走ることについて語るときの俺の独り言

本日は12月9日である。この日だけは当方にとって重要な日である。

そう、当方が敬愛する John Lennon の命日である。
John が射殺されたのはアメリカ東部時間の1980年12月8日23時過ぎだが、その時日本では12月9日であった。だから、日本では12月9日に John Lennon を偲ぶのが正しいという説がある

それはそれでとても重要なことであるが、もう一つ、本日は当方にとって重要なことがある。
そう、当方がマラソンを趣味にして、ちょうど1ヶ月が経った日である。

Facebooktwittermixi 等には、当方が走るたびに自動的に走行距離と時間が投稿されているので、すでにご存じの方も大勢いらっしゃると思うが。
いつ当blogに書くのかと噂されていたが、本日初めて当方がマラソンを始めたことを正式に発表する次第である。

一部では、「どうせ3日もすりゃやめるだろう」とか、「1日でも雨が降ったら、それっきり飽きてしまうことだろう」とか、「え!?あれ、本当に走ってるの?なにかのネットゲームとか、ヴァーチャル・マラソンとかだと思った」とか、「blogに書くと、やめるにやめられないから、書かずにいるんだろう」などと憶測が流れていたようだ。
しかし、ちゃんと1ヶ月続けることができたし、もうしばらくやめるつもりもないことをここに高らかに宣言しておく。




完全無欠のインドア・非体育系の当方が突然マラソンを始める直接のきっかけとなったのは、喜国雅彦の本だ。

喜国雅彦というのは、1980年代末期に漫画『傷だらけの天使たち』などで人気を博したマンガ家だ。僕が大学生の時、講座の漫画蔵書の中にこのギャグ漫画があった。ちょいエロ・ちょいブラックな作風でなかなかお気に入りだった。
その後、あまり大ヒット作には恵まれなかったようで、僕の記憶の中から消え去っていった。ここ数年、当方がみうらじゅんにハマった折に、みうらじゅんが結成したバンド”大島渚”で喜国雅彦がベースを担当していると知って、そこはかと懐かしくなったという関係に過ぎなかった。

2ヶ月前、何かを調べている時に、喜国雅彦が『本棚探偵の冒険』というエッセイを出していることを知った。彼は古書マニアで、珍しい古書(特に探偵小説)を収集したり、アホみたいにたくさんの本棚を妙なスキマに作り上げたり、本の並べ方へのこだわりのあまり、京都の知人宅まで単に本を並べるだけに出かけて行ったりした顛末が書かれた本だ。
なんとなく興味がひかれて読んでみたところ、予想以上に面白かった。想像以上に文章も上手くて(マンガ家の書いた文章だからたいしたことはないだろうとタカをくくっていた)、ファンになってしまった。

もう1冊くらい彼の文章を読んでみようと思っていたところ、『東京マラソンを走りたい: ギャグ漫画家 50歳のフルマラソン』というのを見つけた。
「東京マラソンを走る」でも、「東京マラソンを走るコツ」でも、「東京マラソンの走り方」でもなく、『東京マラソンを走りたい』というタイトルが気に入った。彼はまだ東京マラソンを走ったことがないのだ。東京マラソンを走ったことのない人間が、東京マラソンについて何を書くのか、自分の目で確かめてみたくなった。

喜国雅彦が東京マラソンを走りたくても走れない理由は分かった。
東京マラソンは出場希望者がとても多く、出場資格は抽選で与えられるらしい。その抽選にハズレまくっていて出場できないでいるらしい。その代わり、他のフルマラソンは完走した実績があるとのこと。
#なお、次回の東京マラソン2011にはついに当選したとブログで報告されている。

その他、同書では喜国雅彦がひょんな理由からマラソンを始め、最初はイヤイヤだったのに、今やすっかりと生活のメインとして重要な趣味になっている様子が細かく書かれている。
ストイックに自分の限界にチャレンジするとか、ライバルたちと熾烈なレースを繰り広げるとかいったスポ根物ではなく、「一見すると苦しくてバカバカしいマラソンを、いかに楽しむか」という視点から書かれていた。
だから、アンチ・スポーツマンの当方でも楽しく読むことができた。

楽しく読むどころか、「俺も走ってみよう」という気にさせられた。


ところで、しばらく前から、僕は「iPod が欲しいなぁ」と思っていた。しかし、それほど熱心に音楽を聞くわけでもなく、いまいち購入する踏ん切りがつかないでいた。
ところが、喜国雅彦の本を読むと、彼がiPodをマラソンに大活用している様子が述べられていた。好きな曲を聞いて自分を励ますのは勿論だが、iPod を歩数計のように使うことができて、走行距離や時間の記録が取れるという。

