「原価500円のニッケル黄銅」という言い訳は通じないのか

僕が、若くてピチピチして、夢と希望に溢れていた大学1年生の時のお話。
理学部で化学をやっているちょっと美人な4年生のおねーさんに、どんな研究をやっているのか聞いてみた。

彼女が言うには、
原価10円の銅版を酸につけて、いろいろな気体を発生させたり、化合物を作ったり・・・
とのこと。

「その銅版って、10円玉のことでしょ?」
と突っ込むも、彼女は頑なに”原価10円の銅版“と言い張るだけで、決して認めようとはしなかった。

そりゃ、僕だって、貨幣に加工したら法律違反であることは知っていたし、まさかそんな程度でつかまることは無いだろうと思って、もう一回問い詰めたけれど、彼女はやはり”原価10円の銅版“と言い張り続けた。

そんな、若くてピチピチしていた僕と、理学部の知的なおねーさんとの、恋の芽生えすらも全く無いやり取りから早10年。
今日、こんなニュースを見つけた。

500円硬貨を加工容疑、マジシャンら4人逮捕

手品に使うために500円硬貨を加工したなどとして、警視庁は、大阪府東大阪市鴻池町1丁目、マジシャンの谷口武(24)、大阪市天王寺区上本町6丁目、手品用品販売業庄野勝吉(58)ら4容疑者を貨幣損傷等取締法違反の疑いで逮捕したと15日、発表した。

かわいそうに。

同記事の細部にも、記者の複雑な感情があふれ出ているように読めた。

「同法の適用は珍しいという。」だの、「4容疑者宅から計22商品(約1260枚、15万円相当)を押収した。」とか、「硬貨にたばこなどを通したり、1枚の硬貨が2枚になったりといった手品に使えるよう違法な加工を繰り返し・・・」など。
ていうか、「手品に使えるよう違法な加工」という表現に、ちょっと笑った。

手品、楽しいじゃん。
違法加工した硬貨で人を楽しませようとしたのであって、人を騙そうとしたわけでもないのに、かわいそうなマジシャンたち。

あれ、手品って、そもそも人を騙してる? ;-p

【参考】
wikipedia の「日本の硬貨」で、硬貨の材質をチェックできる

コメント (7)

  1. yama

    これって、たぶん、細工した硬貨を売ってお金儲けしてたから、捕まったんじゃない?
    #いやー、しばらくalm-oreの更新がなかったので、どうしたのかと思ってたよ。(^^;

  2. Myfuna

    以前、プロ向けのマジックショップでこの手の商品が手に入ると聞いたことがあります。たぶん、店頭でこっそり売っている分には黙認状態だったんじゃないかと。

    今回はネット通販にまで手を広げたらしいので、さすがに動かざるおえなかったんじゃないかと。

  3. 木公

    yamaさん:
    お金儲けしたのは確かですが、汚い儲け方ではないと思うわけです。つくづく「もっと他に警察の人員を割くべきところがあるだろー」と思ったり、思わなかったり。

    Myfuna さん:
    プロ向けショップで一部の人(プロマジシャン)にだけ売っていたのに、ネット販売を始めて誰でも買えるようになってしまった。
    ネット販売経由で素人にタネがばれてしまうことを恐れた”プロマジシャン”がウラで暗躍して、逮捕させたと思ってしまったり、しまわなかったり。

  4. yama

    >Myfuna さん
    なるほど、ネット通販やってたんすね。そりゃ、言い訳できないすね…

    >木公
    「もっと他に…」全くもって同感す。

  5. yama

    >Myfuna さん
    なるほど、ネット通販やってたんすね。そりゃ、言い訳できないすね…

    >木公
    「もっと他に…」全くもって同感す。

  6. Myfuna

    てっきりネット通販が原因だろうと思っていたのですが、「ギミックコイン」をキーワードにして検索してみると、今でも通販で扱ってるところが結構あります。大半は海外コインなんですが、そうでなさげなところもちらほら…。

    陰謀説は面白いと思いますが、マジシャンが細工済みの小道具を使うことは周知の事実かと。

    この手のマジックはトリックそのものの優劣よりも、マジックとしての一連の流れの出来不出来を楽しむのが通らしいです。
    お客さんからノーマルコインを借りて、相手の目の前でギミックコインにスイッチ、タバコを貫通させて火をつけて一服、間違いなくタバコが貫通していることを見せた上で、火のついたタバコもろともコインを消す。最後に意外ならところからノーマルコインを取り出してお客さんに返す、みたいな一連の流れをいかにスムーズに見せるかが腕の差であって、コインに細工があるという誰もが予想できるトリックそのもものはあまり重要ではないと考えるらしい。
    ある意味落語の楽しみ方に近いのかもしれません。オチに関していたずらに言及するのは野暮だけど、落語そのもの出来不出来はオチの意外性とは別のところで評価されるという点で。

    長文ですまん。

  7. 木公

    yamaさん:
    次の記事との兼ね合いがあるから、2重投稿を晒したまま。;-p

    Myfunaさん:
    長文 thx.
    その意見には賛成ですよ。

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