あまりに寒くて「寒い・・・」以外にマクラの思いつかない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第102回目の放送を見ましたよ。
1957年(昭和32年)秋。優子(新山千春)が上京して2年が経った。
優子が里帰りした。彼女は東京弁を使うようになり、すっかりあか抜けていた。聡子(村崎真彩)は都会的な優子のセンスに憧れを持ったが、直子(川崎亜沙美)だけは東京かぶれの優子のことを軽蔑した。最近、直子は新聞社の絵画コンクールで大賞を獲得したという。優子も過去にそのコンクールに応募したことがあるが、彼女は佳作しか獲れなかった。直子は優子に嫌味を言うのだった。
また、優子は妹たちに向かって、自分が姉妹を代表して跡継ぎになることを引き受けた。だからふたりは家のことを心配せずに、好きな道を進めと言って聞かせた。聡子は素直にそれを聞き入れたが、直子は憮然とするばかりだった。
優子は、糸子(尾野真千子)の仕事にまで口出しするようになった。これからは洋裁師の地位は向上し、芸術家と同じにみなされる時代になると語った。だから、客に頭を下げたり媚びたりしなくてよいと言って、糸子の商売哲学を否定した。
もちろん、そんなことを言われて受け入れる糸子ではなかった。しかも、優子の言っていることは自分自身の確固とした意見ではなく、東京で師事している原口先生の受け売りに過ぎなかったのだ。糸子は、優子の生意気な態度に腹を立て、不快感を隠すこともしなかった。
あまり優子が原口先生のことばかり口にするので、千代(麻生祐未)は心配になった。優子と原口先生が男女の仲になっているのではないかと疑っているのだ。しかし、糸子はそれに関してはありえないと否定した。千代は祖母として優子のことを贔屓目に見ているが、客観的に見れば優子は女として魅力的ではないというのが糸子の意見だった。千代は若い頃から美人だったのでもてたかもしれないが、糸子や優子はその器量を受け継いでいないと言うのだ。
それに、優子は小さい頃から権威に影響されやすい所がある。例えば、戦時中は軍事教練に熱中したことがある(第70回)。今も、東京で指導を受けて、それを過剰に受け入れているだけだろうといって、あまり真剣に取り合わなかった。
そうして、優子はまた東京へ戻っていった。最後の最後まで、原口先生のことばかり喋りながら帰って行った。糸子はすっかり呆れてしまった。
11月頃、糸子は泉州繊維商業組合の会合に出席した。
周防(綾野剛)本人は来ていなかったが、三浦組合長(近藤正臣)と彼のことについて噂話をした。三浦によれば、紳士服経営者の会合に周防が久しぶりに顔を出し、元気で順調な様子を確認できたという。糸子も同じ情報を掴んでいた。というのも、周防の所へは松田(六角精児)を集金に派遣しており、彼から様子を聞いていたからである。そこまで話して、周防のことは打ち切りになった。
近頃、繊維業界への女性進出が著しい。糸子は自分の仲間ができたことを心から喜んだ。組合事務所での会合の他にも、外で頻繁に会っては意見や情報の交換をした。糸子の志と同じく、女手で店を切り盛りしようと奮闘する仲間とはよく気があった。彼女らと会うことは糸子にとって楽しいことだった。「男は妙な意地やプライドがあるから客と対立することがままある。しかし、自分たち女にはそういった変なこだわりがない。だからうまくやれるのだ」などと言っては盛り上がった。
そんなある日、木之元(甲本雅裕)のアメリカ商会を見知らぬ男が覗き込んでいた。木之元が話しかけると、彼は素っ頓狂な様子で商品をべた褒めした。その様子に感激した木之元はすっかり彼と意気投合してしまった。その男は別の用事があって岸和田に来たのだが、そんなことなど忘れてしまったかのように話し込んだ。
その男こそ、優子が師事している原口(塚本晋也)だった。
糸子は、女経営者同士で話をしている時、男性洋裁師が客に対して横柄な態度をとることを馬鹿にしていた。そのような態度は、まさに優子が原口の受け売りで、糸子に話した内容だ。
で、その張本人の原口が岸和田にやってきた。これは、糸子との間で一悶着あるってことだろうか。
原口は、妙に軽薄で調子のいい人物として描かれていたので、いかにも糸子と対立しそうだ。明日が楽しみ。