「キング・オブ・ポップの素顔」はビチグソ。黙殺が正しい。

 映画「マイケル・ジャクソン: キング・オブ・ポップの素顔」を見てきた。
 予想を遥かに上回るダメっぷりだった。

 子どもが生まれたばかりの夫婦の家に遊びにいくと、延々と子供を撮影したホームビデオを見せられることがある。最初の10分くらいは純粋に可愛らしいと思って、夢中で見る。15分あたりで飽きてくる。25分を経過すると「きっとキリのいい30分で終わるに違いない」と思う。しかし、無情にも30分以上続いてガッカリする。
 みんな、口に出しては言わないが、そういう経験をしたことが1度や2度はあるだろう。

 「キング・オブ・ポップの素顔」は、よその家の子供のビデオを強制的に見せられる退屈さ、くだらなさ、編集のダメっぷりのいずれにおいても上回っており、驚くべきほどの見どころの無さであった。5分でツラい。
 映画館の暗闇のなかで目を凝らして時計を見たとき、本編開始からまだ10分しか経っていなかった。めまいがして、ため息が出た。




* * *


 この映画に使われている素材は、マイケル・ジャクソンの付き人が撮影したプライベート・ビデオのようだ。マイケルはピンマイクを付けており、彼の声は鮮明に聞こえる。逆に言えば、撮影されることを前提にしている状態だ。

 撮影された場所/時間は、おそらく3箇所。
 (1) 生まれ故郷のゲイリーを訪問し、セレモニーや生家に立ち寄る(50%)
 (2) 2003年、マイケル・ジャクソンとファンの誕生日パーティー(40%)
 (3) 自宅・ネバーランドを開放して行われた慈善パーティー(7%)
 (4) その他 [アルバムリストや受賞歴のテロップ] (3%)
(括弧内は、当方推定による本篇への採用割合)

 いずれも、今まで公開されていなかった映像だが、特に見て感激するようなものはなかった。むしろ、MJ が生前に自分で作り上げたかったであろうイメージをぶち壊すものがあえて取り上げられていた。女の子の胸が揺れるのを見て喜ぶところとか、自分の股間にかかった香水で下品なジョークを言うところとか。MJ ファンの90%以上がムカつく作りだと思った。
 そして、同じようなシーンの繰り返しで観ているのがツラかった。

 昨年公開された、映画「THIS IS IT」は、大量に遺された質の高いリハーサル映像から、苦労してシーンを取捨選択したのがよくわかる作りだった。
 「キング・オブ・ポップの素顔」は、数少ない低質なプライベート映像を如何にして水増しするかに苦心した様子がよくわかった。やたらにファンがカメラに向かって「マイケル、サイコー!」だの「キング・オブ・ポップ!!!」だの叫ぶ映像が出てくる。しかも、同じ人物が何度も繰り返し出てくる。そのクドさったら。

 あと、ハンディカムでブレブレの映像だから、酔う。映画館で酔ったのは、河瀬直美の「七夜待」を見たとき以来だ(その時のコメント; 今日も吐き気はこみ上げたが、なんとか持ちこたえた)。

 そして極めつけは、マイケルの楽曲が一切出てこない。唯一、どこで録音されたのか、”Human Nature” をアカペラで歌う音声が1フレーズだけ流れたのみだ。
 権利関係がかなりあやふやなのだろう。僕が見ていた限り、エンディングのスタッフロールに “Michael Jackson” の文字列は一切記されていなかったように思う。
 Special thanks に “Jackson family” だのなんだのが入っていたけれど、そんなの書くのはタダだしね。僕の無様なダンスを収録した “alm-ore’s THIS IS SHIT“にだって、special thanks にマイケル・ジャクソンの名前が入っているくらいだ。僕のビデオを見て、MJ の公式だと思う人間がいないのと同じように、「キング・オブ・ポップの素顔」でジャクソン家に謝辞が述べられているのを見て納得する人は少ないだろう。

 当blogでこの映画のダメっぷりを事前に忠告してくれた人がいたのだが、素直に従っておけばよかったと後悔することしきり。
 めったに後悔をしない当方ですが、今回ばかりはかなりの後悔です。

 みなさんにも、絶対におすすめしません。どうしても内容が気になる人は、レンタルで安く借りられるときに、早送りで見るのがいいと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント (2)

  1. マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔の感想

    公開初日に観てきました!もちろん限定のポスターもゲット。 カンバッヂとジッポライ…

  2. 2ch で一番良いと思ったコメント。


    264 :名無シネマ@上映中:2010/06/26(土) 00:25:25 ID:nNs49pih
    川崎でレイトショー見てきた。
    レスにある通りなかなか酷いもんだったよw
    終わったあとの劇場内のどよーんとした雰囲気にはワロタ。

    一人のおっさんは連れの女の人に、
    「このままじゃ、うなされるわ。気分変えよ、気分」と
    息まきながら早足で帰って行ったのにはウケタ。

    あと川崎駅で電車待ってる時に反対のホームでポスターを持っている人がいて
    見てたら軽くポスター振って来て、こっちも振り替えしてお互いに苦笑いしちゃったよ。

    まあ見ないと気になるだろうけど、見ると間違いなく公開するレベル。
    二度目はタダでも絶対に見に行かない。
    TIIを見てマイケルファンになる人はいても、
    この映画じゃマイケル嫌いになると思う。

    それとマイケルグッズで評判良かったトーチライト売ってたよ。
    今ごろ東京タワーでは10万払って遺品と一晩ともにしてるのかなーw

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。