「これだ!」
と思い、iPod touch 32GBを購入した。

Nike+GPSというアプリケーションも購入してインストールした。
このアプリは、iPod touch 内蔵の加速度センサから情報を取得し、走行距離や時間を計測してくれる。距離に関しては10-20%くらいの誤差が出ることもあるが、概ね問題のない範囲で距離を計測してくれている。きっと、きちんとキャリブレーションしてやればより正確になるのだろうが、計測用のコースが近所にないのでほうってある。wi-fi の地理データも利用しているようで、随分と誤差は大きいが、走ったコースもトレースしてくれる。
#iPhone ならばGPSと電子コンパスがついているのでかなり正確に地図上にルートを描いてくれるらしいよ。大人の事情で、現状のiPhoneをあまりおおっぴらにお勧めできない当方だけど。

このアプリケーションはとにかく楽しい。iPod の音楽を再生しながらも、500mごと(設定で変更できる)に経過時間とペースをアナウンスしてくれる。マラソンの重要なコツのひとつは、一定のペースで走り続けることらしいので、このアナウンスはとても助かる。

もっと楽しいのは、走行中に友達から拍手を送ってもらえることだ。
Nike+GPSを Facebook と連携させれば、走り始めたときに「これから走り始めるよ」とFacebookへ自動的にコメントを投稿してくれる。それを読んだ友達がコメントを書きこんでくれると、自分のiPodから拍手が聞こえるのだ。
これは結構病みつきになる。
僕は毎日15分位しか走らないので、なかなかタイミングよく友達が見てくれることがないのだが、たまにうまくいくととても嬉しい。
知人も同じアプリケーションを使い始めたので、Facebookで見つけたら「いいね!」を付けてあげることにしている。彼の場合、たいてい朝の決まった時間に走っているので、タイミングがつかみやすい。


この楽しいアプリケーションのおかげで、1ヶ月間走り続けることができた。これからもしばらくは走り続ける予定である。


ランニング中、iPod では音楽よりも、英語学習用の無料podcastを聞くことが多い。

一番のお気に入りは、English as a Second Language (ESL) Podcastだ。英語学習者用にわざとゆっくりとしたスピードで話してくれるので聞き取りやすい。走ってバテていても、なんとかくらいついていけるペースである。週3日更新なので、常に新しいのを聞くことができるのもお気に入りポイントだ。

更新頻度が隔週なのが残念だが、TOEIC English Upgrader(Second series) もコンテンツの質が高くて気に入っている。
今日もこれを聞いて走っていた。

奇遇なことに、今日聞いていた TOEIC English Upgrader Second series の第5回の内容は、アマチュア・ランナーがマラソンの心構えについて語るというものだった(iPod がなくても、サイトで聞くことができるし、放送の中で翻訳も流れる)。
あせらずに一定のペースで走るべしとか、25kmを走破することができれば特別な練習をしなくてもフルマラソンを完走できるとか、楽しくやれ、とか励みになる内容が沢山でてきた。走りながら聞いているだけでわくわくしてくる内容だった。英語も平易だったし。


僕のいつものランニングコースは、某4丁目の外周コースである。ここは1周約1.5kmになっている。
家の周りは丘を切り開いてできた住宅地なので、コースにはアップダウンがある。

俺んち周回コース

当方宅は、坂の途中にある。家を出たら、すぐに「坂を登る」か「坂を下る」のいずれにするかの決定を迫られる。いきなり坂を下るのは、なんだか楽をするような、ズルをするような気分になるので、僕は坂を登ることにしている。1日おきに登りと下りを入れ替えるという方法もあるのかもしれないが、とにかくスタート直後に坂を下るのはズルとか楽とか、後ろめたい気持ちがするので毎日登ることにしている。

坂を登り始めると、いきなり息が上がる。体がまだ温まっていないせいか、とても息苦しいし、体が重い。しかし、「日々、坂道でトレーニングしている俺だから、平地で行われるレースではきっと爆速だぜっ!」と自分を奮い立たせて走ることにしている。
第1コーナーを曲がって、平板な道に入ると急に体が軽くなる。快感だ。
第2コーナーを曲がると、今度は下り坂だ。下りは楽ちんかと思いきや、これはこれでシンドイから困る。大股で走ると転びそうになるから、小股になる。前につんのめらないように、つま先に力を入れて地面を踏みしめるから、足の妙なところ(スネとか)の筋肉を使うはめになり、足がすぐにだるくなる。下り坂は意外と侮れないということを、マラソンを初めて初めて知った。
それでも、第3コーナーを曲がって平板な道に入ると、また体が楽になる。体も十分に温まってきて、一番快調に走れるのがこの辺りだ。

第4コーナーの手前あたりでは「今日は調子がいいし、もう1周余計に走ろう!」といつも思う。
しかし、それは、実は重大な決定事項なのである。
当方の家は、町内の外周コースから1本内側に入った道に面している。家に向かう場合には、第4コーナーに繋がっている道から、内側に逸れなければならない(これを当方は、まるでF1サーキットのピットレーンのようだ、と思っている)。ここを過ぎると、500mくらい先に進まなければ家に戻る道はない(道を逆戻りするのは、なんとなく美学に反する)。

