この世界はクソだ。
学校内でのいじめ、満足な教育を受けられなかったことによる貧困。アルコール依存症、家庭内暴力。ホームレス、強盗事件。
中学1年生の社会科を担当するシモネット先生(Kevin Spacey)は、風変わりで少々偏屈だ。
彼は、生徒たちに課題を与えた。実世界で起きている問題を見つけ、それを解決する方法を考案し、実践しろ、と。
トレバー少年(Haley Joel Osment)は、世界に善意の輪を広げたいと思った。それを実現するユニークな方法も考え出した。
初めに、トレバー自身が3人の相手に善い行いをする。善行を受けた3人は、さらに別の3人に善い行いをする。次の人も同じことをする。
そうすれば、指数関数的に善行を受ける人が増えるだろうという目論見だ。
しかし、人々はトレバーが考えていたよりも臆病だ。善意を受けても、それを他の誰かに受け渡すことができない人もいる。
そして、ついにトレバーは・・・。
この映画は封切りの時から,、存在だけは知っていた。
当時所属していた研究室では、「人々はどういう条件の時に他者に善い行いをするのだろうか」というテーマについて研究が行われていた。当然、この映画の情報もキャッチしていた。
僕の後輩には、奈良出身の学生がいた。当時、北海道以外の土地をあまり知らなかった当方は、奈良も大阪も同じような所だと思っていた。だから、奈良出身の彼のことも大阪人と変わりがないと思っていた。
そんな、彼が『ペイ・フォワード』を観に行ったので感想を聞いてみた。
しかし、
「どうだった?」
「ん~、ちょっとなー」
「えっ?ちょっとて何さ?」
「あんまし、おもろない、いや、おもろいかなー。どっちか言うたら、おもろいかな~」
「どっちなんだよ、おまえは!?」
などと、ウルフルズの「大阪ストラット」の語り部分(歌詞を参照する)みたいな曖昧な意見しか聞かれなかった。
それで何となくそのままになってしまっていた映画だった。
それが、最近の「伊達直人による児童福祉施設への贈り物ブーム」の話題について当blogで記事を書いたら、何人かから『ペイ・フォワード』を見てみるといいというコメントを頂戴した。
そこで、今回、見てみた次第。
終了10分前までは、とても面白い映画だった。少々、話ができすぎている感はあるが、「こんな風に世界が変わったらいいな。僕にも何かできることはないかな?」と前向きな気分で見ることができた。
しかし、ラスト10分の取ってつけたようなお涙頂戴は吐き気をもよおすほど。
無理やりそういう方向に持っていかなくてもいいじゃないか。せっかくの前向きな気分がそがれる。
このラストはクソだ。
ところで最後に無理やり計算しておこう。
トレバー少年から始まった善意の贈り物は、映画に登場する記者の時点で5ステップまで到達していた。3^5=243人程度に広まったと計算できる。
・・・いやいや。実際にはかなり違う。
あの記者のおかげで、数が桁違いにジャンプアップしたってのがオチだよね。
その意味は、映画のラスト10分まで含めて見ればわかる。