なんだかよく分からないけれど、数週間前から妙に黒木瞳が気になって仕方がなかった。
普通に美人だし。
1960年生まれで既に47歳で、しかも子どもを産んでいるとは思えない色っぽさだし。
そんなわけで、黒木瞳の出演作をどうしても見たくなった。
そこで選んだのが『失楽園』(1997年公開)。
今より10歳若くてきれいな黒木瞳が見られるばかりか、エロくて艶っぽい濡れ場(←この言葉、死語?)も見れると思えば、どうしてこの作品を選ばないだろうか、いや選ぶ(反語)。
そんなわけで、メルシャンの安い赤ワインを飲み(本当は作中に出てくるシャトー・マルゴーを飲みたかった)、鶏肉とタマネギの雑炊を食べ(本当は作中に出てくる鴨とクレソンのお鍋を食べたかった)、アルコールと暖かい雑炊で血の巡りがよくなりながら(ついでに黒木瞳の艶姿にどこぞの血流も増えながら)、見た。
実は院生の時にレンタルのVHSで一度見ているから、今回で2度目。
皆さんもあらすじはご存知だと思いますが、ダブル不倫の果てに男女が心中する話。
当時見て以来このあらすじと、「なんて激しく情熱的な男女関係なんだろうか」という通り一遍の理解をしたこと以外は、何も覚えてはいなかった。
今回改めて見たところ、実は久木と凛子の破滅的な恋愛関係だけが描かれているわけではないことが分かった。
自分もサラリーマンになってしまったせいか、久木が会社でのサラリーマン生活から様々な重圧を受けているという描写の意味がよく分かった。のほほんとした大学院生時代には意味の分からなかった描写だ。
#それが何なのかを言語化して説明できるほど、僕はまだサラリーマンに馴染んでいないので、詳細は割愛。
そんな企業生活の軋轢が凛子との男女関係に影響を与え、またその男女関係が企業生活に変化を与えるというスパイラルが二人を破滅に導くという具合だ。
単にエロい男女二人に焦点を当てて見ては、木を見て森を見ずだと思った。
#そして、「黒木瞳のおっぱいを見て映画を見ず」では、もっといけない。
とは言え、やっぱり目的は黒木瞳なんだけど。
エロいシーンはそりゃもう涎出まくりなんだけれど、あえて濡れ場(←これって、死語?)以外で僕のベストシーンがここ。
私たちのこと母にわかってしまったわ。
いろいろ言われて、・・・最後に親子の縁を切ると。
私は淫らで可哀想な女なんですって。(淫らで可哀想?)
そうよ。私はあなたに体で魅かれてる。
心でも魅かれてる。
だから私はあなたに抱かれると、心と体と両方で感じるの。これで私、全部失ったわ。
もう、久木以外のしがらみが全てなくなってしまったことを告白するシーン。
後の2人の心中を暗示するシーン。
実の母親にも見限られて悲しい反面、しがらみが途切れて自由になったことを喜んでいる。
そのアンビバレントな感情がよく出ている表情だと思う。
DVDを見ながらついつい引き込まれてしまって、「俺、彼女となら心中してもいいかも」と思ったとか、思わなかったとか。
#ていうか、黒木瞳を心でも体でも感じさせることのできない当方は予選落ちだけど。
10年前と今回では全然印象の違う映画に思えた。
また10年経ったら見てみようと思う。
その頃僕は、この映画の時の役所広司くらいの年代になってるはずである。
もうちょっと人生の機微が分かるようになってるだろうか。