2017年7月、近鉄・山田川駅徒歩1分の所に「ももふく」という料理店がオープンした。
女性店主が一人で切り盛りしていて、清潔で小洒落た内装。2人がけのテーブルが4客、カウンター席が3つくらいで、10人も入れば満員になる規模。
僕はすでに数回訪問しているが、いつでも僕以外の客が複数いる。なかなか繁盛しているようである。
営業時間は9:00-15:00。火曜日定休。
メニューは、基本的に日替わり定食1品のみで800円。ドリンクは200円。
日替わりメニューは店外にも張り出されているけれど、現地に行くまで何が出てくるかわからない。一抹の不安もあるが、今日は何を食べさせてくれるんだろうかという楽しみもある。そして、僕が今まで食べたものにはどれもハズレが無かった。
そんなわけで、これまで僕が食べたものを列挙する。
【1. 2017年7月9日; 豚の生姜焼き】
記念すべき初入店。
メインの豚しょうが焼きはもちろん美味しかったけれど、付け合せのサラダと味噌汁で一発で惚れた。
一人暮らしの身だと野菜が不足しがちであり、それをたっぷり出してくれたのは嬉しかった。
下品なほど具沢山の味噌汁も大好物。僕は味噌汁の具がスカスカだと気持ちが寂しくなる。その点、ここは偏差値70くらいの量。出汁も聞いててサイコー。
【2. 2017年7月16日; モーニング】
2回めの入店。
僕は店のシステムを知らなかったのだが、午前の早い時間帯はモーニングセット飲みの提供だった。値段は忘れたけど、食後のドリンクが付いて600円か700円くらいだった気がする。
12時前くらいから定食が提供されるようだが、その日のメニューが好みではない人にはモーニングセットをアレンジしたランチを出してくれるようだ。僕はお世話になったことがないけれど、他のお客さんが店主に提案されてモーニングセット・アレンジを頼んでいるのを何度か見た。
ティーセットのスプーンがネコで可愛かった。店内にはネコをモチーフにしたリトグラフが何点か飾ってある。店主は猫好きなんだろうか?
このときは、会社の人から勧められた有川浩『旅猫レポート』をたまたま持ち歩いていて、ネコ揃いの写真撮影に成功。
なお、本書はクソ生意気なネコの視点から人間社会を垣間見るみたいな内容。予定調和的な内容だけれど、サラリと読めてなかなか面白い。
【3. 2017年8月5日; 天ぷら】
カラッと揚がった天ぷらを塩でいただいた。
天ぷらも美味しかったけれど、写真の右上にあるゴーヤの酢の物(?だったと思う)がすごく美味しかった。夏で暑いのやら、天ぷらで口の中が油っこくなるのやらをいい具合に中和してくれた。それでなくても、このゴーヤだけでお茶碗1杯食べられる。
食事のお供は、東海林さだお『猫大好き』。
前回、猫好きらしいと判明した女性店主の気を惹こうと思ったわけではない。たまたま新刊が出て、それを読んでいただけ。
エッセイ集なので、猫に関する話は1本だけ。
【4. 2017年8月9日; とんかつ】
「もしやこの店は揚げ物が多いのか?」と勘ぐり始めるきっかけとなった回。
実は揚げ物はそんなに好きではない当方。それでも、いやになることなく全部平らげた。むしろ、好きな部類のとんかつ。
写真をよく見れば、とんかつの下にソースが引いてある。こういうオシャレな盛り付けに嬉しくなる。別の日に行った時、よそのお客さんが「この店は、いつも盛り付けがこってて目に楽しいね」と話していたのだけれど、全くその通りである。
この日読んでいたのは、タイラー・コーエン『エコノミストの昼ごはん: コーエン教授のグルメ経済学』。
著者は経済学者で農業ビジネスについて書いている。ただし、彼の専門である経済学やら農業ビジネスについては話は全体の半分以下で、ほとんどは「安くて美味い店」の巧妙な見つけ方について紙幅を割いている。同書を読みながら、「コーエンの言ってることは正しいな。俺も安くて美味い店見つけたぜ」とか思ってた。
【5. 2017年8月19日; チーズ入りコロッケ】
タネにクリームチーズを練り込んだ握りこぶし大のコロッケ。皿にトマトソースが添えてある。
チーズ入りのコロッケは初めてだったのだけれど、すごく気に入った。
別の客のおばちゃんは「私、チーズ苦手やねん。別のにしてくれへん?」と言って、モーニングセットのグレードアップを頼んでいた。こんなに美味しいのに。彼女、人生を少しだけ損してるな。別の夫婦連れの客が「全然チーズの匂いしませんよ。ぜひ食べてみては」と勧めていたのだけれど、彼女は聞く耳を持たなかった。気の毒に。
『ありがとう、うちを見つけてくれて 「この世界の片隅に」公式ファンブック』を読みながら。
吉田戦車や高橋留美子、いとうせいこうをはじめとした、有名どころから(僕にとっては)無名どころまで多数が寄稿した映画『この世界の片隅に』のファンブック。原作者・こうの史代や主演・のんのインタビューなども掲載されていて読み応え十分。
野菜の素揚げに隠れてしまっているけれど、その下に鶏の唐揚げが4つほど。
「やっぱ、揚げ物が多いな」と確信を得たわけだけれど、ご飯がどんどん進むので悪くない。この店で初めて海苔が出たけれど、海苔なしでもずんずん白飯食える。
向田邦子『父の詫び状』は、1981年に飛行機事故で亡くなった脚本家のエッセイ集。この人の文章は初めて読むけれど、すごく面白い。おばちゃんの井戸端会議のように、連想的に話はアチコチに飛ぶのだけれど、よどみ無く流れ、最後にはちゃんと冒頭に提示したテーマに舞い戻ってくる。狐に包まれたような感じになる。
驚くべきことに、今日は日替わり定食が2品準備されていた。客に選択権が与えられた。
この店で魚が出るのは初めてだったので、僕は即座に鮭のマリネに決定。
もう一つはなんだっけ?今日の昼のことなのに、もう忘れてしまった。それくらい魚一択だったのだ。確か、対抗馬は鶏の唐揚げに似たなんかだったと思う。「昨日食ったしな」というのも、それを除外した大きな要因。
「鮭のマリネ」って聞いたら、生の魚が出てくると予想するじゃん?
ところが、一度焼いた鮭をマリネに仕立ててあった。一瞬面食らったが、これはこれであり。こういう工夫をするところも、この店を愛す理由のひとつ。
向田邦子を読み終わってなかったので、引き続き読むなど。
若かりし頃の黒柳徹子や森光子の話なんかも出てきて、ますます熱中して読んでる。
こちらからは以上です。ご清聴ありがとうございました。
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