「○○さんと△△さんを足して2で割ったらちょうどいいのにねぇ」
とは決まり文句.
おそらく,某会社の人事部の人は,某ビルの某フロアの某部屋で隣同士に座っている某若手研究員の2人を見てそう思っていることだろう.
一方は,とてもマジメで,時間はきちんと守るし,会社の規定集も隅から隅までズズずいーっと読んで遵守しているし,髪型服装もこざっぱりとしているし.しかし,如何せん,ちょっぴり杓子定規気味で神経質だったり.
他方は,なんかテキトーだし,出社時間もマチマチだし,「えっ?そんな規則あったんスか?初耳っス.つーか,多少ルールから逸脱してもおとがめはないし,いいんじゃないスか?」が決まり文句だし,ロン毛茶髪だし.しかし,・・・フォローする内容が思いつかないや.
まぁ,そんなこんなで,足して2で割ったらちょうどいいのになぁと,周りは思っていることだろう.
まぁ,無理だけど.
いや,本当に無理なんだろうか?
遺伝子レベルでは,足して2で割ることが可能かもしれない.
実際には,2で割ってから足すんだケド.
ご存知の通り,生殖細胞は減数分裂するわけで.
いわゆる「おしべ」と「めしべ」(お子様にも安心なように,マイルドな表現実施中)で作られた配偶子の中には,親の持つ遺伝子の半分しか入ってないわけで.それぞれ半分ずつの遺伝子を持った細胞が結合し,卵細胞になった時に元の遺伝子の数に戻るわけで.
そんなわけで,卵細胞には,お父さんとお母さんから半分ずつの遺伝子を引き継いでいるわけで.
つまり,お父さんとお母さんの遺伝子を2で割ってそれぞれ足した状態が完成するわけで.(親の遺伝子を足してから2で割ると,2項分布だかなんだかの話で,必ずしも両方の親の遺伝子がきっぱり半分ずつにならないはずだけれど,これ以上話を続けると,僕の頭の悪さが露呈するから,ここら辺で切り上げる)
いやっふー!
遺伝子レベルでは,「足して2で割ったちょうどいい状態」ってのが可能なんだね!
しかし,残された問題は,某ビルの某フロアの某部屋で隣同士に座っている某若手研究員の2人が「おしべ」(マイルドな表現実施中)しか有してないことだよなあ・・・.
さすがに,花粉同士で受精することは生物学的に許されてないからなぁ・・・.
許されてても,ちょっとご免したいケド.
話はこれで終わるが,教訓はこういうことだ.
新しい口説き文句ができるってことだ.
「君と僕とは,性格が正反対で,しかも極端すぎるよね.2人を足して2で割るとちょうどいいよね.どうだい,生殖してみないか?」
ただし,気をつけなくてはいけないことは,性格が正反対で,しかも極端すぎる夫婦というのは,僕の勝手な思い込みでは破局も早そうなので,生殖の際には例の風船を忘れずに利用し,いわゆる「できちゃった婚」は避けることだ.
しかし,例の風船を使うということは,そもそもの提案である「足して2で割る」ことを放棄することであり,口説き文句の内容と矛盾をきたす.
矛盾はきたすが,まぁ,気にするな.
あまり細かいことを気にかけて神経質に生きるよりも,大雑把に考えて生きていた方が人生楽しいというのが,入り口側に近い若手研究員の意見だ.