第4コーナー直前は平板なのでスイスイ進むのだ。そこで調子にのって、もう1周走ることを決めるのだ。
しかし、第4コーナーを曲がったとたん、コースは登り坂になる。これがまたシンドイ。ちょうどシンドくなったあたりで、当方宅の裏庭に達する(以前、アサガオが咲いていたところだ)。「ああ、俺んち・・・」と力なくつぶやきながら、庭から入るわけにも行かず(ご近所付き合いしてないので面が割れておらず、空き巣と思われるだろうこと請け合い)、トボトボと走り続けるしかないのである。その虚しさたるや。

それでも、調子のいい日はなんとか坂を登り切ることができる。すると、また平板な道になるので楽に走れるのだ。
今日は調子がいい感じで、2周めの周回に入った。

すると、第2コーナーのあたりに車が1台停まっていた。この辺りは、ほとんど人も車も通らないので、路駐はし放題だ。
しかし、1周めの時は停まっていなかったので、どうしたものかと思い、通り抜けながら中を覗いた。すると、暗くてよくわからなかったが、運転席と助手席のそれぞれに人が座っていた。どことなく体を寄せ合っているようにも見えたし、暗がりでイチャイチャしているのかもしれない。

すごく気になったのだが、コースを逆走するのは当方の美学に反するし、いきなり僕が舞い戻って来るのを見たら彼らも調子が狂うだろうし、仕方なく行き過ぎた。
その代わり、無理してでももう1周することを即座に決めた。
たとえ歩いてでも、這ってでも、もう1周してこの車を覗く!
全ては出歯亀のために!

車を覗くことにワクワクして、3週目の登り坂は少しも苦にならなかった。
戻ってくると、まだそこに車はいた。さっきよりも走るペースを遅くして、首を車のほうに向けて覗いたが、やはり薄暗くてハッキリとは見えなかった。非常に残念だ。


今日学んだことは、出歯亀へのモチベーションは走る意欲を高めるということだ。
次はよく見えるように懐中電灯をもって走ろうか。


ところで、今度、村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』を買って読んでみようと思っています。読んだことないのにタイトルをパクってごめんなさい。

コメント (14)

  1.  ちなみに、「走ることについて語るときに僕の語ること」というタイトル自体が、「愛について語るときに我々の語ること」(レイモンド・カーヴァー(著) 村上春樹(訳))のパクリだったりします。

  2. 喜国というのは盲点だったでしょ?
    「傷だらけの天使たち」がすぐ手の届くところにあるなんて羨ましい。僕は持ってなくて、久しぶりに読みたいんだけれど、絶版なんですよね。

  3.  こんなのどうです?

     「ユニセフカップ2011神戸バレンタイン・ラブラン」(2011年2月13日(日))
     ・ハーフ・10km・5km・3km・駅伝

     女性には特製チョコレート、男性にはランの花がもらえる特典つき」

     5kmはもう走れるみたいだから、10km部門にでも。と言うか、このまま練習を続けていれば、2月にはハーフも余裕で完走できるようになっていると思うけど。

  4. いいですね。かなり出場する気になってきました。

    ただ、問題は「必ず男女同時に手をつないでゴールしてください。」(男女ペア5km)の条件を満たす女の子のアテがないことかなぁ。

    ・・・じゃなくて、うちから神戸って意外と遠いんですよね。電車だけで2時間乗らなきゃいけない。
    電車だけで疲れてしまって、走るどころじゃなくなるんじゃないかと不安になります。

  5.  たびたびチャリティー団体に寄付を行っている木公さんとしては、こんなのどうです?

    > 有森裕子ハート・オブ・ゴールド支援レース
    > 第1回 淀川国際ハーフマラソン
    > 【2011年3月20日(日)開催】(大阪府 大阪市)
    >
    > 愛と自然環境保護を提唱するチャリティレースに、奮ってご参加ください。

     参加賞は、有森裕子さんオリジナルデザインのTシャツ(正直、微妙…)。



  6.  そりゃ、ハーフでしょう!

     (もし自分だったら、最初は慎重に10kmに出るでしょうけど(笑)。)

     定員が先着順の5000人なんで、すぐいっぱいになっちゃうかも…。

  7.  完走したという報告がないのは、大会が急遽中止になったということなのかな?と思っていたのですが…、大会は開催されたようですねぇ…。マラソンは秋冬のスポーツ。暑くなったら走れないのに…。

  8. すんません。実はエントリーすらしていませんでした。
    今週締切りのちょっとヘビーな宿題があって、大会の日はどう考えても走ってる場合じゃ無さそうだったので、こっそりと断念していたのです。

    なお、ここで言う宿題とは、一部の人にお話ししたり、耳に入ったりしている例の件とは基本的に無関連です。

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