シアターコクーンライブ配信『プレイタイム』を見た

当方の大好きな女優さんであるところの黒木華さんが出演する劇がネット配信されるとのことなので見た。
有料2,500円で専用URLでストリーミングされるという形式。70分程度のコンテンツだった。

内容は、岸田國士の『恋愛恐怖病』が原作とのことである(青空文庫に収録されている)。本人たちは、「恋愛感情抜きの友人」と自分たちの関係を定義しているのだけれど、恋愛感情が芽生えつつあることを互いに自覚し、けれども一線を超えるわけにはいかないと思ってグダグダとやり取りするというお話。わかる。

黒木華さんが大写しになるので、通常の観劇に比べると、その点は良かった。でも出番が少なかった。
共演の森山未來さんがメインだった。カメラは1台だけで、彼に近い位置にあった。彼のファンなら満足感が高いでしょう。
ていうか、この二人の組み合わせって、NHKドラマの『みをつくし料理帖』を思い出すよね。同作では江戸時代の古風な黒木さんだった。今回は時代不明ながらも大正から昭和高度経済成長以前あたりの感じ。これはこれでレトロ感ある黒木さんで良かったです。

本編はちょうど30分だった。

本編前の30分は、リハーサル風景や舞台セッティングの様子が中継されていた。
もしかしたら、巧妙に編集されていたのかもしれないが、一見すると本編と同じく1台のカメラの長回しのように見えた(本編へもそのままシームレスに繋がる)。黒木さん森山さんが台本見ながらセリフ合わせしたり、スタッフがセットを組んだり、出演者が楽屋に引っ込んだり、ステージ衣装に着替えて出てきたりという様子が見せられていた。事前知識ゼロで見ていたので、「このリハーサルも演技なのかな。そういうメタ演劇なのかな?」なんて思ったりしていた。
通常の観劇では舞台裏が全く見えない。一方、カメラがあれば見せることができる。そんなわけで、視聴者サービスとして舞台裏を見せてくれてるのかな、とも思った。こういうのを見るのは初めてだったけれど、ステージの裏って意外と広いんだな、と勉強になった。それはそれで面白かった。

で、本編が終わった後も10分ほど中継が続いていた。
幕が下がった後、ステージ側からカメラが回っていたので、出演者がカーテンコールの前後にどんな様子なのかを見ることができた。カーテンコール後に再度幕が下がるわけだけれど、そうしたら役者はすぐに楽屋に戻るもんだと思っていた。ところが、今日見ている限りでは、しばらくステージに残って、その場で演出家とハグしたりしていた。へぇー、そういうもんなのか、と。

そして、直後にステージセットの解体が始まった。
びっくりするくらいスタッフがいるんだな、と思った。出演者はたった3人なのだが、スタッフはカメラに見えている範囲で20人くらいはいた。揃いのTシャツを着て、手慣れた様子で片付けていた。

サービスカットで黒木さんがもう一回出てくるかな、と思って見てたんだけれど、それはなかった。
それはなかったんだけれど、だんだん物悲しくなってきて。黒木さんをもう一度見えない物悲しさじゃなくて。

昨今の新型コロナ騒ぎで、集客型のエンターテインメントは軒並み開催中止になっている。中止になれば、もちろん収入がなくなるわけで。
表に出てくる演者が食いっぱぐれるだけじゃなくて、こういった裏方の人々も困難な状況になるんだな、と。考えてみれば当たり前のことだけれど、僕は今日実際にそういった人々の姿を見るまで想像ができていなかった。あらためて彼らの境遇を思うと物悲しくなった。

当ブログはこれからも黒木華さんを応援するとともに、周辺のスタッフの皆さんも応援する所存です。

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