昨日、オープニングのアニメーションを見ながら、「北海道のキツネがかわいいのはわかるけれど、エキノコックスという質の悪い寄生虫を媒介するから触るんじゃねぇぞ」とブツブツ言っていた道産子の当方が、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』の第2回めの放送を見ましたよ。
東京で戦争孤児だったなつ(栗野咲莉)は、戦死した父の戦友だった剛男(藤木直人)に引き取られ、十勝へやって来た。
剛男は事前に家族に相談していなかったので、彼の家族は必ずしも なつを歓迎したわけではなかった。その雰囲気を感じ取り、なつは居心地が悪かった。ただし、食糧難の東京では見たこともなかったような豊かな夕食を前にして、ひとしきり感激した。特に、酪農家である柴田家の食卓にあがった新鮮な牛乳の美味さには特に感動した。
なつは、柴田家の娘である夕見子(荒川梨杏)とドンパの小学3年生である。剛男と妻の富士子(松嶋菜々子)は、なつを地元の小学校に通わせるつもりでいた。
着の身着のままで十勝へやって来た なつには通学用の服すらない。そこで、富士子は夕見子の服を なつに着せてやることにした。ドンパで背格好も似ているので、その服はなつによく似合った。
しかし、夕見子はそれが面白くなかった。実の娘である自分よりも、赤の他人の子がちやほやされるのは筋が通らないと思い、腹が立つのである。なつが戦災孤児になったことは夕見子の責任ではない。それなのに自分ばかりが不利益を被るのは不公平だとだはんこいた。
剛男と富士子がなだめようとしても埒が明かなかった。
一連のやり取りを目にした なつは、服をもらうことを辞退した。それに加えて、学校にも行かなくてよいと話した。自分はこの家の子供ではなく、使用人として置いてほしいと訴えたのだ。酪農の手伝いをするという名目で置いて欲しいと願い、いつか咲太郎(渡邉蒼)が迎えに来たら出ていくと言うのだ。
なつは誰にも話さなかったが、空襲後の東京でのひもじい日々が自分をそうさせたと自覚していた。生きるためにはどんなにズルいことでもしなくてはならないと学んでいたのだ。
たとえば、焼け野原の東京で幼い妹・千遥(田中乃愛)を連れて物乞いをしていたこともある。大人の同情をひくために、妹には餓死寸前の芝居をさせたこともある。そうすることで、行きずりの老婆(北林早苗)から1本のサツマイモをせしめたこともあった。老婆は「空襲で孫を亡くした。私の孫の分まで食べておくれ」などと言っていたが、なつは礼もそこそこに立ち去った。そうでもしなければ生きていけなかったのだ。
このことは、なつは自分の胸にしまっている。
家長の泰樹(草刈正雄)は、なつが働きたいというのだからそうさせればよいと言って受け入れ、翌早朝から なつは家業の手伝いを始めた。
富士子役の松嶋菜々子さんは美人なんだけれど、北海道弁がどうもなぁ。彼女自身の責任ではなく、脚本に書かれたセリフのせいもあるだろうけれど、「(そんなこと気にしなくて)いいから」は『なんもだ』って言ってほしかったし、「駄々こねないの」は『だはんこくんでない』にしてほしかった。
そんな富士子さんですが、なつ(栗野咲莉)に優しく接する半面、なつはどこか子供らしくないところがあるなどと見抜く洞察力の深さもあります。
2年ぶりに引き上げてきた夫・剛男(藤木直人)からの夜のお誘いを焦らしっくパークで盛り上げるという妖艶さも併せ持ってます。剛男がルパン三世ばりに「ふ~じこちゃ~ん」などと声をかけても知らんぷりをするという。そこでシーンが変わったので2年ぶりの夫婦和合があったのかどうかは明確に語られませんでしたが、剛男が翌朝の仕事に寝坊したので、「察してくれ」ってことでしょう。
本文では書きませんでしたが、柴田家の酪農業の従業員として戸村悠吉(小林隆)、菊介(音尾琢真)親子が登場。小林隆が、いかにも北海道にいそうな農夫を好演していました。ちょっと僕の親戚の農家のおっちゃんの口調に似てるっつーか。