Apple社のデザインや広告はそれほど好きではない中、唯一JETの”Are You Gonna Be My Girl”を使ったiPodのCMだけはチョーお気に入りだったわけだが、当のJETが活動停止すると知って落胆している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第148回目の放送を見ましたよ。
2005年(H17)12月。
糸子(夏木マリ)は本業の他に地方公演などで忙しく飛び回っていた。マネージャーの孝枝(竹内都子)は、糸子の身体を心配し、できるだけ仕事を減らそうと苦心していた。
優子(新山千春)が東京の病院から講演を頼まれていたのだが、急に都合が悪くなってしまった。糸子に代理を務めて欲しいと連絡があった。電話を受けた孝枝は、その日は糸子の休養日だからと言ってきっぱりと断った。
孝枝では埒があかないと思った優子は、糸子の携帯電話に直接電話をかけて頼んだ。仕事となると後先を考えない糸子は、二つ返事で引き受けてしまった。
はたして、東京の病院での講演会は無事に終わった。
終演後、糸子は川上(あめくみちこ)という初老の女性と話し込んだ。川上は40年近く看護師として働き、この病院の前の看護師長も務めていた人物だという。若い頃に岸和田に住んでいたこともある。岸和田の知人から、糸子が病院でファッションショーを行った時の新聞記事を送ってもらって読んでいたという。それを読んでとても感動したと挨拶した。
だから、すでに病院関係者ではなくなっているのだが、裏方の手伝いをやらせてもらったのだという。
川上と話しているうちに、糸子は彼女の言葉が流暢な標準語であることが気になった。糸子の娘たちは20年弱しか岸和田に住んでおらず、その後東京で40年近く暮らしてもさっぱり岸和田弁が消えない。それに比べると、川上の言葉遣いがとてもきれいなのだ。
川上は少し言いにくそうに自分の生い立ちを語った。24歳まで岸和田に住んでいて、その後は東京で生活しているという。
そして、さらに言いにくそうに、自分は10歳まで長崎に住んでいたことがあると付け加えた。各地を渡り歩いたから、一箇所の言葉に染まらなかったのだ。
糸子は気づいた。川上の歳の頃や経歴に思い当たるふしがあるのだ。
糸子の複雑な表情を見て取った川上は、自分が周防(綾野剛)の娘だと名乗った。
糸子は黙って泣き出した。いたたまれなくなった川上は、その場を逃げ出してしまった。
別件が早く終わった優子が、病院まで糸子を迎えに来た。そして、糸子に声をかけようとした瞬間、川上の告白を聞いてしまった。優子は逃げていく川上を追いかけた。
ふたりは、生涯で2度目の対面をした。幼い頃、川上は小原家を覗きに来たことがあるのだ。その時に優子と出くわし、川上の弟が優子を突き飛ばして逃げた。口をきくのは初めてだが、両者の50年ぶりの再会である。
川上は、当時の暴力を謝った。優子も、親たちの問題とはいえ、自分の家が川上らに与えた苦しみについて謝罪した。
川上は包み隠さずに自分の心境を話し始めた。川上は糸子や小原家のことを憎んでいたという。そして、人を憎むという、自分の汚い心にも苦しめられていたという。
同時に、父の相手が糸子で良かったと思う部分もあったという。そして今日、糸子に会い、わだかまりが全て消えたのだという。糸子は今でも周防の事を思い続けているということが、糸子の目を見たらわかったという。それだけで、憎しみはすっかり消えてしまったのだと告白した。
糸子は、いつまでも泣き続けた。
糸子は歳をとり、たくさんの記憶を持っている。楽しい思い出もあれば、辛い過去もある。周防の件は、自分の心だけに潜め、このまま闇に葬り去るつもりでいた。ところがそれが、今、大きく糸子の心を支配した。それで糸子は打ちのめされてしまったのだ。
それはまるで、夜空に大きく華ひらく花火のようだった。暗い天空に一筋の記憶の尾が流れていき、ぱっと開いて大きな音がなる。次から次へと思い出の花が咲き、視覚全体を支配する。糸子はその光景から目をそらすことができないのだ。
しかし、糸子は同時に思う。
自分は、その記憶の花火を見るために生きてきたのかもしれない。
まさか周防の娘がここに登場するとは。
143回目のマクラに書いた通り、周防エピの大好きな当方は思わずしんみり。
なお、川上の台詞によれば、周防はすでに他界しているようです。
おまけ:
Starwars Galaxies で遊んでた時代に作った iPod & Jet リスペクト・ムービー(WMV形式)。このゲームは自分の操作するキャラクターにダンスを踊らせることができた(他の人とタイミングを合わせて踊るのが楽しかった)。その映像を録画し、音楽をつけてムービーにしたのだ。それを公開して、仲間集めに使ってた。僕は、一時、市民100人(一人で複数のキャラを操作する人や、幽霊も多かったけど)を抱える街の市長だった。
その他、15本くらいムービーがある。