多くの関係者が集まり、樹齢300年のヒバの伐採計画会議が開かれた。得られた木材は登米の能舞台の修繕に使用される。ただし、修繕はすぐに行われるわけではない。床の張替えは10年後、柱の交換は50年後に実施すると決められた。
ずいぶんと先の話であり、柱の交換をする時にはここにいる人のほとんどは生きていない。それでも、若い百音(清原果耶)なら見届けることができるだろうと思われた。人々は口々に百音に期待を寄せた。
しかし、百音の心は乱れていた。
登米での林業も関係者のことも大好きだし、自分が期待されることも光栄に思う。サヤカ(夏木マリ)にも心の底から尊敬し憧れている。彼女の跡を継ぎたいとも思うし、それこそが自分がやるべきで、やれることだと思う。
しかし一方で、気象の仕事に携わりたいという思いも日ごとに大きくなってきている。東京に行って、朝岡(西島秀俊)の気象情報会社で働くことを諦めきれなかった。
それでも、気持ちは気象予報士を諦めることに傾きかけていた。
菅波(坂口健太郎)に相談すると、彼の答えはまずは気象予報士に勉強を続けるべきであるということであった。迷うのは当然のことであり、すぐに答えを出すこともできないし、出すべきことでもない。今の百音は、気象予報士にどれほどの情熱があるのか自分自身でわかっていない状態にある。もしあまり情熱が無いのであれば、自ずから気象予報士試験には失敗することだろう。そうやって情熱の度合いを見極めるためにも、ひとまずは気象予報士を諦めないことが肝心だと助言した。
菅波はまた、気象予報士試験予備校で勉強することを勧めた。それに従い、百音は通信制講座を受講することにした。その講座では毎週土曜日に仙台で対面講義が行われる。百音は週に一度朝早くから高速バスで仙台に出かける生活となった。それを続けることで、いつしか気象に関しては百音の知識が菅波を上回る程になった。夜の勉強会でも立場が逆転し、百音が菅波に教える場面もまれではなくなっていた。
2015年12月になった。
ヒバの伐採は翌年の3月10日に決まった。また、サヤカは百音の変化に気づきつつあった。百音が気象予報士の道を選び、登米を去る予感がしていた。寂しくもあったが、元々が一人で生きてきた人生なのだと自分を言い聞かせ、百音には何も言わないでいた。
ヒバの伐採が翌年の3月になったいうことは、百音(清原果耶)が高校を卒業し就職してから2年目の最後あたりということですよね。
ところで、百音の仲良し同級生の野村明日美(恒松祐里)は仙台の短大に通っているわけです。来年の3月といえば、彼女が短大を卒業するタイミングです。おしゃれ好きの明日美は都会に憧れるタイプですよね。卒業後は東京とか目指すんでしょうねぇ。。。
いえ、なんでも無いです。ガイドブックを読んでしまったことは関係ありますん。
【今日の蒔田彩珠】
出番なし。