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NHK『あまちゃん』最終回(第156回)

今回のまとめ記事シリーズでは、「つづく。」というアキ(能年玲奈)の画像をいつも文末につけており、「ドラマがつまらなくなったら、その画像を外し、告知なく連載をやめる」という密かな規律の下で連載を続けてきたわけだが、そういう事態も発生せず無事に完走できたことを喜ばしく思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の最終回(第156回め)の放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

2012年7月1日。
北鉄の北三陸駅-畑野間が運転再開された。記念式典が開かれ、大勢の市民や鉄道ファンが集まった。1984年同日の北鉄開通式も盛況だったが、今日はその時の人手や興奮を大きく超える盛り上がりだった。大吉(杉本哲太)は感激した。

北三陸市長・足立功(平泉成)が祝辞を述べ、その娘でありミス北鉄でもあるユイ(橋本愛)がくす玉を割ろうとした。その時、人のドミノ倒しが発生し、予期せぬ状態でくす玉が割れてしまった。

それは、1984年の開通式とそっくりな光景だった。当時は家出しようと人混みをかき分けた春子(有村架純)がきっかけでドミノ倒しが起きたのだが、今回は正宗(尾美としのり)がきっかけとなった。春子(小泉今日子)が鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に同行し、すでに北三陸を発ったことを知らなかった正宗が、彼女を探すために慌てて駅に来た。その時に人混みをかき分けたのが原因となったのだ。

運行再開の1号列車が駅を出発した。列車は満員で出発し、沿線からも運行再開を喜ぶ人々が笑顔で手を振った。
袖が浜の海開きにも大勢の観光客が集まった。アキ(能年玲奈)がウニを獲って海から顔を出すと、大きな歓声が上がった。
列車が袖が浜にさしかかった時、同乗していたユイは窓から大きく手を振った。浜からそれを見つけたアキも大きく手を振り返すのだった。

北三陸始まって以来の観光客が押し寄せ、北鉄と袖が浜だけでは収容しきれなくなった。そこで、琥珀堀り・勉(塩見三省)の琥珀坑道が開放され、発掘体験が開催された。そこに参加した小学生が、奇妙な石を見つけた。勉が吟味してみると、それはコエルロサウルス類の後ろ足の指の骨だとわかった。琥珀とは比べ物にならないほど珍しいものなので、勉は興奮した。北三陸で恐竜の骨が見つかったというのは大発見であり、自分がその第一発見者になれると思ったからだ。
勉はすぐに弟子の水口(松田龍平)に知らせた。しかし、水口は前日にそれとそっくりなものを見つけていたという。その価値を見出だせなかった水口は箸置きとして使っていたが、それも間違いなく恐竜の化石だった。勉は自分が第一発見者でなかったことに落胆した。

アキとユイのお座敷列車イベントが始まった。
琥珀や化石には無感情で対峙する水口だが、念願のお座敷列車には興奮して参加した。ビデオカメラを構え、典型的なアイドルファンとして列車に乗り込んだ。
本来、北三陸に来る予定のなかった正宗はチケットを用意していなかった。お座敷列車のチケットはすでに売り切れで、数日先の分まで予約でいっぱいだ。たとえ身内であっても載せてやる余地はないという。ホームで落ち込む正宗に声をかけたのは、アイドル評論家のヒビキ一郎(村杉蝉之介)だった。自分は全ての回のチケットを持っているので、初回のチケットを正宗に譲ることを申し出た。こうして正宗は無事に乗り込むことができた。

北鉄の運行再開やお座敷列車のことはテレビニュースでも取りあげられ、東京の喫茶アイドルの店主・甲斐(松尾スズキ)も見た。彼は、アキや春子が自分の店でバイトしていたことを客に自慢するのだった。
お座敷列車の映像はネットでも公開され、ベーリング海上を航海していた忠兵衛(蟹江敬三)も見ることができた。外国人乗組員に対して、自分の孫だといって自慢しながら見せるのだった。
イベントの模様は地元の新聞でも大きく扱われた。ただし、その日の1面は恐竜の化石を発見した水口と小学生が飾ることとなった。

お座敷列車イベントの初日は無事終了した。畑野駅で列車を降りたアキとユイは、いくつか失敗したところがあると反省した。しかし、翌日も翌々日もイベントがあるのだから、そこでは改善しようと話し合った。さらに、今年だけではなく、翌年も同じようにイベントをしようと誓い合った。その頃には北鉄の再開区間も延長され、畑野より先に行けるようになるだろうと期待した。そして、畑野駅から先は東京に繋がっていると語り合うのだった。

ユイは、今すぐ先に進みたいと言い出した。ふたりは線路に降り、畑野駅の先にあるトンネルへ向かって走りだした。

暗いトンネルを走り抜けると、そこは光り輝く世界だった。

(おしまい)

* * *


人が生きていれば、腹の立つこともあるわけで、面白くないなぁと思う日だってある。そればかりか、何かとプレッシャーに弱い僕なので、朝起きると会社に行きたくないとか、誰にも会いたくないとか、自分は無価値で生きている意味はないんじゃないかと劣等感にさいなまれることも頻繁だ。日々の様々な活動について、「こんなことやってて、何の意味があるんだ?」と自問自答してばかりだ。当然、このまとめ記事連載も、よくよく考えれば何のためにやってんだかよくわからない。

それに加えて、近年では自分の中年化が速度を増して進行している。自覚できるほどの加齢臭を発するようになったし、顔にはシワが増えてきたし、白髪が生え始めるとともに額の生え際は後退するし、顔の肌はいつもくすんだ土気色をしているし、四六時中目の下のクマが消えないし、白目はなんだか濁ってきているし、下っ腹は出てきたし、胸の肉はぷよぷよしてきた。女の子にモテる要素が一つもない。若い頃からの短小包茎早漏という三重苦と合わせて、ますます女の子に相手にされなくなってきているわけである。つらい。

それでも。
毎朝『あまちゃん』を見る15分間と、そのまとめ記事を書く30分間は、嫌なことを全て忘れさせてくれる稀有な時間だった。その合計45分間の自分の顔を客観視したことはないけれど、きっとニタニタと笑みを浮かべて幸せな表情をしていたことだろうと思う。

とても楽しくて稀有な時間だった。

ご愛読ありがとうございました。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)

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