午前8時には小田原付近を新幹線で走行中でワンセグの電波が受信できず、12:45には某ビルの中心部でワンセグの電波が届かず、23時前に帰宅してHDDレコーダーを再生した当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第129回めの放送を見ましたよ。
布美枝(松下奈緒)が子供たちを連れて買い物に出てたのを家出だと誤解し、茂(向井理)は狼狽していたという。それを聞いて、自分のことも心配してもらえるのだと、布美枝は少し気を良くした。エプロンを着けて家事を始めようとしたとき、茂のゴミ箱から回収してきた手紙がなくなっていることに気づいた。
布美枝は知らぬことなのだが、藍子(菊池和澄)がこっそりと茂に返していたのだ。布美枝が家を飛び出した間に、藍子はエプロンをつけて食器洗いをしていた。その時に偶然見つけたのだ。
一度はムシャクシャしてゴミ箱に捨てた布美枝の本音の手紙を改めて読み返す茂。今度はそれを机の中にしまった。
数日後、浦木(杉浦太陽)が数年ぶりに尋ねてきた。図々しく失礼な態度は相変わらずだ。彼が現在手がけていると言って大仰に見せびらかしたのは、子供だましの電卓だった。どこからか、水木プロダクションの資金繰りが苦しいという噂を聞きつけて、鬼太郎のキャラクターグッズを作って売りだそうと話を持ちかけてきた。しかし、昔から浦木に煮え湯ばかりを飲まされている茂は、全く聞き耳を持たない。
茂は、いつものように浦木を小突いて家から追いだそうとする。しかし、今日に限って、うまく浦木を捕まえることができない。それどころか、目がかすみ、ついにはその場に倒れこんでしまった。
原因は過労だった。あまりのハードスケジュールのために、身体が言うことを聞かなくなったのだ。医者からは数日間完全休養するよう言われた。
水木プロダクションの面々は、締め切り直前の大事な時期に大黒柱を失い、士気が低下する。そんななか、一番の古株のくせに仕事は半人前の菅井(柄本佑)が珍しく奮い立ち、仲間を鼓舞した。締め切りを数日延ばしてもらうなどして、急場をしのぐだけの体制は整った。
プロダクションの緊張感や、茂の焦燥感を尻目に、布美枝はどことなく嬉しそうだった。茂の体のことを心配していた布美枝は、すでに倒れた後とはいえ、茂に休養期間が与えられたことを喜んでいるのだ。また、仕事を離れて、しっかりと二人で向き合う時間ができたことも幸せに感じている。
茂は、布美枝の言うことには耳も貸さず無理をしすぎていたと、反省とも謝罪ともつかない話をはじめた。投資していた出版社が倒産し、資金繰りが苦しいのは事実だ。その穴埋めをするために、過剰とも思える仕事を請け負っていた。
茂は、アシスタントや家族など多くの人々の運命を握っていると思い、気負っていたのだ。マンガ業界は浮き沈みが激しく、少しでも仕事が途切れると、二度と復活できないと思い込んでいる。だから、無理をしてでも仕事を続けていたのだ。
しかし、自分ひとりが張り切っても空回りするばかりで、周囲と足並みを揃える必要があると、今回のことで思い知ったという。
布美枝は、貧乏生活に戻りたくないという点では茂に同意すると言う。しかし一方で、最近の茂に笑顔がないと指摘する。貧乏時代には、茂は楽しいことをいろいろ思いついて、布美枝と一緒に笑い合っていた。そのことで、布美枝は随分と助けられていたという。
しかし、今の茂は全く笑わない。貧乏でいることよりも、笑顔のない茂を見ている方がとても辛いと布美枝は感じているのだった。そのことをはっきりと伝えた。
夫婦のわだかまりは解消された。
この夫婦は、本音を言わないことで頻繁に窮地に陥りますね。そしてその度に茂が体調を崩し、ゆっくりと話し合う機会が生まれ、わだかまりを解消するというワンパターンだ。
いや、もう、様式美として僕はそれはそれで良いと受け入れることにしているけれど。
で、様式美といえば、ふたりが深刻に話し合えば合うほど何かを失敗して大笑いするという展開もワンパターンだ。たとえば、昔はコーヒーを飲もうとして砂糖を入れるのだが、どれだけいれたのかわからなくなって甘くなりすぎるとか(ちなみに、このシーンは俺的名シーン・ナンバーワン。第52回です。)。
今日は、おかゆを作って床に持っていくのだが、話に夢中になって茂に食べさせるのを忘れた。茂が業を煮やして「早く食わせろ」アピール。そこで軽く笑わす。食べようとすると、もうすっかり冷えてしまっている。ここで重ねて笑わす。「もう、いいからそのまま食わせろ」と、食い意地のはっている茂らしいセリフで三度笑わせる。
ところで、茂は隻腕なので、いつもテーブルに食器を置いたまま顔を近づけて食べます(犬食い)。畳の上に敷いた布団では、テーブルが用意できないので、茂は一人で食事ができません。
まぁ、普通なら、布美枝がさじにすくって、「あ~ん」して食べさせるところです。
ところが茂は、さじを自分で握ってしまう。そして、布美枝に器を持たせ、そこからすくって食べるのです。つまり、布美枝の手がテーブル代わり。
文脈を無視して読めば、なんて横暴な男だ、と思う。しかし、画面で見ると、布美枝は嬉しそうに器を支えているのです。
心温まるシーンでした。
布美枝の手の高さが気に入らなくて、茂はいちいち自分の手で布美枝の手を調節するのです。それが良かったね。