明日の朝は移動の予定で、リアルタイムに放送を見ることができないため、まとめ記事の投稿が遅れることをアナウンスする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第57回目の放送を見ましたよ。
勝(駿河太郎)が突然、糸子(尾野真千子)を歌舞伎に誘った。
しかし、糸子は全く乗り気がしなかった。まず、仕事を休みたくはなかった。どうせ仕事を休むなら、出かけるよりも寝ている方がよほどマシだ。都会に出かけるのにふさわしい着物を持っていないのも気詰まりだ。大嫌いな歌舞伎役者・春太郎(小泉孝太郎)の顔を見るのもおぞましい。
けれども、結婚してから一度も夫婦らしいことをしたことがないという勝の説得に圧される形で、しぶしぶながら出かけることにした。
糸子が一切化粧をしていないことをハル(正司照枝)に咎められた。自分のためにするのではなく、勝に見てもらうために化粧をするのだとハルに言い含められ、静子(柳生みゆ)が大事にしている口紅を塗ってから出かけた。
電車に乗ってもつまらなそうにしていた糸子であったが、難波の街に一歩足を踏み出すと、急にウキウキとしはじめた。難波には戦争の暗さはほとんどなく、行き交う人々はみなお洒落に着飾っていた。華やかな雰囲気に気分も高揚し、大嫌いだった春太郎にすら寛大な気持ちを持つことができた。
歌舞伎場のホールで、菊乃(赤松悠実)という芸妓が勝に声をかけてきた。彼女は二言三言社交辞令を言うと、歌舞伎の見物もせずに帰ってしまった。
糸子は、勝の意外な顔の広さと、歌舞伎場まで来て何も見ずに帰ってしまった菊乃の行動を不思議に思った。けれども、勝が平然としているのでそれ以上は何も聞かず、歌舞伎に熱中した。
歌舞伎が終わると、心斎橋百貨店に向かった。
ここは、以前に糸子が制服を作った店なのだが、今では旧態然とした和装の制服に戻ってしまっていた。勝に自分の仕事を見せたかったのだが、それがかなわずにがっかりした。
用事がすんだので帰ろうとする糸子を引き止め、勝は百貨店で糸子のためにショールを買ってくれた。何枚か肩に当てて試しているうちに、糸子はますます楽しくなってきた。勝が自分に優しくしてくれることも心地よかった。
ショールを試着しながら鏡を見ると、自分の口紅が取れかかっていることに気づいた。自分が口紅すら持ち歩いていないこと、および、化粧の崩れた姿を勝に見せることに少々恥ずかしい思いがした。
それでも、その日は糸子にとって良い日になった。
ふたりが初めて夫婦らしくなったと思い、とても嬉しかった。これまで、仕事と子供たちのことばかり考え、勝のことは単に仕事に都合の良い同居人くらいにしか思っていなかった。
けれども、この日を境に、勝のことをとても愛おしく思うようになった。糸子は、勝のために毎日口紅を塗るようになった。勝が出かけるときには、姿が見えなくなるまで手を振って見送るようになった。
夫の勝のことを絶対に失いたくないと思うのだった。
ところが昭和17年(1942年) 12月1日、ついに勝に召集令状が届いた。
夫婦が仲良くなった途端、別離するというのはベタ中のベタ展開。
けれど、しみじみと良い展開だった。単にデート(デート?デートなのか!?)するというだけではなく、糸子が初めて女らしくなるという様子を見せることで盛り上げていました。勝に買ってもらった赤いショールと口紅の赤も映えていて、映像的にもきれいだった。
そしてまた、尾野真千子がかわいらしく女になった糸子を演じておりました。
本当に、しみじみとした良い回。