当方は、一度気に入ると、そればかりに執着する傾向にある。
山瀬まみの大ファンを20年以上続けていることは有名だし、月に2回以上は大阪まで車を飛ばしてマジックスパイスなにわ店に通っている。東海林さだおのエッセイが気に入ったとなれば読みまくるし、NHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」が面白いとなれば全話のあらすじを書き起こした。
そんな性向の僕は、天理スタミナラーメン押熊店にハマっていた。少なくとも週に1回、多いときには3日連続で通ったこともある。天スタを食べるときには、頻繁に twitter へ写真を投稿するなどしていた。
あまりに天スタばかり食べているので、twitter で僕の行動を知った人達からは
「そんなにラーメンばかり食べていて、体を壊さないか心配だ」
と言われたりした。
僕は気ままな一人暮らしをエンジョイしているが、たまには人に心配されたいな、なんて思うこともある。ラーメンばかり食べていることを、社交辞令かもしれないが、女の子たちに心配されるとちょっと嬉しかった。だから、ある意味、意地になって天スタに通っていたフシもある。
ただし、重要なことは、数あるラーメン屋の中で、他でもない天スタを選んでいたという事実だ。
天理スタミナラーメンはとんこつベースのスープに豆板醤で辛く味付けがしてある。具は、豚肉の細切れと白菜のザク切りだけのシンプルなものだ。テーブルに備え付けられたニンニクすりおろしをタップリと入れて食べるのが大好きだった。
いつも同じ時間に一人で入店し、いつも店の奥(入り口から入って右奥)に座り、いつも同じメニュー(スタミナチャーハンセット 980円。割引券で880円)ばかり食べていた。
店員さんには完全に顔を覚えられていた。互いに気恥ずかしくて親しげに話をすることは一切なかったが、僕も「こんばんは」と挨拶するようになったし、店員さんも「まいどありがとうございます。いつものやつですね?」くらいは言ってくれるまで常連になった。
何よりもショックだったのは、親しくなった店員さんが僕に何も言ってくれなかったことだ。友達と言えるほどには親しい関係ではなかったが、店がなくなって、もう二度と会えなくなるのかと思うと悲しいやら、悔しいやらという思いだった。天理スタミナラーメンはチェーン店がいくつかあるから食べようと思えば他店へ出かけていけばいい。
しかし、押熊店の閉店によって、もし彼が解雇されたとするなら、もう二度と会えるチャンスが無いと思った。
3年前、やはり僕がよく通っていた Junk Cafe という店があった。盆暮れですら実家に寄り付かない当方だが、Junk Cafe にはほぼ日参していた。この店でも店員と親しく話をするわけではなかったが、行けばいつも暖かく迎えてくれて、実家の家族以上に居心地がいいと思ったりもしていた。大晦日にはこの店でスパゲティを食べるのを密かな恒例行事にまでしていた。
ところがある日、Junk Cafe は突然店を閉めた。オーナーが突然亡くなったために仕方なく閉店したということは、後になって当blogのコメント欄で教えてもらったのだが、その時は事情を知らずとても悲しかった。店舗もほどなく解体され、今ではアパートになっている。僕によくしてくれた店員さんたちにもう会えないことがとても悲しい。
そんなことを思い出して、天スタ押熊店の閉店はとてもこたえた。
天スタ押熊店の閉店のお知らせには、10月中旬より別のラーメン屋になると書かれてあった。そろそろ新店がオープンしたころかと思い、本日偵察に行ってきた。
新しい店の名前は「元喜神」。読み方を店の人に聞いてくるのを失念した。
この店の主力メニューはつけ麺とのこと。しかし僕は、様子見で通常のラーメンを頼んだ。チャーハンとセットで880円。ラーメン単体だと、確か630円くらい。
店のコンセプトは鶏白湯ラーメンとのこと。鶏を煮つめて白くなったスープだった。
味覚や嗅覚に自身のない僕だけれど、鰹ダシも使われているようだ。ラーメンが差し出されると、鰹のかおりが強烈だ。「あれ?スガキヤのラーメン?」と思うレベル。
しかし、印象は悪くない。濃厚な鶏スープはなかなか味わい深いが、飽きのこない味。ラーメンを先にやっつけたあと、チャーハンにとりかかった。チャーハンを食べ終わったあとに、締めとしてラーメンスープをつるつる飲んで美味しかった、満足した。麺も中太でボク好みだった。
ただし、具は僕の好みに合わなかった。鶏団子、豚チャーシュー、シナチク、白髪ネギなどが入っていたが、あまりスープとなじんでいないように感じられた。
ただし、白髪ネギのパートは僕の琴線に触れた。ネギと麺をスープに絡めて食べるととても美味しい。鶏団子をなくしてもいいから、白髪ネギを山盛りにしてくれたら、週に1回くらいの頻度で通ってもいい。
けれども、天スタの週2回以上という頻度にまでは達しない。
この正直な感想は、店員さんにもその場で伝えた。
そう、天スタ時代の店員さんがほとんど残っていた。
店に入ると、前の店で一番親しくなっていた男性店員が最初に目についた。席に着くよりも先に、彼に向かって笑顔で会釈した。彼も笑ってくれた。感激した。
以前は注文のやりとりくらいしか言葉を交わしたことのなかったおばちゃんも、とてもフレンドリーに接してくれた。僕の席が厨房からは死角になっているのをいいことに、しばらく油を売っていった。新装開店でまだ慣れていないことに対する愚痴なんかもこぼしていった。
今まで以上に、この店が身近になった。
なんと、まだオープン2日目だという。旧い店員さんたちは、客の反応をビクビク伺っている様子がよくわかった。だから僕の方も、正直に感想をぶっちゃけて帰ってきた。
白髪ネギ大盛りラーメンをメニューに加えてくれると嬉しいな。
なお、オフィシャルなオススメメニューはつけ麺だそうだ。麺を食べ終わり、余ったスープにご飯を入れておじやを作ってくれるらしい。トッピングのチーズを注文すれば、リゾット風も楽しめるらしい。確かに、鶏を煮つめたスープだからおじやは美味しいだろうな、と思う。
次回はそれを注文することを約束して、一番仲の良い旧店員さんに店の外まで送ってもらって帰ってきた。
【元喜神】
住所: 奈良市押熊町1556-1
Tel: 不明
営業時間: 不明
定休日: 不明
客席: 30人くらいか
駐車場: 店の前に10台くらい
※リサーチしてくんの忘れた。ごめんなさい。
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