西大寺: 西国愛染明王ツアー(13)

西大寺の愛染明王の御朱印

西国愛染十七霊場の13番、奈良市の西大寺に行ってきた。


今年2月に いとうせいこう・みうらじゅん『見仏記』を読んで仏像に興味を持ち、初めて見仏に出かけたのが、ここ西大寺だ。そして、偶然目にした愛染明王のカッコよさにノックアウトされ、愛染明王フリークとなるきっかけを作ってくれたのも、ここ西大寺だ。(その時の記事

それから8ヶ月、僕は西大寺に戻ってきた。
しかも今日から、愛染堂の秘仏開扉で、普段は見ることのできない愛染明王像を拝むことができる。
(毎年 1/15-2/4 と 10/25-11/15 の2回)

身を引き締めて、見仏した。


1247年に作られたという、本尊の愛染明王はやはり貫禄があった。
今まで愛染明王が好きでいろいろ見てきたけれど、西大寺の愛染明王は男前の中の男前だ。僕の貧相なボキャブラリーでは、そのカッコよさを表現できないのがもどかしい。

正直、最近は愛染明王を見すぎたせいで、どこに出かけても1分くらい見たらもういいやという気になるのだけれど、今日ばかりはどれだけ眺めても見飽きることがなかった。
何がどう違うのか、本当によくわからないのだけれど、ここの愛染明王は違う。

西大寺の愛染堂は、係りのおじさんも面白い。いつも同じ人がいるのかどうかは分からないが、僕が訪れた2回は両方同じ人だった。
通常は入り口に座っていて、気難しい顔で拝観料の受け取りなんかをしているのだけれど、手が空くと熱心に見ている拝観客に近寄ってきて、解説をしてくれる。
愛染明王は愛のことばっかり考えている人だ」(”アンタもそうでしょ、げへへ”というオプションがつくこともある)
梵語ではラーガ・ラージャという名前です。ラーガは赤で、ラージャは王という意味です。だから愛染明王なのです
愛の色は何色ですか?そう、赤ですねぇ。だから、愛染明王は本来真っ赤なんですよ
なんて、話をしてくれる。

特に、愛染明王の色について、彼はこだわりがあるらしい。
西大寺は密教系(真言律宗)の寺院なのだが、密教系ではお堂の中を薄暗くする傾向にあるらしい(対して、浄土宗系は明るくするのだと彼は言っていた)。そんなわけで、ここの愛染堂も薄暗い。
そのせいで、愛染明王像も黒く見えてしまう。
でも、光を当てると、赤い地肌がよく見えるんですよ。ポスター撮影のときなんかは、ものすごくたくさんのライトを当てて撮るんです。あとね、懐中電灯で光を当てると、赤が浮かび上がってくるんですけどね・・・。それやると、寺の偉い人に叱られるからお見せできないんですけど
な~んて言いつつ、イタズラっぽく笑うと、ちゃんとポケットから懐中電灯が出てくる。
で、光を当てて赤い地肌をよく見せてくれる。一番鮮やかなのが、頭に被っている獅子の兜の口の中の上あご。真新しい鳥居のようなきれいな朱色で感激する。

このおじさんに関して、僕が気に入っているエピソードがもう一つある。前回訪問したときに、愛染明王像(5体が常時公開されている)の膝の上にトンボの死骸が乗っていた。
死骸を仏像の上に乗せたままにするなんてどういうことなんだろうと思って、そのおじさんに話を聞いてみたことがあるのだ。
彼が言うには、ある日フラフラとトンボが飛んできて、愛染明王の膝の上で力尽きたという。そして、「愛染明王の膝は落ち着くんやろなぁ」と言っていて、その一言に感心した思い出がある。
今日もそのトンボがいるだろうかと思ったら、すっかり片付けられていた。

おじさんに問うてみたところ、「虫も人間も全く同じ命であり、虫が仏さんにすがりたくなる気持ちも当然だ。だから残しておきたかった。けれど、寺のお偉いさんの中にはそれが許せない人がいて・・・」と苦々しく笑って話してくれた。
トンボがいなくなったことは残念だけれど、愛染明王の上で事切れたトンボのエピソードと、係りのおじさんの意見はできる限り広げていきたいと思っている。

西大寺
住所: 奈良市西大寺芝町1-1-5
Tel: 0742-45-4700
駐車場: 1回300円 数十台
交通アクセス: 近鉄西大寺駅南出口


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kinki Kidsファンの絵馬【余談】
奈良の西大寺は堂本剛(Kinki Kids)ファンのメッカになってるっぽい。
彼が同寺付属の西大寺幼稚園に通っていたことに因むのだろう、きっと。
大黒堂の壁に絵馬がたくさん奉納されているのだが、半分以上が Kinki Kids ファンのものであった。
特に、Kinki Kids の今後の活躍を祈願するものが多い。

それに、Kinki Kids 関係の絵馬の4分の1ほどは、中国人の女の子らしきもので、それもビックリした。中国のKinki Kids ファンがわざわざ奈良の西大寺に来ることも驚きだし、彼女らの日本語は流暢で字も綺麗だ。中国語で書かれた絵馬は一枚もなく、Kinki Kids ファンの中国人は一生懸命日本語を勉強しているのだなぁと頭が下がった(写真の左側の絵馬は上海香港のファンによるもの)。

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