糸子(尾野真千子)はミシンを借りるために神戸の祖父母(宝田明、十朱幸代)の家に泊まりこんだ。彼らは糸子が来たのを喜び、大歓迎した。しかし、のんびりしている暇の無い糸子はすぐに仕事にとりかかり、食事以外はミシンの前を離れることはなかった。
夕食は、神戸の親戚が勢ぞろいし、豪華で美味しい料理が提供され、楽しい時間であった。けれども、神戸での時間が楽しく有意義であると思うのに比例し、岸和田の家のことが気になり始めた。糸子の神戸行きについて機嫌を損ねている父・善作(小林薫)と、その矢面に立たされているであろう母・千代(麻生祐未)のことが心配になってくるのだった。
その時、妹・静子(柳生みゆ)から電話がかかってきた。彼女は驚くべき事件を報告し、すぐに岸和田に帰ってくるよう伝えるのだった。
静子によれば、糸子の神戸行きを知った善作は激怒したという。予想通り、一番立場の弱い千代に詰め寄った。それに対して、家族の女たちは全員一丸となって善作の前に立ちふさがり、千代をかばった。家庭内に一触即発の緊張がみなぎった時、善作は諦めたように部屋を出ていった。
そして、店の売り物を全て持って、行方をくらましたという。
夕食になっても善作が帰って来ない。あんな父親であっても、家族は全員善作のことが心配になってきた。
その時、店の方から大声が聞こえたかと思うと、善作は上機嫌で帰ってきた。
なんと、糸子のためにミシンを入手してきたのだ。
その話を電話で聞いて、糸子は翌朝一番で岸和田に帰った。
ミシンに対面した糸子は嬉しかった。しかし、立派なミシンとは対照的に売り物が全てなくなった呉服屋の様子を見て、少々物悲しくもあった。
父にさっそく礼を言う糸子であったが、善作は照れているのか、まともに取り合わなかった。
ぼんやりしている暇は無いので、糸子はさっそくミシンで作業を開始した。
呉服屋が洋裁をするのはきまりが悪いので、これまでは2階の部屋で隠れるように作業をしていた。しかし、今日からは店の中で堂々と洋裁を始めた。店の真ん中にミシンが鎮座し、その背後で家族総出で手伝った。
品物がなくて驚く客に対して、善作は悪びれるところもなく、洋裁も始めたと説明するほどだった。
昭和8年(1933年)、元日。
納品を明日に控え、小原一家は相変わらずの大忙しだった。今年ばかりは正月気分を味わうわけにもいかなかった。近所の幼馴染の勘助(尾上寛之)は小原一家の様子を見かねて、おせち料理を持ってきてくれたばかりか、作業の手伝いまでしてくれた。
その甲斐もあって、納品日の早朝に製品すべてが完成した。もちろん糸子は徹夜であったし、家族は今で倒れるように雑魚寝していた。
糸子は勘助に手伝ってもらって、心斎橋百貨店へ納品に向かった。支配人室へ続く階段を登りながら、きちんと受け取ってもらえるかどうか、そればかりを心配していた。
今日は祝日で、もしかしたら仕事がお休みで、のんびりと朝ドラを見る人が全国的に多いかもしんない。そんなふうに視聴者の行動が変わるので、ドラマの方もサービス的な何かを盛り込んでくるのかと思っていた。
しかし、そういったものはなくて、淡々と話が進みました。むしろ、継続して見ている人でないとわかりにくい展開だったかもしれない。休日視聴者を置いてきぼりっつーか、なんつーか。
善作が神戸の義父母にコンプレックスを持っており、それへの対抗意識があるということがわからないと、今日の善作の行動は理解できないわけで。善作はもともと商売が下手であるし、時代の変化によって呉服が売れなくなってきている、店をたたむかどうかの瀬戸際にいる、といったことも知らないと、ますます善作の行動が不可解なわけで。
せっかく休日で、新規(もしくは断続的)視聴者が見るんだろうから、もっとキャッチーなお話(たとえば、昨日のようなスピーディーかつ笑える内容)を今日にぶつければよかったのにと思ったり、思わなかったり。
いや、むしろ、休日だから、みんな寝坊して朝ドラなんて見ない。だから、常連視聴者が見逃しても大丈夫なような内容を持ってきたってことか?・・・ん?でもそうだとすると、善作が店のものを全部売っぱらってカネを作り、ミシンを購入したという大事な要素が抜け落ちるよな。
うーむ。要するに、休みかどうかはあんまり関係ないってことか。