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NHK『あまちゃん』第72回

本ドラマでもアニメーションを担当している鉄拳が『第42回日本漫画家協会賞』を受賞した(Oricon Styleの記事)と知ってお慶び申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第72回めの放送を見ましたよ。

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第12週「おら、東京さ行くだ!」

アキ(能年玲奈)が北三陸駅から旅立つことになった。駅舎では、海女クラブの面々がアキを大いに祝福して送り出した。しかし、夏(宮本信子)だけは浜にワカメを採りに行ったきり、見送りに来なかった。

大吉(杉本哲太)の計らいで、出発前にアキと春子(小泉今日子)がふたりきりで車内で話ができる時間が設けられた。しかし、前日にたっぷりと話をしたふたりなので、今さら何も話し合うことは見つからなかった。春子は、現金の管理法や水口(松田龍平)に迷惑をかけないこと、いよいよ困ったら別れた父・正宗(尾美としのり)を頼ることなど、通り一遍の事務的なことしか話さなかった。
いよいよ出発の時間になると、アキは突然、東京には行きたくないと泣き出した。しかし、それは一時的な弱音であり、夏からもらった鉢巻で涙を拭くと、すぐに立ち直った。

春子は、アキと別れる瞬間、手紙を渡した。後でわかったことであるが、それには春子の半生が綴られたものであった。

アキは、この1年でアキ自身が変わったかどうか春子に尋ねた。しかし、春子はそれを否定した。アキは相変わらず「地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もないパッとしない娘」だと言うのだ。ただし、春子によれば、アキの代わりに周囲の人々が変わったのだという。アキが人々の心を変えたことはすごいことだと褒め、自信を持つように言い含めて送り出した。

アキを無事に送り出し、町の人々は喫茶リアスで休憩した。春子は、自分が家出した時は逃げるように出て行ったのに、アキはみんなに祝福されて幸せだと話した。

それを聞いていた琥珀掘りの勉(塩見三省)は、1984年当時ひとりだけ春子の旅立ちを応援し、祝福していた人物がいるという。25年間口止めされていたが、それはまさしく夏だったという。当日、勉がたまたま浜に出かけると、夏がいたという。竿に大漁旗を結びつけ、電車に向かってそれを振りながら、懸命に春子を激励していたという。

しかし、その時の春子(有村架純)は、車中で大吉(東出昌大)に話しかけられたり、ふて腐れたりしていたせいで、窓の外を見ていなかった。そのため、全く気づいていなかったのだ。春子はショックを受けた。春子は、自分の夢が夏に反対されていると思って、ずっと夏のことを恨んでいた。まさか、夏の気持ちが正反対だったとは知らずに生きてきたのだ。

その頃、アキを乗せた列車は、袖が浜の近くを通っていた。アキは車窓から夏の姿を見つけた。夏は、列車に向かって大漁旗を振り、声を限りにアキを激励していた。アキもそれに応え、列車から夏の鉢巻を振り、大声で叫んだ。

列車は畑野駅に停車した。ここからユイ(橋本愛)が乗り込んでくることになっている。しかし、ホームに立つユイは一切の旅支度をしていなかった。ユイの父・功(平泉成)が意識を失って倒れたのだという。功の容態が安定するまで残ることにしたというのだ。

それを聞いて、アキも上京を取りやめようとした。しかし、ユイは自分もすぐに追いかけると説得し、アキを一人で行かせることにした。ユイは自分もすぐに行くと泣け叫び、ホームからアキを乗せた列車を見送るのだった。

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神回。

若・春子(有村架純)が列車で家出する回想シーンは何度も流れ、正直クドいなあと思いながら見ていた。今日も同じ回想が流れて、辟易した。しかし、なんと、その回想シーンには続きがあって、夏(宮本信子)が浜から大漁旗を振って応援していたのだ。すげえ、やられた。

なお、列車で旅立つ娘を母親が大漁旗を振って送り出すというシーンは、僕の知る限り朝ドラ『ちりとてちん』の貫地谷しほり和久井映見がオリジナルかな。大漁旗を振る写真はないけれど、そのシーンの撮影風景のレポートは見れる。『ちりとてちん』が大好き(朝ドラの中で一番好き)な当方なので、このシーンが再現されていることが嬉しかったです。しかも、25年前の若い夏と現在の夏の2バージョンあるというのがすごい(撮影エピソード)。

その他、春子(小泉今日子)がアキ(能年玲奈)に対して贈った言葉も素晴らしい。アキ自身は変わっていないけれど、アキのおかげで周囲の人々が変わったのだと褒める言葉に泣いた。確かにアキは観光海女の仕事について、海に潜るのが好きだということと共に、みんなに喜んでもらえるのが嬉しいからだと言っていた。アイドルになることも、人の心を動かすのが気持ちいいなどと言っていた。そういうアキの本性をきちんと見抜いて褒めるあたり、春子も立派な母親になったわけで。

ユイ(橋本愛)の父・功(平泉成)が急に倒れるなどというのは、ちょっとご都合主義な気もする。それに、駅で列車を待つ前に、ユイはケータイで連絡しろよと言いたくもなる。しかし、感情を爆発させてホームで泣き叫ぶ橋本愛の演技にはぐっと引きこまれてしまいました。

ところで、今日からナレーションが能年玲奈になったようですね。オープニングテロップでは宮本信子に「語り」と書かれていましたが、今日の放送では彼女のナレーションは一言もなかったと思います。その代わり、アキが春子から手紙をもらうシーンで、能年玲奈の声で手紙の内容について説明がありました。来週の予告でも、能年玲奈のナレーションが入るようになりました(これまでは、ナレーションなしの予告だった)。
能年玲奈のナレーションに変わって、ドラマの雰囲気がどのようになるのかこれからが楽しみです。

来週からは東京編。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)

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