある。菅波は、自分の本心がよくわからないと話した。そして、人の本心など、実は無いようなものではないかと自説を述べた。人の気持ちなどはあやふやなものなので、毎日言っていることが変わっても仕方ないと話した。
それは、菅波本人の心境を隠れ蓑に、田中への説得を試みる言葉だった。田中もそのことを理解した。

菅波は続けた。
人は、一日でも長く生きたいと思う日もあれば、今日にでも終わりにしてしまいたいと思うこともあって当然である。しかし、そのように毎日考えが変わるとするなら、いつでも方向転換できるように結論を先延ばしにすることが重要だろうと話した。迷う時間や考えが変わる時を稼ぐために、田中も積極治療を行うべきだと助言した。
田中もその言葉に納得した。そうして、菅波は帰っていった。

一部始終を聞いていた百音であったが、田中は怒らなかった。
田中は、菅波のことを面白い医者だと褒めた。そして、諦めたくないという本心を話した。ダイニングテーブルを改めて作って欲しいと百音に頼んだ。

* * *

これまで百音(清原果耶)は田中(塚本晋也)の具体的な病状について知る機会はなく、酷い喘息患者だと信じ込まされていたように思うのだけれど。田中が家で寝込んでいるところを見て、夏までもたないかもしれないという話を聞かされても、具体的なことは聞いてなかったように思うのだけれど。それなのに、田中のことを優先している百音のことが僕にはよくわからなくて。

よくわかっていなかったんだけれど、今日の放送の田中と菅波(坂口健太郎)の話を盗み聞きして、病状をかなり詳しく知ったのだと僕は解釈しました。劇中のふたりは病名や治療方針について話すことはなかったけれど、放送されなかった部分の会話で、病名や治療方針への言及があり百音も知るところになったと脳内補完しました。いいよね?

【今日の蒔田彩珠
出番なし。

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