あさ(波瑠)の嫁入りの日、新次郎(玉木宏)はすっかり忘れていて、紅葉見物に行ってしまった。番頭の亀助(三宅弘城)が探しに行き、慌てて帰ってきた。
あさをはじめ、一同はイライラしながら新次郎の到着を待った。
新次郎は全く悪びれるでもなく、のんきに帰ってきた。自分は雨男なので、楽しみなことがあると必ず雨が降る。今日は、予定を忘れていたせいで良い天気になって良かったなどと破茶目茶なことを言い出す始末。あまりに呑気な様子に、一同の怒りにますます油を注ぐ。
そんな中、新次郎はあさの花嫁姿の美しさを褒めた。その笑顔に舞い上がり、あさは一瞬怒りを忘れるのだった。
また、ふたりの言い争いはまるで漫才のようだった。新次郎は、今日の反省を活かし、二度と祝言の日を忘れたりしないと約束した。それに対して、自分たちの祝言の日が二度あるはずがないとあさがツッコむのだった。
一同はハラハラしながら見ていたが、あさの母・よの(風吹ジュン)だけはそんなふたりを微笑ましく見ていた。言い争ってはいるが、とても仲睦まじい夫婦に見えたからだ。
結婚の宴の半ば、新次郎の父・正吉(近藤正臣)は加野屋の新しい体制を発表した。
長男(木内義一)の死去に伴い、三男の榮三郎(吉田八起)を跡取りとすると言うのだ。分家の新次郎は、その後見人とすると決めた。まだ幼い榮三郎は立派に挨拶をした。その様子に一同は感心した。
一方の新次郎は、自分はアホだから商売には一切関わらない、全てを榮三郎に任せるなど、頼りのないことしか言わなかった。
宴が終わり、あさは初夜の準備にとりかかった。
全く初めてのことで、あさはひどく緊張した。お付のうめ(友近)からは、流れに身を任せていれば大丈夫だと助言された。
そしていよいよ、寝室に新次郎が入ってきた。
ふたりっきりになると、新次郎はいきなりあさを抱きしめた。あさは身を固くするばかりで、どうしていいかわからなかった。
新次郎の手が腰に届き、帯に手がかかったところで、あさはうめの「流れに身を任せろ」という助言を思い出した。
すると、相撲が得意なあさは、思わず癖で新次郎の帯を握り返し、そのままの流れで上手投げをしてしまった。
転がされた拍子に、新次郎は右手の小指に怪我をした。
家の者たちが物音を聞きつけて集まってきたが、新次郎は新婦に投げ飛ばされたなど恥ずかしくて知られたくないと思った。適当に言い訳をして、一同を解散させた。
周囲が静かになると、新次郎は寝室を出て、外出してしまった。
あさはまだ子供で、抱くのは無理だと思ったのだ。
残されたあさは、新次郎に嫌われてしまったと心配した。
しかし、彼の後を追うわけには行かず、加えて今日一日ですっかりくたびれてしまったので、そのまま一人で眠ってしまうのだった。
あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)の初夜に関して、新次郎の母・よの(風吹ジュン)が張り子の犬を持ってきた。彼女の手作りだと言い、寝室に飾っておけというのだ。
戌って、あれだよね?多産のシンボルだよね、確か。
「わかるやつだけわかればいい」的に、アッチ方面をほのめかしてくる演出がニクいよね。
で、あさは子供なので、まだそこに秘められた意味をわかってないという。たんなるマスコットだとしか思ってない様子で。
実際、子供なので、初夜に失敗して。張り子の犬を抱きながら眠りにつくというシーンに込められた皮肉がとても良い感じでした。