「単純接触効果」(mere exposure effect; Zajonc, 1968) とは、特定の刺激に繰り返し接触するだけで、その刺激に対して好意的な態度が形成される心理現象のことを指す。
ようするに、「せんとくん」(平城遷都1300年祭のマスコット)も繰り返し見ていると、好きになってくるってこと。
みんなも最近、「あれ?せんとくんってちょっとカワイイかも」って思ってるでしょ?
どう?リアルせんとくん 全国から依頼殺到 -asahi.com
2010年に奈良県で開かれる平城遷都1300年祭の公式キャラクター「せんとくん」が19日、着ぐるみになって登場した。鹿の角を持つ仏様のような童子という強烈な容姿に、一時は「かわいくない」「仏を侮辱している」などと批判が集まったが、風向きは一転。全国から「イベントに参加して」とラブコールが殺到している。
単純接触効果は、少なくとも初期状態で対象にネガティブな印象を抱いていないことが条件だったはず……。
『グラフィック社会心理学』(池上・遠藤, 1998: p.178) を見ると、Perlman & Oskamp (1971) を引いて、少なくとも不快でない対象にしか生じないと書いてますね。大彦君の指摘どおり。
僕は『はじめて出会う心理学 [改訂版]』 (長谷川ら, 2008: p.298) に、「見た目が悪いのに人気者になっているタレントがいる。それも単純接触効果」みたいな記述があって、そこを鵜呑みにしていて、ネガティブなものでもおきると信じ込んでいました。なお、『はじめて・・・』での該当箇所には引用が含まれていないので、きっと著者の独断で根拠はないことと思われます。
あと、これはホラ話かもしれないけれど、「ザイアンス自身のしかめっ面を刺激写真に使っても、単純接触効果がおきた」という話を見聞きしたような気がしていて、僕はポジティブ/ネガティブ関係なく起きるもんだと思っていました。
いずれにせよ、ちゃんと原典にあたって調べてみないといけないと、ちょっと思っているわけですが。
長谷川寿一・他. 2008. はじめて出会う心理学 [改訂版]. 有斐閣.
池上知子・遠藤由美. 1998. グラフィック社会心理学. サイエンス社.
Perlman, D. & Oskamp, S. 1971. The effects of picture content and exposure frequency on evaluations of negros and whites. Journal of Experimental Social Psychology, 7, 503-514.
Perlman & Oskamp (1971) の manuscript が web でゲッツできる模様(身近で1971年のJESPを閲覧できない人向け)。
http://www.eric.ed.gov/ERICWebPortal/custom/portlets/recordDetails/detailmini.jsp?_nfpb=true&_&ERICExtSearch_SearchValue_0=ED044744&ERICExtSearch_SearchType_0=no&accno=ED044744′ async charset=’UTF-8
“ERIC Full Text” というリンク
せんとくんは、となりのお姉さんのハロー効果でよく見えているのではないだろうか。
3次元せんとくんでも、こちらの怖い方は報道されてないんですかね。
http://media.tumblr.com/YYV3RqGZQcsp1kizrxAyTzPd_500.jpg
そのリアルせんとくんも、以前にどっかで見た記憶があります。まったく報道されてないってわけではないと思います。
・・・とか言ってたら、今日報道されてる。家族が登場したらしい。
http://web.archive.org/web/20080904152811/http://www.asahi.com:80/national/update/0820/OSK200808200001.html
怖いリアルせんと君の方が可愛く見えてしまったのは、やはり隣に立っている人と比較してしまうため?