『地獄の黙示録』を観た

小学校低学年の頃、プレイボーイのロゴのついた軍用ヘリコプターの写真を見た。蝶ネクタイをつけたウサギのアレ。そのロゴがプレイボーイのものであり、プレイボーイがどういう雑誌なのかということはずっと後になってから知ったのだけれど。
後というのはどれくらい後かというと、大学生くらいだったかと。一人暮らしで自分用のパソコンを入手し、インターネットプロバイダの Bekkoame と契約し(当時、使い放題で1万円/月は破格の安さだった)、テレホーダイ(深夜の電話代が定額料金になるサービス。2000-3000円くらいだっけ?)を使って夜な夜なウェッブサーフィン(死語)していた頃だと思う。Playboyのサイトにアクセスしたら、金髪美人のエロ写真が見放題だという噂を聞きつけて画像のダウンロードをしようとしてた頃ですね。結局、当時は回線が細くて、30分待ってやっと顔と胸が見えるか見えないかくらいしかいかなくて、ふて寝したんだけど。

それはさておき、プレイボーイロゴのヘリコプターは何年もずっと気になってて。その写真には、『地獄の黙示録』という映画のタイトルも書かれていたのを覚えていた。戦争映画らしいということはおぼろげに理解していた。「地獄」というおどろおどしいタイトルの戦争映画なのに、プレイボーイのヘリコプターなわけで、僕にはどういう映画なのかよくわからなかった。
よくわからなかったので40年近くそのままにしておいたんだけれど、一方で40年の記憶のしこりにそろそろケリをつけるべき時期だろうと思って。
そんなわけで、観てみたわけです。

映画の舞台設定はベトナム戦争。日本人にとって第二次世界大戦が歴史上の大きなターニングポイントであり社会問題であるのと同様に、アメリカ人にとってはベトナム戦争がそれにあたるんだろうなというのは知識として知っている。ベトナム戦争を題材にした作品が映画のみならず、いろんな文化芸術にあることを知っているから。そして、それらの多くは退廃的で、深刻で、「正義とはなにか?」みたいな難しい主題を扱っているわけで。
『地獄の黙示録』もほぼそのような主題の映画でした。

アメリカ軍に、有能で多くの手柄を立て、将来を期待されたカーツ大佐(マーロン・ブランド)という軍人がいた。そんな彼が、ベトナム戦争中にちょっとしたつまずきで上層部から目をつけられたらしい。それでアメリカ軍に嫌気が差し、武装したままカンボジアで独立勢力となった。今や現地人に神として崇拝されるほどになり、アメリカ軍は不祥事として頭を抱えている。以上は、物語の背景。実際、カーツ大佐本人はいよいよ映画の最後になるまで出てこない。

そんな問題があるところ、情報部のウィラード大尉(マーティン・シーン)という男に、カーツ大佐の暗殺命令が下される。これが物語のスタート。軍としては秘密裏に処理したい問題なので、ウィラードには単身で実行するよう命令するし、補給や援助もほとんど与えられないという。彼に与えられたのは、カーツ大佐に関する書類情報、および、彼を現地へ送り込むためのボート1隻とその乗組員数名のみ。乗組員たちにも作戦の内容を話してはならない。
凄惨なベトナム戦争の最中、少人数で最前線に乗り込んでいくのだから、そりゃ互いに疑心暗鬼にもなろうってもの。加えて、ウィラード大尉は軍の欺瞞や矛盾、各地の利己的な司令官の姿などを知ることとなり、いったい何が正義なのかわからなくなってくる。そんなお話。
主人公のウィラード大尉(マーティン・シーン)はちょっとトム・クルーズに似てるし、まるで『ミッション・インポッシブル』みたいな。

さて、肝心の「プレイボーイのヘリコプター」がどこに出てきたかというと。
前線基地での慰問団のシーンでした。派手な演出で、ヘリコプターからプレイメイトが出てきて艶かしく踊っていました。なるほど。
おかげでスッキリしました(性的な意味ではなく、記憶の意味で)。

ていうか、そんなところまでヘリコプターで美女を送り込むことができるなら、ウィラードもそこをスタート地点にすりゃよかったんじゃね?そこまで苦労して船で遡上してきたのは何だったのか?と思ったりしたけれど、まぁいいや。

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