NHK連続テレビ小説『だんだん』において、ヒロインめぐみ(三倉茉奈)の出身地は島根県松江市であり、父(吉田栄作)は宍道湖のシジミ漁師だという設定だ。ドラマを見ていると、漁船に乗った吉田栄作が先端に大きなカゴの付いた棒(じょれん)を操って湖底のシジミをさらうシーンがよく出てきた。
そのシジミ漁師のリアル・バージョンを宍道湖で見ることができた。
時刻は午前10:30頃。ドラマの通り、じょれんを湖に差し入れて、一生懸命引き上げていた。
岸に近いところで漁を行っていて、動きをよく観察することができた。しかし、どれくらい採れているのかは見えなかった。
なお、「じょれん」という道具については、たとえばよしっくす の貝取りじょれんを参照のこと。
宍道湖の中島 “嫁ヶ島” のそばで漁を行っており、なかなかオツな風景でもあった。
嫁ヶ島のいわれとしては、姑にいじめられた若嫁が凍った湖の上を実家へ逃げ帰ったときに、氷が割れて水死し、それを哀れんだ水神が島を作ったと伝えられているらしい。
上の写真をクリックして拡大すれば、祠と鳥居があるのを見て取れるだろう(祭られているのは弁財天らしいが)。
しばらく歩くと、大きな地蔵もあった。最近、見仏が趣味の当方としては見逃せない。
右にあるのが「袖師地蔵」である。嫁ヶ島沖は難所で、多くの船が沈んだらしい。その水没者を供養するため、江戸時代初期に建立されたそうだ(ただし、現在のものは平成5年に新造)。
左にある「石灰地蔵」は江戸末期の作で、御影石でできているそうだが、元々はシジミの貝殻から石灰を作っていた地域にあったので、石灰地蔵と呼ばれているそうだ。
宍道湖の浜は、黄土色の細かい砂だった。手で触ったわけではないが、目で見た質感は、非常にサラサラして見えた。
そんな黄土色の浜の中を、地蔵に向かって白い道が伸びているように見えた(上の写真)。人工的に白い石を地蔵に向けて敷き詰めたのかと思ったのだが、腰を曲げて見てみると、それらはシジミの貝殻だった。
湖に潮の満ち引きなどがあるのかどうか当方は知らないが、とにかく波の関係でちょうど小道が伸びているように見える具合にシジミの貝殻が打ち上げられているのだろう。
宍道湖の名物であるシジミが、地蔵菩薩への道を案内しているかのようで、ちょっと幻想的だった。
このあたりは、夕日の名所らしい。嫁ヶ島の背後を湖に沈んでいく夕日がそれはそれは美しいらしい。
宍道湖の横は信号のない車道で車がビュンビュン走っているのだが、カメラの標識が立ってた。「ここで写真を撮れ」っつー意味らしい(笑)。ちゃんと専用駐車場もあって、30台は停められそう。
#当方が珍しく “(笑)”って書くくらい爆笑したらしいよ。
今日は曇天で、宍道湖の夕日を断念。残念。
ちなみに、当blogの公式羊羹である「栗むし木公(くりむしもっこう)」を販売している清松庵たちばなは、ここから徒歩5分くらい。