かぼちゃの電車

先日の「東海道本線のポニーテール」を読んだ女性から,こんな話を伺った.

わたし,あの電車のことを “かぼちゃ電車”って呼んでました

あー,確かに.言いえて妙.

ひじょうに感心し,目元に笑みをたたえながら,とても興味深く相槌を打ちつつも,ふと心ここにあらずで考え事に没頭してしまった僕がいた.


それは,男3人,女3人の合コンの夜.

相手チームの中で一番の上玉と,かな~り良い雰囲気になっちゃったりして,時間も時間だし,このままお持ち帰りしちゃったり,されちゃったり,そんな想像の深まるふたり.

でもなぁ,ここでホイホイと進んじゃったら,すごく軽いヤツだと思われてしまいそうで,それもそれでシャクだなぁ.
時計を見ると,0時まであと10分.
そろそろ終電がヤバイ.

「今日はすごく楽しかった.でも,終電の時間だし,もう帰らなきゃ」
本当ですか?こんなに楽しいのに残念ですね.また会いたいね
「うん.・・・じゃあ,ホントごめんなさい.行かなきゃ」

てな具合で,マジこれ以上無いムードで会場を後にしたり.

駅まで走って5分.
頭の中では,横浜銀蝿の「ツッパリ High School Rock’n Roll (登校編)」が流れ出す.


電車をとび降り改札抜けたら
学校までは猛ダッシュ

実際には,これから駅まで猛ダッシュで,改札に入り,電車に飛び乗るんだけれど,まぁ,それはそれでよし.

深夜の駅は,終電に乗る人々でごった返してる.
視線は,人の頭をかき分けて,運賃表を確認する.
どの販売機も人が並んでいるけれど,一番短そうな列,しかも,電車に乗り慣れていて切符を買うのにまごまごしなさそな人ばかりの列に並ぶ.

やっぱりね.この列はサクサクと待ち行列がはけていく.
さて,財布を取り出して小銭を出そうとすると,10円玉が2枚足りない.がーん.
仕方ないからお札を崩そうとすると,こういう時に限って万札しかないし.
さらに悪いことには,この販売機,万札が使えない・・・.

10台近くある販売機のうち,万札対応になっているのは両端の2台だけらしい.とほほ.
小市民な自分なので,列に割り込むこともできず,端の列に並びなおす.あーん,5人待ち.

でも,このせいで終電を逃しちゃったら,さっきの会場に戻ればいいや.
「終電に乗り遅れちゃった.てへっ.仕方ないから,今夜はオールね」
とか,うまいこと言えるし.
心は半分,列が解消しないことを祈ってみたり.

しかし,こういう時に限って,無事に切符が買えちゃうんだよね.
しかたない,おとなしく帰ろう.

改札に入って,ホームに出るとまだ終電は来ていないみたい.
電車を待つ間,ケータイを取り出してメールのチェック.
さっきの人からメールが来てるかもしれないし.るんるん.

あ・・・
おばあさんからもらって,ケータイにつけていたガラスのストラップがなくなってる!
どこで落としちゃったんだろう.ショック.
無いとわかっていても,ホームの自分の周りを見回してみたり.

ほどなく,最終列車が駅に入ってきた.
時刻は23:59.

「あ,緑とオレンジのかぼちゃの馬車電車」

そんなシンデレラがいたらイヤだな.


女の子を前に,表面では話を聞いている振りをして,頭の中では全然関係ないことを想像して一人ほくそえんでいた,恋愛敗走中で妄想癖の僕.

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