初夢二〇二〇

こんな夢を見た。

社会心理学者バンド・ざじょんくすが大阪で練習をすることになった。
しかし、スタジオの予約時間にはまだ早いので、難波のブッコフで時間を潰すことにした。銘々はいい大人だし、中高生のように金魚のフンのように連れだって歩くことはない。ていうか、そもそも「音楽性の違い」が表面化しているメンバーであり、それぞれ趣味がバラバラである。集合時間だけ決めて、各々が好きな売り場へ散っていった。

僕は中古楽器のコーナーに向かった。
目当てはコントラバスケースの物色である。保釈中に日本国外へ脱出したカルロス・ゴーン氏は、コントラバスケースに隠れて出国したという噂になっている。僕も何か不祥事を起こして逃亡する事があるかもしれない。そういうことがあったら嬉しけれど、いや困るけど、痴情のもつれとか二股とかで包丁を持った女の子に追いかけられるかもしれない。そのような万が一に備えてコントラバスケースを用意しておこうと思ったのだ。
しかし、これといった商品は陳列されていなかった。ガッカリした。

ガッカリしていると、ギター担当のひぐちまがニコニコしながら近寄ってきた。
中古CDのコーナーを物色していると、大好きなフュージョン系の懐かしのCDが売られていたというのだ。僕にはよくわからないジャンルだし、その商品自体にはなんの共感も得なかったけれど、新春からニコニコしている人の顔を見るのはいいものだなと少し幸せな気分になった。

僕もひぐちまも自分の目的は達して飽きてきたので、他のメンバーを探しに行くことにした。
みあたんがすぐに見つかった。予想通り、動物図書のコーナーで熱心に魚類の写真図鑑に見入っていた。左側の口角だけを上げて微笑みを浮かべる横顔が尊いアルカイック・スマイルのように感じられ近寄りがたく、また庶民的でもありすぎて近寄りがたかった。

そのように立ちすくんでいると、背後から聞き慣れた声がブツブツと近づいてきた。
りえてぃがスマホをいじりながらこちらにやってくるのである。今夜泊まるところがないだとか、実家に行くには電車がめんどくさいだとか、一人で慌てて騒いでいる。あぁいつも通りだな、と思って、はいはい、と聞き流しておいた。

こうして、スタジオの時間となったので店を出ることにした。
ふと、棚を見ると天野月子『箱庭』がジャケットをこちらに向けて陳列されていた。あ!と思ったけれど、メンバーには何も言わなかった。
わかるやつだけわかればいいのだ。

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