昭和16年(1941年)12月8日。
日本軍はアメリカ軍と交戦状態になり、大東亜戦争が始まった。人々はそれを喜び、熱狂しだした。
一方で糸子(尾野真千子)は、また戦争が始まったことを苦々しく思うのだった。思うように商売がしたいので、勝っても負けても良いから早く戦争が終われと密かに願うのだった。
国民への規制も強化されていった。
女性はモンペ着用が半ば強制された。洋装店主の矜持として、糸子はモンペなど絶対に履かないと心に決めていた。あまりのブサイクさに我慢がならないのだ。
しかし、強く勧められて試しに履いてみると、意外に着やすく動きやすかったのでいっぺんに気に入ってしまった。戦争中は戦争中のお洒落として、モンペを活かすファッションを考えようと燃え始めるのだった。
また、鉄製品の供出も少しずつ始まっていた。ただし、糸子のミシンやアイロンは、国民服やモンペの縫製によって国に奉仕できるということで供出を免れていた。
ところが、八重子(田丸麻紀)のパーマ機は危機的な状況だった。今のところ取り上げられてはいないが、見つからないようにひっそりと隠していた。それに、女のお洒落は戦争にとって一番無駄なものだと言われ、パーマへの風当たりも強い。パーマ機の購入代金の月賦も終わっていないのに、それで商売ができなくなってしまっていたのだ。
髪結いの玉枝(濱田マリ)ともども、生活が苦しくなり始めていた。戦争から帰ってきたものの、精神を病んでしまった勘助(尾上寛之)も抱え、彼女らの家は火が消えたようにひっそりとしていた。
唯一の明るいニュースは、勘助がなんとか和菓子屋で働けるところまで回復したという話だった。
糸子は早速、和菓子屋を覗きに行った。まだバリバリと仕事をするわけでもなく、ぼんやりと店頭に座っているだけだったが、その姿を垣間見て糸子は嬉しくなった。
糸子は勘助をもっと喜ばせてやろうと思い、仕事帰りに喫茶店に誘った。そして、勘助の初恋の相手であるサエ(黒谷友香)も呼び出して、引き会わせてやった。サエのダンスホールはとっくに閉鎖され、今は軍需工場で働いているという。
ところが、サエの姿を見るやいなや、勘助は様子がおかしくなった。体が震えだし、吐きそうになった。すぐに走って店を飛び出してしまった。その後、河原の草むらにうずくまり、大きな声で泣き叫んでいた。
糸子のお節介が完全に裏目に出てしまった。
その日の夜、雨に濡れながら玉枝が怒りの形相で糸子を訪ねてきた。
勘助は家の2階から飛び降りようとしたという。全ては糸子のせいだと責め立て、もう二度と家に来て欲しくないし、勘助にも会わないようにと言いつけた。
糸子は心が強く、商売も成功し、家族にも恵まれている。そういう人間には、逆の立場の人間の気持ちなどわかるはずがない。勘助の家族がどれだけ神経をすり減らして彼の回復を願い、手を尽くしたかが糸子にわかるはずがない。わからないどころか、糸子は勘助の一家にとって毒であると言い放った。
去っていく玉枝を、糸子は何も言えず呆然と見つめるだけだった。
月曜日からキツい展開ですね。
特に、勘助役・尾上寛之と玉枝役・濱田マリの芝居がハマり過ぎていて、心苦しくなります。
これまでどんな逆境にあっても、持ち前の楽観主義と粘り強さで困難を克服してきた糸子。それが、意外なところで落とし穴にはまって落ち込むという様子が、このドラマにおいては目新しくてよかったですね。確かに、これまで糸子が人の微妙な感情を考えるということはなかったわけで。
どういうふうに解決されていくのか、目が離せません。